第138話 ヴィル一行、冒険者ギルドへ 一
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夏季休暇のある日、ヴィルはニアとバレンシアの二人を伴ってベールドミナを離れ王都テルミアへ、彼とニアにとっては久し振り、バレンシアにとっては初となる冒険者ギルドへ足を運んでいた。
その目的は以前約束していた、冒険者活動に興味があるという友人達を経験のあるヴィルが案内、共に冒険者として魔獣を狩ってみようというものだ。
尚、この場に居ないザック、クレア、クラーラは既に冒険者ギルドの近くで待ち合わせる旨を事前に言付かっている。
と言うより別に今回待ち合わせをして行こうと打ち合わせていた訳では無く、三人が一緒になったのもヴィルとニアはともかくとして道中でバレンシアとばったり出くわしたからだ。
そうして偶然に歩く道程、それまでじっと我慢していたバレンシアは遂に耐えかねた不満を口にした。
「……あ~、暑いよ~……暑い……。あつ、暑い……。う~……暑いぃ……」
「ちょっとニア、そう暑い暑いと連呼されると余計暑く感じるからやめて頂戴。大体、そんなに暑いのならヴィルの腕に抱きつくのを止めればいいでしょう」
先程から抱えていたバレンシアの不満、それはニアが暑い暑いと連呼する割にぴったりとヴィルの左腕にしがみ付いて離れない事。
確かに今日の気温は高く暑い、季節も夏真っ只中で近年の同じ週と比べても猛暑が目立つ日が続いており、とめどなく流れる汗は絶える気配が無い。
故に多少であれば暑さを嘆く思いを口に出す事も許容する……と言うよりバレンシアは元よりそこまで狭量ではないのだが。
彼女が問題にしているのはそこではなく、こんな暑さの中でヴィルの腕に密着するように抱き付いているニア、そしてそれを咎めるでもなく好きにさせているヴィルだった。
「え~。でもこうしてた方が涼しいんだよ?ヴィルが魔術で周りの温度下げてくれてるから。ヴィルってこういう細かい魔術の燃費が良いから夏と冬は重宝するんだよ。触ってみる?」
ニアの言葉を嘘ではないかと勘繰った訳では無いが、バレンシアはちらとヴィルを見て嫌がっていない事を確認し、それからおずおずといった様子で右腕辺りに手を伸ばす。
「……確かに涼しいわね」
「シアも抱き着いとく?こう、ガっと」
「…………遠慮しておくわ」
回答までに僅かな逡巡が見られたがそこは貴族令嬢、淑女として無闇に異性に触れない理性は残されていた。
その逡巡が涼しさとヴィル当人、どちらにあったのかはバレンシアのみ知る所である。
などとやり取りをしつつ歩いていると……
「お、来たみたいだぜ。おーい、こっちだ!」
「三人ともおはよ。ヴィルとニアはそれで暑くないワケ?」
「……おはよう。ヴィル、今日はよろしく」
ギルド近くの道で先に待っていたらしい残りの友人達の姿があった。
ザックは朝早くにも拘らず元気に腕を振り、クレアは猛暑日にも拘らず密着する二人に苦言を呈し、クラーラは相変わらず朝が苦手なのか頭に寝癖を残しながら寝惚け眼で挨拶をしてくる。
集まった六人はこれから学園にでも向かいそうな日常感があったが、その恰好は制服とは一線を画すものであった。
相棒である大剣を背負ったザックは防御力を重視した重く厚い鎧、クレア、クラーラ、バレンシアは機動力を重視した軽く必要最低限の防具、魔術援護を想定したニアは動きやすい服装で、ヴィルに至っては普段見慣れぬ盾を背負っている。
彼ら彼女らは紛れも無く、これから冒険者として人類の害敵と対峙するのだと一目で理解出来る格好だった。
六人が集合したそこから冒険者ギルドまでは五分と掛からなかっただろう。
――冒険者ギルド、そこは人に仇為す害獣たる魔獣を狩り生計を立てる、冒険者が集う職業組合。
歴史を感じる建物はくすんだ色をしたレンガで造られており、建物周辺には一目でそれと分かる多種多様な武器を持った荒くれ者達が散見された。
普段こうした物々しい雰囲気に慣れていない人にとっては、少し構えてしまう場所かもしれない。
「それじゃあ行こうか。僕が居れば問題無いとは思うけど、念の為あまり離れないようにね。皆依頼の取り合いで朝はピリピリしてるから、一人でいると絡まれるかもしれないよ」
ニヤリと笑いつつ一言だけ警告を残し、六人の先頭に立ったヴィルが両開きのスイングドアをゆっくりと両手で押し開けた。
木製の扉は重厚な見た目に反して軽い力で開き、外の空間と繋がりが出来た事で中からは熱のこもった喧騒が溢れ出る。
防具と武器が擦れ合う事で奏でられる金属音、良い依頼はないかと張り上げられる声、冒険の為の体力をつける朝食の数々。
目に入ってくる情報の数々には、人の生が満ちていた。
「へぇ、ここが……」
「冒険者ギルド」
「随分騒がしい所なのね」
