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10. 石の国 トレジャーハンター!?


 石の国で薦められた宿の前で立ち止まってしまった。


「派手だね…。これって宝石なのかな?」


 目の前にある宿は今まで泊まっていた宿とは大きく違っていた。石で作られているのは他の建物と同じなんだけど、所々に色がついた綺麗な石が見える。これって多分、鉱物ってやつかな?


 前世の友人が鉱物好きでいろんな石を集めていたけど、その中にアメジストの原石が沢山ついた岩みたいな石もあった事を思い出した。それに似てるんだよ。


 紫色、赤色、緑色…これが全部宝石の原石なら誰かに壁を壊されたりしないかと心配になるんですけど…。


 安全な国なのかな。


「そういえば…この国では多種類の鉱物が沢山取れるから一攫千金を目指してトレジャーハンターが他国からやって来ると聞いたことがあります」


 トレジャーハンター!?異世界でもあるんだね。他国から来て宝石を持って帰れるのなら私もトレジャーハントしてみたいかも!


「また、顔がゆるんでますよ。戻してくださいね。まあ、見かけは派手ですが建物自体はしっかりしていそうなので中に入りましょうか」


 重い石扉を開けて中に入る。せめて扉は軽い木の方が良いと思うんだけど、この国では木の値段が高かったりして使えないのかな。と考えながら宿の中を見る。


 入ってすぐのところにカウンターがあって人の良さそうな小柄な年配の女性がいた。


「いらっしゃい!お二人様かい?」


「はい。ベッドが2つある部屋をお借りしたいのですが空いていますか?」


「あんた達ついてるね。今、キャンセルが出たから空いてるよ。二人は兄妹?あんた達も大会出場する為にやって来たのかい?」


 このおば様、捲し立てるように早口で質問してくるな。


「兄妹です。大会って何かの大会があるんですか?」


 表情を変えず、さらりと嘘をつくレグルス。こんなお兄ちゃんがいたら大変だと思うよ。


「知らないで来たのかい?この国で年に1回だけ行われるトレジャーハンターの大会だよ」


 おば様の驚き具合から見てかなり有名な大会みたい。トレジャーハンターの大会…気になるよね。


「それってどんな大会何ですか?大きな宝石を探し出したら優勝とかですか?」


「本当に知らないんだね。大会は宝石の大きさだけじゃなくて珍しさや採掘の技術等も判定基準に含まれるよ。宝石に傷をつけると価値が下がるからね」


「へぇ~」


 楽しそうな大会じゃないですか!


「参加しませんよ。採掘の技術なんて、やったことがないから無理に決まってますからね」


 また、何も言わなくてもレグルスママには私の気持ちが伝わっている。


「それなら大丈夫だよ」


「「え!?」」


 二人のやり取りを見ていた宿のおばさんが笑顔で手首を振っている。


 また出た!おば様共通の手首スナップが効いた手招き仕草!


「採掘の技術ならうちの旦那が教えるよ。何て言ったって優勝経験者だから技術は確かだよ」


「「え!?」」


 私達が驚いている間におば様が奥にいる旦那様に声をかけています。


「ちょっとあんた~!出てきておくれ!!」


「何だ?何かあったのか?」


 奥から姿を見せたのは小柄で顎ひげが立派なガッシリとした体格の年配の男性だった。


「この二人にさ採掘のやり方を教えてやってくれないかい?大会に興味があるみたいなんだよ」


「ああ~?」


 私達二人の姿を下から上までじっくり観察しているのがわかります。


「こっちの兄ちゃんなら力もありそうだから固い岩でも削れそうだな。これなら教えても大丈夫だろ。そっちのお嬢ちゃんは削るのは無理だろうな。まあ、二人で力を合わせて役割を分担すればできるかもな」


 どうやら合格をもらえたみたいですね。


「え…いや、私は参加…」


 レグルスが参加しないと言いそうになったので急いで魔法で声が出ないようにして、身体の動きも止めました。睨まれても慣れていますので怖くありませんよ。後が怖いけど…。


「ありがとうございます!それでその大会っていつあるんですか?」


「大会は3日後だ。明日から技術の基礎だけでも教えてやるよ。出場するのに必要なくらいなら1日あれば覚えられる」


「頑張りますのでご指導よろしくお願いします!ほら、お兄ちゃんも頭下げて!」


 硬直したレグルスの身体を折り曲げて二人で頭を下げてお願いした。私もレグルスをお兄ちゃんと嘘をついてしまったと少し心が痛む。


「分かった。じゃあ、明日の朝食後にここで待っていてくれ」


「はい!」


「お部屋は2階の一番奥の部屋だよ」


「ありがとうございます」


 鍵を受け取り魔法でレグルスを動かして部屋に入る。部屋の中で魔法を解いた途端にレグルスに詰め寄られた。


「アイオラ様状況が分かっていますか!貴女は追われているんですよ!そんな状況で大会に出場するなんてありえません!」


 うん、それは理解してるんだよ。だけど…。


「わかってる。でも、もし捕まったとしても後悔の無いようにしたいと思ったんだよ。隠れる様になにもしないで旅をしても楽しくない!どうせなら旅を楽しんでから捕まりたい!だから、絶対参加する!」


 レグルスが大きなため息をついて項垂れてしまいました。


「そのお顔をした時は何があっても意見を変えないのを知っています。捕まるとしても参加したいのですね?」


「参加したい!」


「わかりましたよ。でも大会が終わったらすぐにこの国を出る事を約束してください。それならお手伝いします」


 やった~!レグルスママからお許しが出ました。


「約束します!」


 そりゃ~、緑の国の追手は気になるけど楽しまないと損だよね。その為にいろんな準備はするつもりだし!


 目指すのは、トレジャーハンター大会優勝だ~!!!





 


 









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