歩を進めて
数百年前のこの世界には...魔力も、獣族やエルフ族などの種族も存在していませんでした。
ですがある時...異界の門が開き魔王が訪れ、瞬く間に世界が魔力に満ちていき...それに適応できなかった人間は姿形を変えてしまいました。
どうにか残った人間達で魔王を倒そうと試みるも...結果は惨敗。もう滅亡の未来しかないのかと思いましたが...慈悲を持った女神が勇者を連れてきました。
勇者は世界各地から仲間を集め、魔王討伐へ旅立ちました。
そして...戦闘の結果は...引き分け...いえ、敗北と言うべきでしょうか。
魔王は数百年封印される...けれど、その代価として勇者の存在は世界から忘れられました。
.....たった1人の少女...蛇の魔女となってしまった哀れな人間を除いて。
ーーー
「...あの呪いが解けてきているのか、或いは...」
「隠している事があるのなら、ちゃんと言うべきですよぉ...」
深夜。魔女は屋敷のバルコニーの手すりに手をかけ夜空を眺めていました。すると、いつの間にか起きたのかコハクがやって来ました。
「...まだ起きていたのですね、コハクさん。もう夜更けですよ。」
「コハクに言わなくても良いですがぁ、あの子達...お弟子さん達、すごく蛇さんのこと心配していましたぁ...あまり隠し事ばかりしていると〜、信頼を失ってしまいますよぉ」
「分かっています。ただ少し...迷いがあるだけです」
数分再び空を見あげた後...コハクと一緒に、部屋に戻りました。
ーーー
「それでは...数日間ありがとうございました。また時間が空いた時...手土産を持って遊びに来ますね」
「いえいえ、こちらこそお財布を取り返して頂いて...感謝申し上げますわ。是非、またお越しくださいませ!」
ユレシフラスへ別れを告げ、次の目的地...パルスへ向かいます。
「はぁ〜、なんで徒歩で行くのですぅ...?」
「これも修行の一環ですからね」
「あたしは楽しいからこのままでいいよ!!」
結局、コハクもパルスまで同行することになりました。
「師匠は歩かないんですね...」
「はい、私は箒で十分ですので...皆さんは頑張って歩いてくださ...ちょ、コハクさん?!」
「コハクもその箒に乗せるのですよぉ!大体コハクは弟子じゃないですしぃ...1人だけ楽するのは許されないのですぅ...!コハクを乗せるか、自分も歩くか選択するのですぅ!!」
「ちょっ?!」
バランスを崩し、2人1緒に箒から落ちてしまいました。
「うぐぅ...楽だなんて...!そ、そんなに言うのであれば、歩いて行ってみせますよ!」
師として見栄を張るため、魔女は歩いて行くことを決意しました。
ーーー
「やっと着いた!結構パルスってのどかなところなんだね!」
数時間程歩き、到着しました。結局、魔女はミリアの背中に、コハクはカナメの背中におぶられていました。
「ふぅ...ありがとうございました、ミリアさん...早速、宿屋を探しに行きましょうか」




