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6. 花の国 やっぱりピンチ!?


 泊まっていた宿屋を早朝に出発して次の目的地を目指す。


 昨夜レグルスと話し合った結果、次は大地の国に行くことになったんです。ただ花の国から大地の国に行くには山越えをしなくてはならないので手前の村で一泊してから大地の国に行くというレグルスの意見に従う事にしました。


 今、その花の国の端の村に到着したのですが…。


「今までと雰囲気が違う…花の国だよね?」


 私の第一印象はこれだった。だって、花の国は全てがカラフルで見た目が楽しい印象だったんだけど…この村に関してはあてはまらないんだよ。


「なぜ白一色?」


 見渡す限りの全ての建物が白色一色!目が痛いくらいだよ。カラフルはどこにいった!?おまけに花まで白で統一されてるよ!


「ここは花の国の始まりの村と言われているんです」


 レグルスは私の驚きをよそに淡々と説明を始めた。


「大昔、この一体は魔物で溢れる黒一色の村だったらしいのですが、その時の聖女様がこの村に来られて魔物退治をした時に光に包まれて黒色から白色に変化したと言われています。そしてその聖女様がこの花を植える様にと村人に手渡されたのがシャボ花で、そのシャボ花から飛んでいったシャボン玉が他の村を色づけたという伝説の話が残っているのです。それがカラフルな花の国の始まりの物語だと言われているそうです」


 へぇ~、そんな謂れがあるんだね。シャボン玉が色づけしたなんてファンタジーだよね。さすが、異世界!


「なので、ここでアイオラ様が隻眼聖女様だとバレると物凄い騒ぎになりますので気をつけて下さいよ」


「え?」


「ここは聖女信仰が色濃く残る村なんです。おそらく貴女の事を知っている村人がいる可能性があります」


「え!そうなの…でもマント着てるから大丈夫じゃない?」


 これさえ着ていれば誰にもバレないと思うんだけど。


「甘いですよ。アイオラ様、秘かにこのマントを聖女印のマントとして売り出してましたよね?」


「………」


 なぜバレているの!?私の顔に大量の冷や汗が滝のように流れ出ています。


 だ、だってどうしてもブラックドラゴンの革が欲しかったんだよ!!!


 聖女なんて言われても実際はブラックな職場でお給料も雀の涙程しかなかったから生活用品を買ったら消えちゃうんだよ!それじゃあ、いつまでたっても○宗様と同じ眼帯は作れない!!!だから私は秘かに材料を集めて(主に信者さん達からの寄付もしくは貢物とも言う)マントを余分に作り、変装までして街に行き売ったのに…なぜバレてるの?


「なぜバレてるの?とか思っているんでしょうけど、売りにいった店の店主が怪しいと思って私に連絡をくれたんですよ」


 え…即バレじゃないですか!!!


 ぐっ…あの店主さん笑顔で接客してくれていたのに私の事を怪しい人物だと思ってたんですね。


「そのマントの買った一人がこの村に住んでいるんですよ。だからマントを着ているとしたらバレますよ」


「怖!何で買った人まで知ってるの!?」


「このマントの効果を知っていたら誰でも調べると思いますよ。悪用されそうな相手なら売らない様に店主にお願いしたのは私ですからね。感謝してくださいよ」


 そんなことまでしてたんだ。


「因みに、他の2着は洗い替えとして私が購入しましたからね。私達以外でマントを持っているのはこの村にいる神官だけです」


「神官様がマントを買ったの?」


 意外な言葉が出てきたので思わず聞き返してしまった。


「ええ。しかもかなり身分の高い方だったので私も知った時は驚きました」


 身分の高い神官様がなぜマントを買ったのか不思議だけどそれならやっぱり心配しなくても大丈夫じゃないかと思うんだけどな。


「身分が高いなら村を歩かれることもないから会う心配は無いんじゃ…」といいかけた時「あっ!」と驚く声が聞こえてきた。


 しかも声のした方に目を向けるとバッチリと目線が合う。嘘でしょ…。


「アイオラ様って変な所で引きが強いですよね…」


 呆れたような視線で私を見るレグルスが大声を上げた人物を見て溜め息をついた。


「言わなくてもわかっていらっしゃると思いますが、あの人がマントの購入者です」


 うん、言われなくても見てわかりました。同じ聖女印の黒マントを着てますからね。物凄い速さで近づいてきているのが確認できます。白い世界に黒いマントは物凄く目立っています。そのマントの効果が無いんじゃ…。


「そ、その眼帯。せ、隻眼聖女様で間違いないですよね?」


 興奮気味で近寄って来た人物は花の国らしい色を持った美しい人だった。


 髪の色は紫色のグラデーションというのか藤色や桃色も所々に混じっているし、瞳もブルーのグラデーションで不思議な雰囲気を醸し出している。レグルスもイケメンだと思うけど、この人はまた違うタイプのイケメンさんだ。綺麗すぎて中性的だからかな。キラキラした瞳でそんなに見つめられると…対応に困ります。


「無礼を承知で失礼致します。護衛騎士のレグルスと申します。神官長のフリージア様でしょうか?」


 近づいてきた男性と私の間にレグルスが割り込み話しかけています。…今、神官長って言った!?


「いかにも私がフリージアだが…なぜ私の事を知っているのだ?」


 訝しそうにレグルスを上から下まで見ています。


「そのマントでわかりました。聖女印の限定品ですからね」


 神官長に対して動じること無く笑顔で対応するレグルスの心臓の強さに驚きです。騎士だからなの。


 だけど、まさかこんなに早く気がつかれるなんてどうしよう!?もしかして、緑の国に密告されて強制送還で旅は終了!?なんて事にならない…よね。




 








 


 


 


 


 


 






 

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