12. 石の国 大会開始!
やって来ました大会当日!
準備は万端です!
昨日もゾイサイトさんに技術指導してもらいながらレグルスと分担を決めてひたすら特訓しましたよ。
それに秘密兵器を作りましたからね。あれが役にたちました。今日は負ける気がしません!
大会のエントリーをしに教えてもらった事務局までくると人、人、人で溢れています。
「こんなに人がいたんですね…」
「人気だと聞いていましたが凄いですね」
人種もいろいろで、獣人やエルフ等の姿も見えます。
「大会のエントリーの最後尾はここだよ~!エントリーする人はここの後ろに並んで下さい!」
若い男性が大声で呼び掛けをしている。
「エントリーしてきますので、あの噴水の前でお待ちください。大人しくしていてくださいよ」
レグルスは広場の中央にある噴水を指差しながら列の最後尾に並びに行ってしまった。
私は噴水の所にあるベンチがタイミングよく空いたのでそこに座って周りの人を観察していた。
昨日、宿で聞いたんですがこの国にはドワーフ族の人が多く住んでいるらしくゾイサイトさんもアンバーさんもドワーフさんらしいです。確かに周りを見ているとドワーフ族らしい人が多くいるのがわかります。
確かドワーフ族ってもの作りとか鋳物が得意な種族だったと記憶しているんだよね。聖女の勉強の一つに種族の勉強があったから覚えているんです。前世から歴史が好きだったから国の歴史とか種族の勉強とかだけは熱心にやってたんだけど聖女でなくなってから役に立つって…人生わからないものですよね。
でも、前世の○宗様のように推せる人物が見つからずガッカリしてからは魔法や魔道具作成にはまっていたんだけどね。
眼帯仲間も見つからないし…。
ああ~!!何処かにおじさまで眼帯していて只者ではない雰囲気の人いないかな!オタクの禁断症状が出てきそうです。仲間を探すべく人間観察にいそしみます。
「お待たせしました」
人間観察をしていたら思っていたより時間が経っていたらしくレグルスが帰ってきました。結局仲間は見つからず…無念!
「今から本番なのに何故そんな悲しそうな顔をしてるのですか?」
そうだった!トレジャーハンター大会優勝が今の目的だった。
「ご自分から言い始めたのですから頑張ってくださいよ。私は星印の道具で採掘できるらしいですよ。取り敢えずその洞窟まで行きましょう」
「はい」
この大会は申し込みの時にくじを引いて採掘できる洞窟を決めるらしい。洞窟によって取れる鉱物が違うのでくじ運も無いとダメだとゾイサイトさんが言っていた。因みにゾイサイトさんのお薦めは月と花の洞窟だった。
「星印の洞窟って何が取れるのかな?」
「私も気になって聞いたのですが、どうやら新しい洞窟らしく地元の方もまだわからないらしいです」
「大会でそれはありなの?」
「そうですよね。大会の人が言うには大物が出るかもしれないのだから当たりだよ…と言ってましたけどね」
適当な事を言われて誤魔化されている感じに思えるのは気のせいなの?
でも、良い方に考えるとまだ採掘されていない洞窟だったら確かに大物が出る確率は高いのかもしれない。これって作成した魔道具が物凄く役に立つのではないかとウキウキしてきました。
受付から歩いて30分程の所に洞窟はあった。洞窟の前には大会の係の人がいて名前を言って確認される。この洞窟にはあまり人はいないようです。ここにくるまでに見た洞窟だと30人くらいの人達が洞窟の前で待っていたのにここには10人くらいしかいない。洞窟の規模が小さいからなのかもしれません。
「皆さ~ん!もうすぐ大会開始の時間になります。注意事項をもう一度説明しますね。採掘の時間は2時間。鐘の音が聞こえたら手を止めて洞窟から出てきて下さい。採掘途中の場合もそのまま出てきて下さいね。採掘した鉱物はお渡ししてある袋に入れて私に提出してください。いったん回収してから大会終了後に返却となります。大丈夫ですか?」
係のお姉さんがメガホンみたいなのを使い一所懸命説明してくれています。皆さん首を縦にふり納得しているみたいです。緊張しているのか声は聞こえず静かです。
「大丈夫みたいですね。それでは大会開始のカウントダウンが始まります!」
「「「「「5!4!3!2!1!0!行くぞー!!!」」」」」
今まで静かだったのが嘘のように突然周りの人達が一斉に大声でカウントダウンを始めました。そして、そのカウントダウンが終わると同時に走りだし洞窟の中へと消えて行ってしまいました。
残されたのはレグルスと私だけ…。
「行きましょうか」
「はい!」
遅れて洞窟に入っていくとすでに採石している人達がいました。すでに塊を掘り出している人までいて驚きです。
早すぎませんか?
「もう少し奥まで行きますか?」
たぶんレグルスは他の参加者さんに私の魔道具を見られるのを警戒してしているみたいです。
「そうですね。もう少し奥に行きましょう」
ひと気が無くなったのを確認して持ってきた魔道具を鞄から取り出した。
フッフッフッ…これからが勝負です!




