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72. 魔法の国 キュートの毛の中の秘密

いつも読んでいただきありがとうございます。


更新の間隔が開いてしまいました。すみません。


今月は不定期投稿になりそうです。


"いや~、何とかなるもんですね~。私もあんなに強い光りは初めて見ましたよ。長生きをするもんですね"


 呑気な感じで発言している精霊様。


 いや、そんな発言で収まりますか?


 呪いは解呪できたものの、レグルスから放たれる光が強くて顔が認識できないくらいだったんですけど…。


 魔女さんが光を抑えることの出来る魔道具を持っていてそれで強い光りは弱い光りへと変化したから良かったんだけど…。


 その魔道具を探し出すのに時間がかかって大変だったんですよ。魔女さんの家の中が片付いてなくて本人も持ってはいるけどどこにしまったかを覚えていない状態だったから探し出すのに結局…1時間ぐらいかかったんです!


 整理整頓は大事!


 当のレグルスは自分が光っていることが認識できないらしく動き回るから眩しいし…。

 はぁ~、本当に見つかって良かったです。


 あの魔道具がなかったら暫く強い光を放つレグルスと一緒にいることになってましたからね。あれは落ち着きません。


"魔女よ、本当に助かった。感謝する"


 精霊様と魔女さんがやっと落ち着いたのでお茶をしながら話をしています。


「使っていない魔道具だったし、気にしなくて良いわよ。久しぶりに懐かしい顔が見ることが出来たんだからね」


 この二人…良い雰囲気だわ。


 ぐうぅぅぅ~!!!


 良い雰囲気をぶち壊す大きなお腹の音が響きました。


 私じゃありませんよ。


「あっ、すまん。私のお腹の音だ。さっきのフワケンを食べるつもりでいたから何もまだ食べていなのを忘れていたよ」


 モコ…本当に危機一髪だったんですね。そりゃ、震えも止まらないか…。


 お礼を兼ねて何か作ろうかな?


 モコを差し出すわけにもいかないし…。


「あの~、よろしければ私が何か作りましょうか?レグルスを助けてくれもらったお礼になれば嬉しいです」


「本当かい?それは嬉しいね。頼むよ。あっ、でも材料が家には無いんだけど…」


 この人、どうやって生活していたんだろうか。


「森の中を散策して食材を取ってきます。仲間が手伝ってくれると思うので時間はかからないと思います」


 そう言いながらモコ達の姿を探す。


 …えっ!?まだモコ震えてる!?


「そうかい?ありがとね。楽しみに待ってるよ」


 目線で捉えたモコがまだ震えてるのを確認しながら近寄る。すると、キュートが私に近寄って来た。


"お兄様は体調がまだ優れないみたいなので私と妖精さんとで食材は探して来ますわ"


「あ…そう?じゃあ、お願いするね」


 反論…はできないのですんなりとキュートの提案に従う。モコとは目線すら合わない。心配だけど妹のキュートが見ていたんだから大丈夫だよね。


 …私は食材を探しに行こう。


 レグルスはモコが心配だからと言ってそこに居残ることになったので私とキュート、それから妖精さんとで食材探しに出掛けた。


"あっ、あれは食べられそうじゃない?"


 妖精さんが指差したのは真っ赤なキノコ。


「…あれは毒キノコだよ」


"あれは?"


 次に指したのは青いキノコ。


「あれも毒キノコ」


 感性が違うのかな?さっきからどう見てもけばけばしい色のキノコを指差しているんですけど…。どう見ても食べられそうにないと思うのは人間だけなのかな?


「…と言うか、妖精さんは森の仲間に頼めばすぐに見つかる…とかはないんでしょうか?」


 思わず敬語で聞いてしまいます。


"あっ!それね!出来るわ!"


 おいおい…。しっかり妖精さん!


 あれ?そう言えばキュートの姿が見えないけど…どこに行ったんだろう?


