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蛇魔女日記  作者: 悠守景
10/11

地下の兎

「ここは…カジノでしょうか?」


 小鳥を追った先にあったのは、ネオンの輝く地下にあるお店でした。店内に入ると想像通り、お酒の香りが漂い、カジノを嗜む人が見受けられました。


「わぁ!こんな所に可愛い小鳥ちゃんが…あら?初めましてのお客さんかしら?」


 優しい雰囲気を纏った店員の1人が小鳥に気づき、話しかけて来ました。


「ようこそ!カジノバーアルカナへ!…あら!あらあらあら!蛇ちゃんに狼ちゃん…そして猫ちゃんまで!可愛い娘が勢揃いじゃないですか〜!あ、と言うことはその坊やは…もしかしてご主人ですか?良い目をしていますね〜♪」

「ち、違いますよ!僕はただの弟子で…そんな関係じゃありません!」

「そうなのですよぉ…まったく、こんな木偶の坊に飼われちゃたまったものじゃないのですぅ…」

「あはは〜♪反応も可愛いですね〜♪」

「とりあえずカクテルをひとつと…りんごジュースを3つお願いします」


 端にあったテーブル席へと腰掛け、小鳥の反応を探ります。

 店内には十数名の店員らしき人とと数名の客で賑わっていしまた。恐らくこの中に換金所の主がいるのでしょう。


「お待たせしました〜!ついでにこの店のルールを説明しますね〜♪ここはバーとカジノがあるのですが、バーをご利用頂く場合はこのままこのお席で飲まれて構いません!ですが、カジノの方を利用される場合は…規定の衣装を来ていただく必要があります♪こちらでご用意しますので、カジノへお越しの際は店員に一言お願いしますね♪」

「ありがとうございます…ですが、衣装とは、一体なんでしょう?」

「おや、ご興味があるのですか〜?」

「ミリア、一緒にカジノへ行きましょう。カナメとコハクはここで待っていてください。」

「あら〜♪きっとおふたり似合いますよ〜!それではこちらへ♪」


 直接見に行った方が早そうだったので、魔女とミリア、二人でカジノへ向かいました。



「この服…なんかキツイですね…それに何だか露出が激しい気が…」

「見てみて先生!リボンが可愛い〜!」

「あら♪あらあら〜♪お二人とも似合っていますよ!とても…とても可愛らしいのです〜♪」


 何だか露出の高い服を着させられました。手の届かない所にチャックがあったりしたためなかなか手こずりましたが何とか着れました。

 服装的に、どうやら先程見えた十数名の人影は店員ではなくお客も混ざっていたようです。


「それでは、参りましょう〜♪」

「行こ〜う!ほら、先生も!」

「うぅ…は、はい…」


ーーー


「あ、最後のピザは頂くきますよぉ〜」


 師匠を待つべく、コハクとバーで待っていた。長くなりそうだったのでピザを食べていたのだが、最後のひとつはコハクに食べられてしまった。


「食べ過ぎじゃないですか?僕まだ一欠片しか食べてなかったのに…」

「食べれるうちに食べるのが捨て猫の鉄則なのですよぉ〜、どうせあの蛇さんの奢りなんですし〜、カメももう少し食べたらどうですかぁ〜?」

「……カメってなんですか…?」

「カナメって長いじゃないですかぁ…だからあなたはカメさんなのですぅ〜あ、メニュー表取ってください〜」


 いつの間にかに変な敬称をつけられていたようだ。


「食べるのもいいですけど、ちゃんと不審人物がいないか見ないと…せっかく師匠が潜入調査してくれてるんですから…」

「えぇ〜、でもぉ……正直あんな格好している人を遠くから眺めるのってぇ…変態さんみたいですよぉ」

「…それは、確かに」


 バーの方にいる人達は街でよく見るような格好だが、カジノにいる人達は…皆バニーガールの様な服を着ていた。


「しかし、なぜ皆揃ってあの格好を…っ!!」


 カジノを嗜む人々を見ていると…奥の更衣室から、バニーガールを着た師匠とミリアが出てきた。

 師匠の着るバニー服は黒を基調とした典型的なバニー服…なのだが、サイズが合わないのか…衣服から胸が零れそうになっていた。そして、腰の辺りから伸びる蛇の尾が恥ずかしそうに足へ巻き付いていた。

 一方、ミリアは師匠と少し異なり、ワインレッドの様な色合いで、リボンやレースが沢山付いていた。恐らくバニー服とメイド服の両方をイメージしているのだろう。ミリアの従順な性格ととても似合っている。


「うわぁ、気持ち悪いのですよぉ…蛇さんと狼さんが出てきた途端コハクの事を無視して凝視なんてぇ…」

「…っ!ち、違っ…!!違います!そういう目で見てたんじゃ…」

「そういう目ってどういう目なのですぅ?いや、やっぱり言わないで良いのですよぉ…変態さんの意見はどうでも良いのでぇ…所で…さっき1人、怪しい動きをした人が居るのですよぉ…」

「だ、誰ですか?!てか早く言ってくださいよ!」

「話しかけましたけど無視したじゃないですかぁ…。あそこの白色のバニーを着た人間の少女なのですよぉ。さっきあの少女の周りだけ、魔力が置換されたのですぅ…」


 その少女は遠くでポーカーを嗜んでいた。師匠からは少し距離があるようだ。


「魔力を…置換?一体なぜ…」

「多分蛇さんは気づいていないのですよぉ、コハクは賢い猫ちゃんなので魔力の流れが見えますが〜、普通は気づかない程度なのですよぉ…」

「そ、それじゃあ師匠に伝えないと…!」

「忘れたのですかぁ?カジノへ行くには着替えないといけない〜…今から着替えてちゃ逃げられちゃうのですよぉ」

「それは…確かに…でも、一体どうすれば…」


 どうすればいいか迷っていると…突然、カジノの光が全て消えた。

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