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第144話 ヴィルの貴族邸訪問 レッドテイル家編 二

初心者マーク付きの作者です

暖かい目でご覧ください

 

 最初に二人の案内をし、応接室では紅茶を淹れてくれた老齢の女性、ステラと呼ばれていたメイドが食事の準備が整った事を伝え呼びに来ると、ヴィル、ニア、バレンシア、ヴィンス、イレーネの五人は食堂へと向かっていた。

 その道中、廊下の角の辺りで五人の様子を恐る恐る覗き見る人の視線にヴィルは気付く。

 視線の位置は低く140センチ程、バレンシアとよく似た真っ赤な髪色が特徴的な子供だった。


「あの子は?」


「ん?ああ、私の弟よ」


「え?シア弟いたの?あたし知らない」


「そういえば二人には言ってなかったわね。うちは四人家族なのよ。というより貴族の場合一人っ子の方が珍しいんじゃないかしら?基本的に貴族は血を残す義務があるもの。――レント、いらっしゃい」


「は、はい!」


 呼ばれて駆け寄って来る様子を見てバシバシと腕を叩いてくるニアに辟易しつつ、ヴィルは少年を見て記憶から情報を引き出す。

 真紅の髪と瞳はレッドテイルの血縁の証、幼さの残る顔立ちと線が細い体つきは第二次性徴期の訪れていない時期特有の、ニアが悶絶する愛らしさを備えていた。

 確か今年で十歳になるのだったか、つまり社交界デビューを控えためでたい年という訳だ。


「紹介するわ。この子は私の弟のレントよ。それからレント、こっちは私のクラスメイトのヴィルとニア。挨拶なさい」


「はい!レント・リベロ・フォン・レッドテイルです!以後、お見知りおきを!」


 ピンと背を伸ばしやや緊張気味に腰を折るレントに、ヴィルとニアは頬を緩める。

 と、何やらもじもじと恥ずかしそうにしていたレントが、ヴィルに上目遣いで問い掛けた。


「あの……ヴィル様があの『万年ルーキー』様なんですよね?」


「おや、レント様は冒険者としての僕の二つ名をご存じなのですか?」


「はい!以前当家にやって来た騎士の一人が冒険者の方を連れて来ていまして、その方がヴィル様と同じギルドで活動されていたという事でお話をいくつか聞かせて頂いたんです!それからずっとヴィル様のファンで!一度お会いしたいと考えていたんですが姉さまのクラスメイトと聞いて運命だと思いました!ええとその……お会いできて光栄ですっ!」