"ふう~、これだけあれば大丈夫ですよね"


 キュートが戻ってきたと思ったら沢山のキノコや木の実、それに見たこともない食材まで持って帰って来ました。


「え…その布はどこから持ってきたの?」


 沢山の食材を大きな布…前世で言えば風呂敷に包んで帰って来て、私達の前で広げたんですよ。あの布を見たことが無いんですけど。


"いつも持ち歩いてますわよ"


「へ?」


"いつも手入れした毛の中にいれて持ち運んでいますわ"


「えっ?そうなの…知らなかった」


"他にも色々と準備はしてますわ"


 他にも何があるのか気になる。キュートの事だからとんでもない物が出てきそうで怖いけど気になりますよね。


"あっ、今は見せませんわよ"


 何かを察して言う前に断られてしまいました。


"もう仲間を呼ばなくても良さそうね"


 妖精さんが沢山の食材を前に満足そうにしています。


「うん…そうだね。みんなの所に戻ろうかな…」


 キュートの毛の中が気になりながらも言い出せず、魔女さんの家に戻りました。


 帰る道中に何を作るのかを考えていたのですが…。


「お帰り!良い食材は見つかったかい?」


「はい。キュートが沢山山の幸を採ってくれましたよ。これでご飯を作りますね。もう少し待ってください」


 ぐうぅぅぅ~!!!


 また盛大にお腹の音が響きました。


 これは急いで作った方が良さそうです。


 家の中の調理場に急ぎ足で向かいます。


 何を作るか…。簡単ですぐ出来る…そうだ!あれにしよう!


 大きな鍋を探して水を張りその中に採れたてのキノコと野菜らしき物、それから秘密兵器を投入!グツグツ煮込みます。野菜らしき物は鑑定をしたら食用と出たので大丈夫だと判断しました。


「すいませ~ん。外で鍋を火にかけたいので準備しといてもらえますか?」


 外にいる魔女さんに声をかけます。


「わかった!」


 魔女さんに聞こえたみたいです。


 キノコが煮えたみたいなので秘密兵器を取り出して鍋ごと外に持っていきます。


「これを火にかけてくだい。私は別の食材を持ってきますね」


 私はまた調理場な戻り今度はマジックバッグにしまっていたお肉を取り出して薄くスライスしました。それを綺麗にお皿に盛り付けて…完成です!


「お待たせしました~!ご飯ですよ~!」


「おお~!待ってたよ!しかもそれ…お肉じゃないか!?久しぶりの肉…肉だよ!」


 魔女さん…余程お肉に飢えていたみたいです。


「これはどう食べるんだい?焼くのかい?」


「いえ、これは先程の鍋の中にこのお肉を一枚ずつ入れて…説明するよりも実際にお見せしますね」


 私は魔女さんの前でしゃぶしゃぶを実演して見せた。


 そう、さっきの秘密兵器とは昆布だったんです。海の町に聖女として仕事に行った時に海で拾って乾燥させていたものがあったんですよ。


 思い出して良かった~。


「もう食べても良いかい!?」


 私が昔の事を回想している間、魔女さんは待てなかったみたいでお肉を箸で掴んで鍋に入れてました。


「これにつけて食べてくださいね」


 出したのはなんちゃってポン酢です。酸味のあるフルーツとなんちゃって醤油を混ぜて作りました。


「どれどれ…。う、旨い!これはキノコの旨味もあるし、あっさりしていて沢山食べることが出来そうだよ!」


 魔女さんの箸が止まりません。


 喜んでもらえて良かったです。


 うちの食いしん坊さん達はというと…。レグルスを使ってしゃぶしゃぶを作らせて自分達だけ食べていました。


 …流石ですね。


 レグルスはモコの取り分もこっそり取り分けてあげているみたいです。優しいよね…。


 あっ、早く食べないと私の分がなくなりそうです!


「私の分も残しといて下さいよー!」











 

 






 


 




秘密の同盟


フワケンのモコとは同じ立場の弱い男性同士と言うことで会話できるようになってからよく話をする。


最近はもっぱらモコの妹のキュートについての話題が多い。


"やっぱりキュートは妹ではなく姉だと思うんだよ"


「えっ?なぜそう思うんだ」


"…アイツ強すぎるんだよ"


「それは何が強いんだ?」


"精神も力も…全てだ。俺とは比べ物にならない"


「そうなんだね…」


それは見ていて何となく思っていたが…そんなに違うのか。


"俺…心が折れそうだ"


何も言わずモコの体をポンポンと励ますつもりで軽く叩く。


"なあレグルス…お前のことを兄貴と呼んで良いか?"


「私にこんなに可愛い弟が出来るなら大歓迎ですよ」


"兄貴!"


モコはレグルスに突進した。


レグルスは優しくモコを抱擁している。


それを見つめていた妹達の存在を知らずに…。

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