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19. 空の国 仲間が増えました…


 な、何でここに王族がいるの!?


 さっきまではモコモコ癒しタイムで癒されていたのに急に空気が変化しちゃった。でも…このイケオジさんに威圧感みたいなものは一切感じませんよ。格好もラフな白シャツに青色のズボンを履いているだけでだしね。いや…まって、よく見れば服の布地が高そうな感じがするかな。


「アイオラ様早く!」


 レグルスがイケオジに見とれていた私の手を引っ張ったので座り込んでしまった。横にいるレグルスの手が伸びてきて私の頭を下げさせる。


「アイオラ?どこかで聞いたことが…もしかして…隻眼聖女様では?」


 イケオジが私の名前を知っていたらしく尋ねられる。正直に答えて良いものかと悩むが王族に嘘をついて後でバレても厄介なので素直に答える事にした。いや~、しかしこんな離れた国まで私の事が知られているなんて照れますね。


「はい。お名前を覚えていただいているなんて光栄です」


 頭を上げてマントの帽子をとり営業スマイルを見せる。イケオジさんは驚きの表情になりじっと見つめられている。照れちゃう…。


「何と!それは魔道具マントですか。お顔が変化して驚きました。名前を覚えていなければわからなかった…。それに…本当に眼帯をされているのですね」


 どうやら眼帯が気になるらしく目線が眼帯に注がれている。いや…本当に照れるから。


「眼帯をされていてもこの美しさとは…。さぞかしお辛かったでしょう…」


 その言葉は散々周りの人達から言われてきました。だけど何回でも心の中でだけ言いますが私は眼帯を愛しているので傷を治していないだけなんですよ!と思いながらまた営業スマイルを作る。


「お気遣い感謝します。しかしこれも私の運命だと思っております」


 眼帯ラブなのを言っても理解してもらえないのでこの説明が一番皆様に理解してもらえるんですよね。こら、レグルス!笑いを堪えて肩を震わせない!レグルスには眼帯の理由を正直に話しているのでこのやり取りが面白いらくいつもこの話を聞くと笑っているんです。


「素晴らしい!心までお美しいのだな。私からお近づきの記しに何かをプレゼントさせていただきたいのだが…何かご希望はおありかな?」


「ブッ…」


 レグルス笑い声我慢しないさいよ。勝手に誤解されるのはいつもの事でしょ。ほら、変な目で見られてるよ。私はまたまた営業スマイルを作り両手を顔の前に持ってきて首をあざとく傾げる。


「宜しいのですか!それではそのモコモコ…ではなくてそちらの動物をいただきたいです」


 私の言葉を聞いたイケオジさんはモコモコを見て暫く考えていた。まさか可愛いから手放したく無いなんて言いませんよね。イケオジの返事を黙って待ちます。


「ふむ、フワケンが気に入ったのか。ならばこの子供でどうだろうか?元気すぎるところはあるが、なかなか賢いぞ。今は一緒に生まれた兄弟達と散歩に来ておったのだが目を離した隙に逃亡してしまってな、そこを隻眼聖女様に捕まえてもらったのだが…」


 その動物、フワケンって言うんだ!見た目通りの名前だなと思ってイケオジに抱かれているフワケンを見ていたら目が合った。


「キュン!」


 あれ?私の胸の音が聞こえた?


「キュンキュン!」


「どうやらこいつも隻眼聖女様の事が気に入ったみたいですな」


 え!?今のフワケンの鳴き声なの~?可愛すぎ!キュンって萌えるしかないよ~!


「アイオラ様、また透明な液体がお口から出てます。早く拭いてください。あと顔を戻してくださいよ」


 さっきまで自分も顔を崩して笑ってたくせに、もう平常運転モードになってる。


 イケオジはフワケンを私の前に差し出してきた。フワケンは尻尾をブンブンと振り回して舌を少し出している。


 可愛すぎるだろ~!!!


 私は口から溢れようとする透明な液体に注意しつつ、荒くなる鼻息も何とか堪えてフワケンを受け取った。


「キュンキュン!」


 フワケンは私の頬を舐めてくれて親愛の気持ちを表現してくれているようだ。


「本当に珍しいな。こいつはなかなか人に慣れないのだが…やはり聖女は違うのか?因みに名前をまだつけてやっていないのでつけてやってほしい」


「名前…そうですね、モコなんてどうですか?」


「キュン!」"良いね~"


 ん?


 今、モコが鳴いた時に年配のおじ様の話す声が聞こえたような…。


「キュンキュンキュン」"やっぱ男より若い美人の側が良いよな~"


 んんん?


「キュン、キューンキュン」"まあ、俺様にた~ぷり尽くせよ"


 はあぁぁぁーーーーー!!!!!?????


 思わずモコの顔を見る。


 どう考えても聞こえているのはモコの言葉だよね?いや…でもまさかこんな小さい動物の声がおじ様ヴォイスのわけないよね?…ないよね?


 確認すべく名前を呼ぶことにした。


「モコ」


「キュン」"何だよ"


 いーやーだー!!!こんなの間違ってる!いや夢であってほしい!見かけはキャワタン、中身はおじ様…なんて許せない!お天道様は許しても私は許さない。女神に変わってお仕置きよ!だよ。


「あの…やっぱり申し訳ないのでお返しします」


 モコを私から離そうとするがモコの足の爪が私のマントにしっかり食い込んでいて離れない。振っても取れない。


「あ~、言いにくいのだがフワケンは一度主人を決めると離れないのだ。モコもよほど聖女様の事が気に入ったみたいだから無理だな。私のことは気にせず可愛がってやってくれ」


 NO~!!!


 そりゃ前世でも犬や猫を飼っていて言葉がわかれば楽しいのにな~と考えていたこともあったけど、こんな感じなら知りたくなかったよ~!


「キュンキュ」"宜しくな!"


 …どうやら見かけはキャワタン、中身はおじ様の仲間ができてしまったみたいです。


 



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