 興奮した様子で目を輝かせるレントは、純粋無垢な憧れを瞳に宿していた。


「そうだったのですね。こちらこそそんなに喜んで頂けるとは光栄です。レント様は冒険者がお好きなのですか?」


「はい!元々冒険譚が好きで、そこから冒険者も好きになりました!それで、その……」


「レント、そのくらいで止めておきなさい。私達はこれから食事なんだから、あまり引き留めては駄目よ」


「そ、そうですか。もっとお話ししたかったのですが、残念です……」


 姉に宥められしゅんとしてしまうレントに対し、バレンシアは呆れた溜息を吐きながら、


「二人さえ良ければレントも同席させても構わないかしら。迷惑でなければで良いのだけれど」


「迷惑なんてとんでもない。僕も話すのは楽しみだったから歓迎するよ」


「よろしくお願いしますね、レント様」


「は、はい、お二方ともよろしくお願いします……。あ、あと僕に様付けは不要ですので……」


 気恥ずかしいのか、頬を赤らめてやや顔を伏せるレントにニアはくすりと微笑みながらその頭を撫でる。

 撫でられている間中レントは微動だにせず硬直しており、もはや可哀想なくらいに顔を真っ赤にしていた。

 それから数分後には食堂へと着いた六人はヴィンスとイレーネの隣にレントが座り、残り三人が対面する形で着する。

 途中いつものように給仕に参加しようとニアが使用人達に止められる一幕を挟みつつ、一行は食事の時間と相成った。


「美味しい!」


「お気に召してくれたようだね」


「ええ、とても。特に肉料理は絶品ですね」


「分かるかね。うちの料理人は特に肉料理を得意としていてね、そう言ってもらえてきっと喜ぶよ」


 シルベスター邸で暮らしていたヴィルとニアでも滅多に食べる事の無いもてなし用の食事の数々に、二人は舌鼓を打つ。

 ヴィルは自身も料理をする為後学の為に味を分析しながら、ニアは純粋に料理を楽しみ食事を堪能していた。

 その様子はもてなし甲斐のある光景であり、もてなす側であるヴィンスとイレーネもご満悦だ。

 そしてこの食事を楽しんでいたのは四人だけではない。


「ではヴィル様は龍の肉も食べた事があるのですか!?ど、どのような味だったのでしょうか!?」


「そうだね、肉の特徴としては鹿とか猪の肉の臭みと硬さを凄まじく高めたような感じだったかな。一応僕が食べた時は大量の香辛料や野菜と一緒に一晩中煮込んだけど、それでも辛うじて食べられるくらいにしかならなかったよ。もっと時間とお金と手間を掛ければもう少しましになるかもしれないけど……まあそこまでの旨味は感じないかな」


「凄いです!龍を倒しただけじゃなく食べてしまうなんて!~~!凄く凄く憧れます!」


「レント君は龍の肉に興味があるのかな?ならもし討伐する機会があれば今度を送らせてもらうよ。処理が大変な上に美味しくなるかは分からないから、ヴィンス様や料理人の方が許可を下さればだけど」


「ぜぜぜ是非!ねえ父様、良いですよね!」


「レント、あなたはもっと落ち着きを覚えなさい。食事中のお客様の前でそんなにはしゃぐものじゃないわ。ほら、口元ちゃんと拭きなさい」


 食事をしながらヴィルの体験談を聞くレントは、喜び驚きとても忙しく目を輝かせている。

 ただ冒険の体験談が好きなだけでなく冒険者についても詳しいようで、まだ若いながらも冒険や魔獣についての知識に富んだレントは、ヴィルから上手く冒険譚を聞き出そうと矢継ぎ早に質問を繰り出していく。

 投げ掛けられるヴィルは食事マナー上失礼にならない程度に返しつつも、砕けた口調で少年との会話を楽しんでいた。

 本来は貴族の同席する食事の席で喋る事自体あまり褒められた事では無いのだが、こういった話をするのが好きなヴィルは聞き上手なレント相手にはついつい話してしまうのだ。

 そんなレントに注意をするバレンシアは学園での彼女とは少し異なり、一人の姉として甲斐甲斐しく弟の世話を焼いている。

 普段は見ていても分からないが、今この場面を見ればバレンシアは間違いなく姉であった。

 そうして食事は順調に進んでいき、ヴィルが最後の一口を嚥下した事で会はお開きとなった。

 食事を終えたヴィンスは開口一言。


「その、なんだ……私はヴィルくんを侮っていたようだ。まさかあれだけの料理を本当に平らげてしまうとは。正直余った料理は使用人達に振る舞おうかとも考えていたんだが……」


「それは申し訳ない事をしてしまいましたかね。ですがお約束した以上満腹だと嘘を吐く訳には参りませんでした。騎士を目指す身として約束を違える事はしないと誓っておりますので」


