15. 空の国 次なるグルメとの出会い
石の国でのトレジャーハントの大会も終わり、レグルスが次の国になるべく早く行くことを提案してきました。なぜなら優勝して目立ってしまったからです。私はただ楽しめれば良いなと思って参加しただけなんだけど、まさかこんなことになるなんてね。
「緑の国からの追手が心配なので早朝に出発しましょう。次の目的国は…空の国なんかはどうですか?」
「空の国?」
そんな国があるのも知りませんでした!空の国と言うからには空に浮かんでいる国なのでしょうか?
「ご存知ありませんでしたか?空の国は浮遊石という空中に浮かぶ石の上にある空に浮かんでいる国です。私も初めて見た時は驚きましたがとても美しい国ですよ」
やっぱり空中に浮かんでいるんだ!何それ!異世界ぽいのキター!
「ただこの国からは直接行くことは出来ないので一旦はこの国から出て空の国に行くための飛竜乗り場がありますのでそちらに向かいたいと思います」
なるほど。そう言えばこの国は空から入ることができないと聞いていたけど、出ることもできないということなのかな。
「私も空の国に行ってみたいのでレグルスにまかせます」
決定してからは早かったよ。旅の準備を整えて明日は早朝に出るからと宿屋のご夫婦に話をして先に精算を済ませた。その時、宿屋のご夫婦は私達に「もし宝石の国に行くことがあるなら様子を手紙で良いので教えて欲しい」とお願いをしてきた。そういえば宝石の国が故郷なんだと言っていたけど、自分達は帰るつもりはないのかな?と不思議に思いながらも「手紙で良ければ送りますよ」と返事をして別れを告げた。
そして次の日の早朝、石の国を出発して国を出た後、飛竜に乗り空の国へと出発したのが今のことです。
「うわぁ~!本当に空に浮かんでる!何でこんな大きい石なのに浮かべるのかが不思議よね」
目の前に浮かんでる石は端が目視できないくらいに大きい。何故この大きさが浮かぶのか?軽石なの?前世のアニメで見たあれみたいだよ。異世界は謎だらけである。しかも石の上を大きな入道雲が取り囲んでいて国の様子は外からは見えないんだよね。だけど飛竜が近づいたら雲が薄くなって中に入れるなんて…もしかしてこの雲って人工的に作られているのかな?まったくもって異世界は不思議だらけだよ。
雲の中に入って視界が広がると見えてきたのは青い街並みと大きくて真っ白なお城だった。飛竜は大きな広場に降り立ち私達を下ろしてくれた。そして…いつものである。
「アイオラ様…お口から透明の液体が流れいますよ。早く拭いてください」
「だって美味しそうな匂いが…」
そう、いつもの屋台村がここにもありました~!異世界あるあるなのかな?必ず乗り物の乗り降りする場所の近くには屋台村があるんですよね。まあ、私としては嬉しいし有難い!
さっきから甘~い匂いが私の鼻に吸い込まれているんですが、何の匂いかな?懐かしいような…嗅いだことがあるような…。
「本当に食べ物に目がないですよね。この国の名物は…ほらあそこにあるやつですよ」
レグルスが辺りを見回して指差した方向を見ると、前世で見たことある物が見えました。あの匂いだったのかー!!!
見かけは雲のようにフワフワとしていて色はこの国のカラーなのか白と青の二色になっている…そう見た目は前世の綿菓子です!しかも特大!子供が手にしている姿が見えますが子供の顔より大きくて顔が隠れて見えていません。
「うおぉぉ~!あれ何?何でできてるの?」
前世だとお砂糖だったけど、異世界はお砂糖か高いから屋台で出せる品物にはならないと思うんだよね。
「フワリンという固い殻のある果物を割ると中からあれが出てくるらしいです。私も実物は見たことがないので人から聞いた話になりますが元々白色なのをこの国のカラーである白と青にするべく青を着色したと聞きました。甘くて口の中で溶けて無くなりますよ」
フワリンって何?見てみたい!果物の中から綿菓子が出てくるなんてこれまた不思議すぎるわ。それにどうやら食感は前世の綿菓子と変わらないみたいだし、あれを自然の果物で栽培できるなんて…。何でもありだよね。
「それとあれもこの国の名物ですよ」
レグルスがまた指差した方向を見ると行列ができていた。人が凄すぎて屋台の様子がここからだとよく見えません。ムムムッ…。
「ここからだとよく見えませんね。でも間違いなくアイオラ様が気に入ると思うので並んできます。ここで待っていてください」
さすがレグルスママ!私が気になっているのを感じたようで素早く買いに行ってくれました。楽しみだな。
暫くしてレグルスが両手に食べ物を持って帰ってきました。片方は最初に見たフワリンでもう片方は…。
「極太パンケーキ!」
見た目は前世の分厚いパンケーキです。前世の記憶と違うのはそのパンケーキの横におかずが並べられています。確かに前世でも食事パンケーキなんてのもあったな。私はデザートパンケーキが好きだったからあまり食べなかったんだけどね。
前世では○宗様のぬいぐるみを持ってカフェに行き、一緒に写真を撮ったりする推し活なるものを楽しんだりしてたことを思い出します。あの頃は潤ってたな~。そうだ!またぬいぐるみを作れば良いんじゃない!?そうだよ!何でこんな簡単な事に気がつかなかったんだろうか。
「フフフッ…」
「アイオラ様…。また残念なお顔になってますよ。妄想の世界から帰ってきて下さい。これ、食べちゃいますよ」
「だ、ダメ!私も食べる!」
楽しい妄想の世界は強制終了となりました。
でも楽しみはこれからだよね。フフフッ…。




