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57. 雨の国 精霊の泉に行こう!

いつも読んでいただきありがとうございます。


まだ雨の国続きます。




"ちょっとアイオラてば忘れるんじゃないわよね!"


 朝突然に妖精さんが怒りながら私を叩き起こした。忘れてる?何を…あっ!


「忘れてました。精霊の泉のことですよね…」


"そうよ!人がせっかく話をつけてきたのに宿に籠って料理三昧!何しにこの国に来たのよ!"


 おっしゃる通りです。反省…。


"ん~、でもレグルスの姿がないし今日は行けないわよね?"


 キュートの指摘に妖精さんが耳を傾けています。


"本人が居なくても大丈夫なのよ。精霊の泉にアイオラが行ってすることすれば呪いは解けるわ"


"そうなのね"


 キュートと同じく私もそうなんだ~と思ってしまいました。解呪の仕方をよく知らないからダメなんだよね。これまた反省です。


"…で!今日は行けるの?"


「え~と…行きたいんだけど行けるかどうか…聞いてみないと…」


"あ~もう!ハッキリしないわね!さっさと聞いてきなさい!"


「はい!」


 妖精さんの気迫にビビり身支度を済ませて食堂に行きます。いつもそこでアイウさんが待っているんです。


「おはようございます」


 食堂に入るといつもと違う感じが声が聞こえてきました。


「おはよー!あんたが私の代わりに料理をしてくれていたお嬢さんかい?」


 いつもならアイウさんがいるだけの食堂に見かけない女性がいます。恰幅がよくて肝っ玉母ちゃんって感じの人です。話の内容からしてこの人がアイウさんのお母さんで宿屋のおかみさんかな。


「はい、アイオラと言います。アイウさんのお母様ですか?」


「ハハハッ!お母様ってガラじゃないよ。ジウって呼んどくれ」


 豪快にバシバシと私の背中を叩くジウさん。これも万国共通のおばさまのコミュニケーション方法よね。


「宜しくお願いします」


「こちらこそだよ。いつもアイウを手伝ってもらってありがとね。助かったよ」


「いえ。あの…今日はジウさんがいらっしゃるなら私はお休みでしょうか?」


「ここに来てからずっと働いてもらってたんだよね。観光にも行かせないなんて悪いからね。今日は休んでおくれ。ただ…アイオラさんの作る料理が美味しい!とアイウが言うのが気になってさ…違う日で良いから作って食べさせてもらえないかね?」


 どうやらアイウさんがお母さんに会うたびに「アイオラさんの料理は見たこともないし美味しい!」と言っていたそうです。話を聞いていたジウさんは「なぜ持ってきてくれないんだい?」と喧嘩にまで発展したんだって。食材を使いきってたからね。すいません。


「わかりました。今日は出かけたいので明日でも良ければ作りますよ」


「本当かい!?ありがとね。出かけるなら後でまたここにおいで。お弁当を持っていきなよ」


「ありがとうございます」


 一旦部屋に戻り妖精さんにお休みがとれたので精霊の泉に行けることを話した。


 レグルスはまだ帰って来ていないけど、少しでも早く呪いは解いた方が良いはずだし怒られることはないよね。


 とりあえず出かける準備をしなくちゃ。


 そうだ!元婚約者が近くにいるから変身の魔法を自分にかけておかないといけないよね。どんな感じにしようかな…。


 …の前に、ジウさんとこに行かなくちゃだね。変身した後だと誰かわからないから驚かせちゃうよ。


 食堂に行くと美味しそうな良い匂いがしてきた。


「あっ、来たね。これを持っていきな」


 渡されたのは大きな紙袋。その中から良い匂いが漏れてます。見なくても美味しいのが匂いでわかるよ~。


「ありがとうございます。後で食べますね。行ってきます」


「気をつけてね」


 ジウさんに手を振られながら食堂を後にした。急いで部屋に戻り変身魔法をかける。


「こんな感じかな…。よし!」


 この国の人に多い青色の髪色にアクアマリン色の瞳にしてみました。


"あら、似合ってるじゃない"


「え?そうかな。ありがとう」


 珍しく妖精さんに褒められちゃった。


"まぁ、パッしないけどね"


 おおっと…上げて落とすやくだったか…。妖精さんのツンツン健在です。


"早く出かけましょう"


 キュートのマイペースも健在ですね。その後を黙ってモコがついて行くのが見えます。パワーバランスは変わらずだね。


「そうだね。出発しよう~!」


 宿から出ると今日はまだ雨が降っていない。夕方までくらいは降水確率0%らしい。出かけるにはピッタリの日だけど…人が多いのが難点かな。


 まぁ、私達は森に行くから人混みは街だけの話しか…。


"話をつけてるからあの木のところに行けば泉に繋がるわよ"


「そんなに便利な事ができるんですか?」


"ふふんっ、私だからできるのよ。さあ行くわよ!"


 何だろう…。何かいつもより妖精さんがはりきっているような気がするんだけどな…。ん~、違うかったら怒られるから様子をみようかな。


"何してんの!置いていくわよ!"


 気がつくと私以外は木のところに集まっています。何だ?キュートまではりきっているよね?何があるんだ。


 不思議に思いながらも木まで走って行った。


"行くわよ!"


 妖精さんが私達の周りをくるくるとまわりを飛びながら光る粉をかけている。しばらくするとキラキラと白く周りが光り見えていた景色が見えなくなった。


 次の瞬間景色が一変していた。


「うわぁ、森だ」


 街並みが消えて周りは木だらけの森に変化しています。妖精さん凄い!


"こっちよ"


"楽しみね!"


 ん?今、キュートが楽しみって言ったように聞こえたような…。


 少し歩くと視界が急に開けて目の前に綺麗な七色の泉が出てきた。ここが精霊の泉?


"ちょっと、お兄様この水の中に入ってくれないかしら?"


"は?嫌だよ"


"お兄様…可愛い妹のお願いが聞けないのかしら?"


 キュートの威圧感が凄すぎます!モコの顔色紫色だよ~!血の気引きすぎ!


"わかった。少し足をつけるだけだからな"


 トボトボと重い足取りで泉の水に足を浸けると…七色だった泉の色が真っ白に変化して気がつくとモコの姿が消えていた。


「えっ!?モコ!?モコはどこに行ったの?モコ~!!!」


 大声で呼び掛けてみたが反応はない。気になるのはキュートと妖精さんが落ち着きすぎていることだ。


"そろそろね"


 妖精さんが何かを呟いた後にキュートが頷くのが見えた。そのすぐ後に泉の色がまた変化した。


 今度は何よー!!!


 泉がまた七色に光り泉の中央に誰かが立っているのが見えた。


"キャー!出た!出たわ!"


"あら、本当にイケメンですわね"


 妖精さんとキュートはその人物を見て喜んでいる様だが…目的はこの人だったわけ?


 …というか、あれは誰?




 






 







 




 


 










"俺って結局、損な役回りじゃない?"


"目立って良いじゃないですか。お兄様は不満ですか?"


"不満じゃないけど…"


それ以上は言葉が出ないモコ。


頑張れモコ!


挫けるなモコ!


いつか作者が君を幸せにしてあげる…はず。


                   つづく?

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