「……いや、素晴らしい心構えだとも。私が言った事だ、私も自分の言葉には責任を持とうじゃないか。はっはっは……」


 最後の笑いは乾いていた上に目が死んでいたヴィンスだったが、少しすると持ち直したようで再び会話に参加していた。

 その後はヴィルとニア二人の夏季休暇の予定や学園での話で盛り上がり、食後の紅茶を楽しんでいたその時だ。

 会話が一区切り付いたタイミングで参加していたレントが、意を決したようにヴィルに話を切り出す。


「あのっ!ヴィル様!少しよろしいでしょうか!」


「どうしたのかな?」


「お時間があればで構いません、これから僕に剣の稽古をつけてもらえないでしょうか!尊敬するヴィル様に剣を見て頂いて、僕はもっと強くなりたいんです!どうかよろしくお願いします!」


 ヴィルはレントの真剣な眼差しを受け止め、少し考え込む様子を見せる。

 彼の胸中にはレントの期待に応えたいという思いと、果たして自分が貴族の子息相手に剣術の指南をしても良いものかという考えが交錯していた。

 その様子を躊躇いと見たのか、隣のバレンシアが微笑みながら、


「私からもお願いしても良いかしら。この子、剣の鍛錬にはすごく熱心なのだけれどまだまだ未熟だから。あなた程の実力者に稽古をつけてもらえたらきっと良い刺激になると思うわ。どうかしら?」


 そう重ねて提案する。

 正直バレンシアの提案の前からヴィルの気持ちは固まっていたのだが、後押しを受けたヴィルはちらとヴェイク達に視線を向ける。

 微笑むと同時の頷きが二人分、ヴィルは微笑んで答えた。


「分かったよ。僕で良ければ時間の許す限り教えよう」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


 レントの顔がパッと明るくなり、その喜びは隠しきれない程だ。

 それだけに留まらず、レントのヴィルに対する憧れと期待はますます膨らんでいくようにすら見て取れる。

 ヴィルは向けられる視線に苦笑しつつ、稽古の流れを考え始めたのだった。


 ―――――


 その後六人は広々とした庭園の一角、短く切り揃えられた芝が緩衝材になっており鍛錬に適した場所へとやって来ていた。

 ヴィルとしては公務もあるだろうとヴィンスとイレーネは席を外すだろうと考えていたのだが、予想に反して見学するようで、使用人にテーブルや椅子などを運んで来させると、やや離れた場所に設置し観客席のように座り込んだ。

 家の貴族全員が揃ったという事でテーブルの近くには大勢の使用人が並び、レントの鍛錬は一転参観のようになってしまっていた。

 とは言えヴィルのやる事は変わらない、頼まれた通りにレントの剣を見るだけだ。


「それじゃあまずはレント君の動きを見たいから、基礎の構えと素振りを見せてもらえるかな?」


「は、はい、お願いします!」


 そうして鍛錬が始まった。

 当初レントは見守るような視線に恥ずかしそうにしていたが、剣を振っていく内にきちんと集中力が高まってきたようで、終盤はしっかりと鍛錬用の木刀を振り切れている様子だった。


「騎士流らしい基本に忠実で綺麗な剣だね。型通りに良く出来てる。それじゃあ次は脇を締める事と振りを一点で止める事に気を付けて振ってみようか」


「分かりました!」


 その後は素振り、助言、素振り、助言という風に繰り返していき、改善された所で型を定められた順番に従って行っていった。

 真剣に稽古に打ち込むレントはバレンシアの言う通り熱心で、意欲の高さからか呑み込みも早く、教える側からしてみれば正に理想の生徒といった具合だった。

 そして現在は暫しの休憩時間、レントはヴィルとの打ち込み稽古の前に水分補給と体力回復を行っている。

 ヴィルがその様子を見つつこの後の予定をどうしようかと思案していると、


「済まないね、息子の我儘で一日時間を貰う事になってしまって。今日の予定は大丈夫だったのかな?」


 後ろからそう声掛けしつつ、鍛錬を見学していたヴィンスが近づいて来た。


「お気になさらないで下さい。元々今日は一日予定を空けていましたので」


「そう言ってもらえると助かるよ。どうだね、息子の剣は」


「基本に忠実で癖の無い、教科書の手本のような剣ですね。教科書通りと聞くと悪く聞こえるかもしれませんが、そもそも騎士流自体歴史が長く、その分先人達が極めてきた剣です。基本に忠実というのはそれだけで強いものですよ。それにご子息は呑み込みが早いですから、将来は立派な剣士になれるでしょう」


