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23. 精霊の国 邪な気持ちはダメだよね


「レグルス…本当に大丈夫なのかな?」


 空の国からモコの力を借りて悲鳴をあげそうなのを我慢しながら地上に着きましたが、問題はその後です。精霊の国に案内してくれるはずのレグルスが森の中を上を見たり下を見たりしながら同じ場所をグルグルと歩いているんです。


"腹が空いた"


 モコは能力を使ったせいかさっきからずっとこの調子だし、頼りにしていたレグルスは無言で歩き回っているし…どうしよう。


「あった!これだ」


 急に大声を出して立ち止まったレグルスは下を見ながらその場にしゃがみこんでしまいました。


 何を見つけたんだろう?


「アイオラ様、お待たせしました。ここで間違いありません。少し離れて待っていてください」


 レグルスが私達の方に振り返り言葉をかけた後、また周りを見回している。


「叔父さん、お久しぶりです。入れてもらえませんか?」


 レグルスの言葉に反応したように木々がザワザワとし始めました。何がおきるんだろう。


「嘘…」


 さっきまで目の前にあったのは大きな木だけだったのにいきなりアーチ状の入口が現れました。そしてそこには青々とした木々の緑のような緑色の長い髪に緑の瞳をした綺麗な人が立っています。


 さっきまで気配も無かったよね…。どうなってるの?


 驚きすぎて固まっていると、レグルスが綺麗な人と挨拶を交わし、抱きしめられています。


「アイオラ様、もう大丈夫です。こちらに来てください」


 気を取り直しレグルスの元に行く。


「おお!貴女様が隻眼聖女様ですか。ようこそ精霊の国へ」


 見た目だけだと性別がわからなかったけど声を聞くとどうやら男性のようです。若く見えるけどもしかしてこの人がレグルスの叔父さんなのかな?


「初めましてアイオラです。お世話になります」


 ペコリと頭を下げた。


「さあ二人とも早く入って下さい。もうすぐ閉じてしまいますから」


 閉じる?何が閉じるのかと気になりながらも追いたてられるようにアーチの内側に入った。アーチをくぐった瞬間に変な感じがしたんだけど見た目的には異常がない。何だろう?説明しにくい感じ。


 何気なく後ろを振り返ると景色が変わっていて驚いた。


「え?ここどこ…」


 一人だけ驚いているとレグルスが説明してくれた。


「精霊の国は国の中の人が招きいれてくれないと入れないようにカモフラージュされているんですよ。しかも位置も移動するので目印を探して歩かないといけないのです。早く見つけられて良かったですよ」


 なるほど…。森の中のレグルスの挙動不審の動きは目印を探していたのか。大丈夫なのかなと心配したよ。しかし、カモフラージュってかなり高度な魔法が使われているってことだよね。


 精霊の国はそのなの通り精霊さん達が暮らす国です。この国については聖女のお勉強の時に教えてもらったので覚えています。ただ、私が覚えている限りではこの国に入るのはかなり難しいって言っていた気がするんだよね。


"腹減った!"


 モコが急に大声を出したのでビックリして固まっているとレグルスが心配して側までやって来た。


「モコがかなり大きな声で鳴いていますがどうしたのですか?」


「お腹が空いたんだって…」


 確かにかなり前から言っていたのを無視してたからね。怒っているんだろうな。


「それなら…少しお待ちくださいね」


 レグルスは先程の迎えに来てくれた男性の元に走って行った。たぶん、この辺にご飯を食べることが出来るところがないかを聞いているみたい。


 そういえばこの国にはいつもの屋台村が見当たらない。いつもなら乗り物乗り場か村の入口辺りに屋台村があって美味しそうな匂いがしてきて…っていう感じだったのにな。


 周りを見ても屋台らしき物は見当たらないな。そういえばこの国の建物は他の国と違って木造建築の家しか無いみたい。前世でいうログハウスみたいな家ばかりです。やっぱり国ごとに特徴があるんだな~と見ていたらレグルスが戻ってきました。


「この辺りには食べる所は無いらしく少し先に食堂があるらしいです。そこまで急ぎましょうか」


"急げ!お腹減りすぎだ~"


"お兄様!はしたないですよ!"


 モコとキュートのケンカする声を聞きながら食堂に急いだ。案内されたのはやっぱりログハウス調の建物。他と違うのは建物の外に看板があるだけだ。


「この国にはあまりお店が無いんだよ。あまり外からの人が来ることもないからね」


 なるほど、それで屋台村も無いのかな。


「取り敢えず中に入りましょうか」


 レグルスと店の中に入ろうとしていると後ろから声がかかった。


「僕はその間に泊まれる準備をしておくから、ゆっくり食べておいでよ」


 どうやらいつものメンバーだけでの食事になりそうです。店の扉を開けると中から木の良い香りがしてきます。店内のテーブルも椅子も木で作られています。こういうのってカントリー調って前世で言ってたかな。可愛い感じです。


「いらっしゃいませ~。えっ!外からのお客様?珍しいわね~」


 店の奥から出てきてくれたのはこれまた綺麗な人です。深い新緑色の髪を一つにまとめてポニーテールにしています。声からするとたぶん…女性かな?


「あの~、動物も一緒なんですけど良いですか?」


「大丈夫ですよ~。店内で暴れなければ離してもらっても良いですよ」


 おお~!何と良い人だ。


"早く下におろせ"


 ある一点を見つめながら暴れています。


 モコよ、貴方の思惑に私は気がついているよ。あの、お姉さんの元に行こうとしているよね。


"ご主人様、私を先に下ろしていただいても宜しいですか?お兄様の好きにはさせませんから"


 さすが妹!モコの考えを読んでいるみたいです。私はキュートから先に下におろしました。キュートはすぐに店員のお姉さんの元に行き可愛らしくすり寄っています。


「きゃーっ、可愛い!モコケンなんて久しぶりに見たわ~。フワフワね~」


"チッ…"


 モコ…舌打ちが聞こえてるよ。って言うか犬も舌打ちが出きるの?


"俺のポジションが…。しかし行かなければ!"


 諦めたのかと思っていたら、どうやらそうではないらしい。下におろすとすぐにお姉さんの元に向かっている。


「あら?もう一匹いるのね。可愛い!あっ、そうだわ!あなた~!」


 モコもすぐに抱き上げられるのか思って見ていたらお姉さんは誰かに声をかけている。奥から出てきたのは…。


 ムキムキ筋肉の厳つい男性だった。


「旦那はこんな感じなんだけど可愛い物や動物に目がないのよ~。可愛い子が抱けて良かったわね~」


 モコの目が死んでいるのは言うまでもない。


 やっぱり邪な気持ちはダメだよね~。







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