表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/85

16. 空の国 そうだ!あれを作ろう


「ふぅ~、満足満足。美味しかった~」


「毎回思いますけど食べたものはいったいその体のどこに収まっているんですかね?」


 レグルスの視線が私のお腹にロックオンされている。失礼な!乙女のお腹をそんなにジッと見つめるものではなくってよ!と思いつつレグルスの視線から少しだけ、本当に少しだけ膨らんだお腹を隠す。


「ちゃんと胃の中に入ってます!」


 それにしてもあのパンケーキモドキいや、こちらではフワパンというらしいのだけど前世のパンケーキを思い出して食べたら見事に裏切られたよ。もちろん、良い意味でね。フワフワではなくカリモチ食感だったんだよ!外側がカリカリで中はモチモチで少しだけ甘くてお皿に添えてあったおかずの塩気と合うんだよね~。美味しすぎておかわりを頼んだので先程のレグルスの発言なのです。もう1つのフワリンは想像していた味より甘さが控えめな綿菓子って感じで予想通りだったよ。あれが自然にできているなんて信じられないよね。私でも栽培できるかな…。


「レグルス、植物って簡単に買える?」


「はぁ~、予想はしていましたがそうきましたか。フワリンを気に入ったんですね。ですがあれはこの国の中でしか育たない植物なので栽培はできませんよ」


 おうっ、そうなんだ。残念…。


「そろそろ宿屋に行きますよ」


 今日は飛竜使いのお兄さんに教えてもらった宿に泊まる予定なので教えてもらった場所を探す。それにしても青い家ばかりで迷子になりそう。色も形も統一されているのは理由があるのかな。


「ここですね」


 レグルスが止まった前にある宿の看板が出ている家もやはり青い色をしていた。宿屋の看板がなければ普通の民家と見かけは変わりがない。


 扉を開けて中に入ると誰もいなかったのでカウンターに置いてあった鈴を鳴らした。すると奥から白いフワフワとした髪をした若い男性が顔を出した。


「いらっしゃいませ~、お待たせしました。二名様ですか?」


 男性は感じが良くテキパキと手続きをしてくれた。丁寧に部屋まで案内してくれたのだけど部屋の扉を開けて驚いた。


「真っ白!」


 壁も家具も部屋にある何もかもが白で統一されている。花の国にもあったけど異世界の人達は白色が好きなの?


「この国の色である白か青を宿屋や飲食店では使わないといけない決まりなんです。それに白だと清潔感があって印象が良いかなと思いまして白で統一したんです」


 青一色の内装を想像してみたけど…うん、綺麗だと思うけど落ち着かないかな。かといって白も汚しそうで落ち着かないんだけどね。なぜ白と青のミックスはダメなんだろう。極端だよね。国民性なのかもね。


「では、ごゆっくり」


 案内してくれた宿屋のお兄さんは部屋の説明が終わると帰っていった。


「これからどうするかを少し話しましょうか」


「そうだね」


 実は昨日、レグルスのお母様から連絡があって(勿論フクフォンで話したよ)私を連れて帰る為に、あのバカ王…げふ…元婚約者が国を出たらしい。空の国に来たのはその対策もあったんだよね。元婚約者は高所恐怖症で飛竜には乗れないからね。お城のバルコニーくらいの高さなら慣れているからか大丈夫みたいなんだけど、一度訓練の時に飛竜に乗ってもらったら恐怖のあまり失神&失き○しちゃって…あの後荒れてたわ~。それから二度と飛竜には乗らないと言っていたからこの国なら安心だと思ってレグルスが選んでくれたみたい。


 レグルスママやるね!


 まあ、普通にしていてもあのバカ…げふ…じゃなくて元婚約に見つけられる気はしないけどね。


 暫くはこの国にいることになるのかな。そうなると気になるのはグルメと観光だよね!


「レグルス、この国の観光スポットってある?」


「観光スポットですか…見所ということで宜しいですか?それならば天空庭園だと思います」


「天空庭園?」


「はい。この国の上と下に周りの景色を見渡せる透明な膜の張られた公園があるのですが、下の公園は地上の様子を上から眺める事ができますし、上の公園は雲の中の変化を見ることができます。普段あまり見ない景色を見ることが出来るのでどちらも楽しめるかと思います」


「楽しそう!」


 話を聞いているだけでも楽しめそうなのがわかるよ。空に浮かんでいる利点を活かしているのが良いよね!


「アイオラ様は食べ物と美しい場所がお好きなのですね。毎回気にされていますよね。珍しいと思いますよ」


「そうなの?」


 いやいや、誰でも気になるでしょ?せっかく来たのだからそこの国の名物や観光名所を逃してなるものか~!って皆は思わないってこと。あれ?そう言えば異世界に来てからガイドブックって見たことないかも!?


「ねぇ、レグルス。国ごとの美味しい食べ物とか美しい場所とかを書いてある本とかはないの?」


 物知りレグルスならあったなら答えてくれるはず。


「ん~…、そんな本は見たことないですね」


 ないの?え!?


 これって来たんじゃないですか?これこそ異世界チャンスでしょ!


 よくある転生物のラノベで読んできたこの世界にない物を作ってヒットするってやつなんじゃない!?旅の資金をどうしようかと考えていたけどこれはいける予感がします!私が作る魔道具は高価なので普及は難しかったんだよね。だけどこれならいけるかも!


「レグルス、私…ガイドブックを作りたいと思います!」


 椅子から立ち上がり鼻息荒くレグルスに宣言した私!カッコイイ!!


「ガイドブックですか?…それよりアイオラ様、また透明な液体がお口から出てますよ。拭いてくださいね」


 そっと口元を拭いて決意をあらたにする。やることがいっぱいすぎる!まずは今夜あれを作ってからかな。


 フフフッ…。


 


 






 






 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