「そうか、君は目が良いのだな。――時にヴィルくん、そんな君から見て私はどう見える?どう映る?どうか言葉を飾らず言ってみて欲しい」


 どこか真剣なヴィンスの問いに対し、ヴィルはどう答えるべきか、答えるべきか逡巡する。

 質問の意味に関して問い返す事はしない、その点は既に分かっている事だ。

 周囲に人の耳は無い、ヴィルは躊躇いの分だけ間を空けつつ、質問への答えを口にする。


「……失礼ながら剣の才には恵まれていないとお見受けします。魔術に関しては自分の勘ですが、こちらも同じではないかと」


「ふむ、君は本当に目が良い。君の言う通り、私は生まれながら剣も魔術も才能が無くてね、いくら努力を積み重ねようと上達する事が無かった。レッドテイルの血の流れる者としては恥ずかしい限りの落ちこぼれだ。昔はそれでも構わないと諦めていたが、何の因果か家を継ぐ事になってしまって、どうしてと嘆いたものだ。私が次男である事は知っているかね?」


「存じております。痛ましい事故だったと」


「本来は兄が継ぐべきだった立場に私が居る。落ちこぼれと、無能と言われた私がだ。こんな血しか後世に残せない事を何度先祖に詫びた事か」


 ヴィンスの語る過去に、ヴィルは安易な言葉を掛けられず押し黙る。

 過去の後悔はその人自身のものだ、いくら気を許してもらっているとはいえ初対面で踏み入って良い領域ではない。

 それは後悔であり自嘲であり、現実への諦観だった。

 だがそれだけで終わらない事はヴィルにも分かる。


「だがどうだね、娘も息子も才能に恵まれ、努力を怠らない立派な人間に育っている。私はそれが誇らしい。だから二人が成長する為に必要な努力は惜しまないし、それが私の責務だと考えている。だから今日はヴィルくんのような剣士が息子の稽古を付けてくれた事がとても嬉しいんだ。……ただ感謝を伝えたかったんだが、少し自分語りが過ぎたな、忘れてくれ」


 恥じるように苦笑するヴィンスだが、その反応は掛け値無しの本音を話したが故のものだったのだろう。

 であればこそ、ヴィルも話せる本音がある。


「忘れるなどとんでもありません。不幸な運命に諦めず抗う強さは僕も見習わねばならない精神です。僕はヴィンス様から学んだこの心構えを忘れる事は無いでしょう。こちらこそ感謝を申し上げます」


 胸に手を当て腰を折る、騎士の礼と共に感謝を伝えるヴィル。

 互いに感謝を伝え合う形になったヴィンスは暫く驚いた表情をしていたが、やがてふっと気を抜いたように笑う。


「まさか逆に感謝されるとは思ってもいなかった。――レイドヴィル・フォード・シルベスターが人類の切り札で良かったと、私は今心の底からそう感じたよ」


 それは衝撃の告白、しかしヴィルに驚きや動揺は無い。


「やはりご存じでしたか」


「勿論だとも。私は『裁定四紅』の現当主の中で最も武才に乏しいが、同時に最も国の中枢に近い。如何に最高国家機密と言えども知れない訳は無いからね」


 レッドテイル家は公爵家であると同時に『裁定四紅』の一家に数えられる名家であり、そしてヴィンスはその当主であり、レイドヴィルに関する情報を知る権限を有する人物だ。

 今日ヴィルと会ってここまで知っている様子を見せなかった為判断しかねていたが、予想は正しかったらしい。


「という事は今日お招き頂いたのは……」


「いや、そこはただ娘の恩人に礼を言いたかっただけだよ。仮に助けてくれたのが君でなくともこうして会っていた。身分で礼を言う相手を選んだりはしないさ。ただ、会えた事自体は喜ばしいと思っている。こういう機会でも無ければ今の君には会えないだろうからね。まあ見ず知らずの相手を助ける君の善性に感謝、という所かな」


