横槍
「…今、何と…?」
「で、ですから…その、私と心中して欲しいんです…!」
イディアとのデート中、思ってもみない告白をされました。
「きゅ、急で驚かれるかもしれませんが…その、そっちの方が…ま、魔女様にとって、絶対幸せになれるって思うんです…わ、私の方が!魔女様の勇者に相応しい…ので!今世は、その…諦めてもらって…ら、来世から…一緒に、やり直しましょう…!」
突拍子もない告白に、魔女は言葉を返せませんでした。
「ちょっと待った───!!」
「…!か、カナメさん…?!」
茂みから、魔女の目の前にカナメが飛び出してきました。本人は見当たりませんが、コハクの魔法で隠れていたようです。
「何ですかその暴論は!師匠と心中だなんて…そんなの絶対に許しませんよ!」
「ひぇっ…な、何ですかあなた…か、関係ない人は私と魔女様の話に、割り込んでこないでください…!」
「関係大ありじゃないですか!大体僕は…むぐ?!」
魔女は慌ててカナメの口を塞ぎ、イディアに聞こえないように小声で言いました。
「(間違ってもあなたが勇者な事は言ってはいけません!イディアさんはまだ気付いていない…どうにか勘づかれないようにして下さい!)」
「(な、何で隠す必要があるんですか?!)」
「(とりあえず指示通りに!後は私がどうにかします、カナメさんは来た道を引き返してください!)」
「ふ、二人で何を話しているのですか…!あなたは確か…カナメ…!ま、魔女様から…離れてください!あなたなんかが…そ、そんなに近づいていい方ではありません…!」
イディアは鞄から杖を取りだし、カナメへ向け魔力を込め始めました。
「…ごめんなさい、師匠…!師匠に危害を加えようとするのなら、誰であろうと許しません!こうなったら…イディアさん、僕と師匠を賭けた勝負をして下さい!」
「…しょ、勝負…?な、何のつもりですか…!」
カナメが徐に杖を取り出し空へかざすと、池の水が浮き上がり板のような形になりました。
「こ、これは…ま、魔女様の…貴重な寝間着姿……?!」
浮かんだ水の板に、魔女が写っていました。布団にだらしなく寝転がり、昼寝の最中のようです。
「水魔法と光の屈折を利用し…僕の記憶の中にある最も可愛らしい師匠を作りました」
他に人がいないとはいえ、こんな昼間にでかでかと自分自身の昼寝姿を見せられると、とてつもなく恥ずかしいです。
「勝負です、イディアさん…魔法を使って、どちらが最も尊い師匠を作れるのかっ!」
「…っ!そ、そんなの私が勝つに決まっています…で、ですが…いいでしょう、その勝負、受けて立ちます…!!」
イディアとカナメの魔女を賭けた謎の戦いが始まりました。
勝負と言って昼寝姿を晒したり、勝手に人の事を賭け事の景品にしたり…我が弟子ながら恐ろしいです。




