29. 精霊の国 祭りの後
精霊王様が一日早く来たことで開催も一日早まった祭りは早く終わること無く予定どおりの日に無事に終わりました。今は叔父さんの家に帰って来て部屋で休んでいるところなんです。
いや~、皆さん熱かったですよ。
今までの祭りは精霊王様がお姿を見せる事はなかったので精霊王様の像を世界樹の前に作りそこで集まって祭りを開催していたらしいのですが、今回は何百年ぶり?にお姿を見ることができたのでこの国の人達の興奮度がマックスでしたよ。
因みに食べていただいたミートソーススパゲティーはこの国の名物にする事が決定したそうです。何でも"精霊お気に入り!"をアピールしていくそうです。
ただのミートソーススパゲティーなのに…。
精霊王様も祭りの間はずっといてくださり、奉納の踊りや歌等を見聞きされて満足されていました。
グガー、グガー…グ!
大音量で聞こえてくるのは興奮して祭りの間、寝付けなかった妖精さんとモコとキュートのイビキです。妖精さんは興奮していたのが理解できるけど…なぜモコとキュートまで興奮していたのかは謎なんですよね。
まあ、それは置いといて…。
皆が大人しく寝てくれているので今は頭の中を整理しようと考えていたんです。いろいろな新事実が分かって頭の中がぐちゃぐちゃなんですよね。
え~、とりあえず何から考えようかな。
たぶん下のリビングでは叔父さんとレグルスが話をしているだろうから…レグルスと私が"使命の星"を持っているというところから考えようかな。
今のところ私のミッション?は検討もつかないんだよね。レグルスのは何となくだけど見えてきてるんだけどな…。
妖精さんに言われた"星の呪い"から考えてもレグルスは星の国に行って何かをする事がミッションだと思うんだよね。
今、下で叔父さんとどんな話をしているのか気になるところだけどプライベートな事を根掘り葉掘りしちゃダメだよね。…ということで聞くのを我慢。
問題は私か…。
私のミッションって何?
孤児だから自分の両親もわからないんだよ。検討もつかないよ。
…聖女になることがミッションとか?
でもそれなら精霊王様の言い方が少し違うような気がするよね。あの言い方だとまたミッションは達成されていないみたいな感じだった。
他に考えられること…。
転生者だから前世の知識を活かして無双する?
いやいや前世のライトノベルの読みすぎかな。私は聖女といっても国を追放されたんだし無双できないよね?
看護師だったから薬の知識はあるけどこの国では薬が揃わないから役にたたないだろし、独り暮らしだったから料理はしていたけど人並みレベルだしね。後は○宗様とか日本史の知識はあるけど昔にタイムスリップしたわけじゃないから全然役にたたないよ。
…そういえばこれは関係無いのかな。
実は教会に捨てられていた私の首に袋のついたネックレスがかけられていたそうなんです。その袋の中を見ると小さな石と手紙が入っていて、手紙には"この石はこの子の出生を明らかにする物なので大事に預かって欲しい"と書かれていたそうなんです。
その石は、スミレ色の不思議な輝きをしている石なんですよ。今も持ち歩いているんですけどこの石を調べれば何かわかるかもしれないのかな。
手掛かりはこれくらいしか思い付きません。
コンコン。
「アイオラ様、お話があるのですが少しお時間宜しいですか?」
扉を叩く音がした後、レグルスの声が聞こえます。どうやら叔父さんの話しは終わったみたいですね。
「どうぞ」
扉を開けたレグルスの表情が少し疲れた顔をしていました。叔父さんの話しはレグルスにとって良い話では無かったのかもしれません。
レグルスは部屋にある椅子をベッドに腰かけている私の近くに持ってきて座りました。
「これからの旅の事なんですが…行きたい国があるんです」
「行きたい国って星の国?」
「えっ!?どうして…わかったのですか?」
あっ、そうだよね。レグルスには妖精さんの話を言っていないから驚くよね。だけど…呪いの事は言わない方が良いよね。
「え…と、勘?」
「何かを隠してますよね?嘘をついている顔をしていますよ」
その嘘をついてる顔って何!?確かにレグルスに嘘をついても殆どバレているけど…。
「いや、あの…ほら、お母様が星の国には行かないようにって言っていたから何か関係があるんだろうなと思っただけだよ…」
目を泳がせないように我慢するのに必死だよ。
「いいでしょう…。話す気になったら言って下さいよ。本題に戻しますがお察しの通り、星の国に行きたいと思っています」
やっぱりそうだよね。でもそうなると星の呪いについてもう少し調べておく方が良いかもしれないよね。そうじゃないと、星の国に行って呪いがどう反応するのかわからない。
…なんだかお気楽な旅行から離れていってる気がする。
いや、ダメだ!こんな時でもやることはキチンとやって楽しむ!それが大事!
「うん、わかった!星の国に行こう!」
さっさと問題を解決して旅行を楽しむ!そしてガイドブックを作成するぞ~!
あっ、私の問題がまだ残ってたんだ…。