 ヴィンスは一瞬だけ柔和な笑みを見せ、再び真剣な表情へと戻る。


「改めてレイドヴィル殿に感謝を。そしてヴィルくん、これからもニアくん共々娘の友人の一人として隣に居てやってくれ。君達のような友人は娘にとってきっと一生ものの宝になる。願わくば君とニアくんにとっても同じに思ってもらいたい所だが、そこは娘の努力の領分かな」


「ご心配なさらずとも、僕もニアも友達でい続けますよ。僕が僕でなくなったとしても」


「……そうか。娘は本当にいい友人を持ったよ」


 そこに貴族の当主の姿は無く、ただ一人の親としての笑顔を浮かべるヴィンスの姿だけがあった。

 それからヴィルはレントとの打ち込み稽古を行った後、レントに本気を見たいとせがまれバレンシアと模擬戦を、更に普段レントやバレンシアに剣術を教えているという教師とも手合わせをする一幕を挟みつつ、夕暮れ時を迎えていた。

 後半は稽古を忘れ最早見世物じみた時間になってしまっていたが、レントを始めとした観客達は満足していたようで、ヴィルが内心胸を撫で下ろしていたのは内緒だ。


「もし何か困った事があればすぐに頼ってきなさい。力になるよ」


「また遊びにいらっしゃいね。レントも楽しみにしているわ」


 ヴィンスとイレーネに見送られ、ヴィル、ニア、バレンシアの三人はレッドテイル邸を後にする。

 バレンシアは屋敷から敷地外までの見送りだ。

 ヴィンスは帰りも馬車を出す事を提案したが、孤児院も近いからと断りを入れていた。


「今日は悪かったわね。お礼をするつもりで呼んだのに、結局色々と負担を掛ける事になってしまって」


 申し訳なさそうにそう言って、バレンシアが頭を下げる。

 それに対し何故かニアが構わないと手を横に振った。


「別に気にしなくていいって。ヴィルの体力は無尽蔵なんだからやらせとけばいーの。っていうかどさくさに紛れてヴィルに一戦申し込んでたシアが言うの?」


「それは……弟にせがまれたから仕方なくよ」


「ホントかな~?ただシアが戦いたかっただけじゃないのかな~」


 悪い顔をしたニアに揶揄われ、バレンシアがそっぽを向く。

 その姉妹のような仲の良いやり取りを、ヴィルが少しくすぐったいような感覚になりながら聞いていると、あっという間に門の側だ。

 馬車の前には生きの際に御者を務めていた老人が恭しく腰を折っている。

 三人はその少し前で立ち止まり、別れの挨拶へと移った。


「ここまでね。今日は来てくれてありがとう。ようやく形だけでもあなた達に借りを返せたわ」


「水臭いよシア。僕らは何か返して欲しくて助けた訳じゃ無いんだ。別にこうして形式を守らなくてもありがとうの一言で良かったんだよ。勿論歓迎してくれた事は嬉しかったけどね」


「ヴィルの言う通り。友達なんて持ちつ持たれつでしょ!」


「……そうかもしれないわね。なら貴族として礼儀を尽くすのは今回で終わり、これからは普通の友人同士としてやっていきましょう」


 そう言って差し出される手を、ヴィルとニアが同時に握る。

 そこに身分の差は無く、ただ対等な信頼関係だけがあった。

 三人は或いは、今この瞬間に本当の意味で友人になれたのかもしれない。

 その時バレンシアが見せていた表情は、誰もが見惚れる魅力的な笑顔をしていたのだった。


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