「いいじゃねえか、冒険者って感じでテンション上がって来たぜ!」
とは順にクレア、クラーラ、バレンシア、ザックの感想である。
ヴィルとニアはもう何度も足を運んでいるため感動も無いが、初めて訪れた者達にとってはそれだけ感動的だったのだろう。
冒険者という妙に子供たちに憧れられる割に生きていくのが厳しい職業を目の前に、四人はきょろきょろとあちこちを見回している。
そんな風に新人丸出しの仕草をしていたものだから、ヴィル達は直ぐに冒険者ギルド中の視線を集める事になった。
「おい、あれ……」
「新人か?」
「あの髪と目、貴族のボンボンじゃないか?」
「お貴族様がなんでこんなところに……」
先程までの喧騒が嘘のように静まり返り、ひそひそとした話し声交じりに胡乱げな視線がヴィル達へと向けられる。
その異様な光景にザックとクラーラは困惑し、不躾な視線に対しクレアとバレンシアが警戒を露わにする。
視線を集める状況と言うのは、実はこの六人にとっては日常茶飯事なのだが、そこにはヴィルやバレンシアに向けられるものに関して、という枕詞が付属する。
ずば抜けて優れた容姿を持つヴィルとバレンシアに視線が向けられるのには慣れて居るが、六人満遍無く見られる事にはあまり慣れていない。
何故これ程までに見られるのか、それが理解出来ず次の行動に移れないのだ。
突然生まれた膠着状態に、やがて一人の冒険者が立ち上がりヴィル達の元へと向かって来た。
身長180センチを超える筋骨隆々の肉体に乗った頭に、ガチャガチャと鎧を鳴らしながら歩いてくる様は見る者に威圧感を与える。
その冒険者はヴィルの目の前で止まると、これまた迫力のある顔をニヤニヤと嫌らしく歪め話し掛けてきた。
「オイオイ『万年ルーキー』さんよぉ!随分と久々に顔見せたじゃねぇか、えぇ?かと思えば貴族の嬢ちゃんの子守りたぁ、どういう風の吹き回しだこりゃ」
『万年ルーキー』という聞き馴染みの無い単語は恐らくヴィルの事だろう、顔を寄せ至近距離で突然発せられた攻撃的な言葉に四人が眉を顰める。
来る前は自信満々に案内を買って出たヴィル、それを見たバレンシア達はてっきりヴィルがギルド内で相応の信頼を勝ち取っているものとばかり思っていたのだが、それは勘違いだったのだろうか。
それに『万年ルーキー』とは蔑称では無いのか、よもやヴィル程の実力者が冒険者達の間では軽視されているのか。
事の真相は、ただ一人ニコニコと笑顔を浮かべるニアの表情とヴィルの口から明かされた。
「久し振りだねデッドリー、元気そうで何よりだ。風の吹き回しなんて大層なものじゃないさ。ニアは分かるよね?後の四人は僕が通ってる学園の友人だよ。皆が冒険者活動をしてみたいというから案内を買って出たんだ」
「ハッ!ヴィルに貴族のご学友とは恐れいった。が、それこそ子守りだろうがよ。全員多少は動けるみたいだが、それだけじゃ冒険者が務まらないのはヴィルも分かってんだろ?」
「勿論。けど皆大人しく子守りをさせてくれるような玉じゃないさ。それにだ、動けるのは多少じゃなく相当だ、油断してると痛い目を見るよ。まさか三年前を忘れた訳じゃ無いだろう?」
そう言ってヴィルは口の端をニヤリと持ち上げる。
「忘れるかよ。仲間にちょっかい出した時ゃヴィルにボコボコにされからな。しかし、相当か。こりゃ一発目にかける言葉を間違えたかもな」
嫌らしい笑みから一転、穏やかな笑みへと変わった冒険者は腕を差し出し、ヴィルもそれに応え交差させるように腕をぶつけ合う。
先程までの剣呑な空気はどこへやら、今やギルド内は先刻以上の賑やかさを見せており、六人の歓迎ムードが形成されていた。
事態について行けず置いてけぼりの四人に、デッドリーと呼ばれていた男を含む冒険者達が一斉に声を上げる。
「「「冒険者ギルドへようこそ!!」」」
―――――
「ねえ、さっきのあれは何だったの?」
「さっきのあれっていうのは、デッドリーとのやり取りの事?」
「ええ。随分不穏に見えたと思ったらあれでしょう?何事かと思ったわ」
「何と言うか、あれは一種の挨拶みたいなものだよ。デッドリーはあの見た目だけど根は良い奴なんだ。まあそれも対等以上に認めた相手にだけで、下と判断した相手にはよくちょっかいを出してるけど」
「……それ、本当にいい人?」
バレンシアから投げ掛けられた四人共通の疑問に答えるヴィルに、ようやく眠気も覚めてきたらしいクラーラが静かにツッコむ。
ヴィル一行は冒険者達に出迎えられた後、冒険者登録をする為にギルドの受付へと並んでいた。
四列ある受け付けは普段こうして行列が出来る程込む事は少ないのだが、朝一番は冒険者へ依頼を出す人と依頼を受けようとする冒険者が殺到する為、こうして並ぶ必要があるのだ。
「ああして喧嘩腰に話し掛けてきたのも僕が腑抜けてないか確かめに来たんじゃないかな?冒険者は舐められたら終わりの職業だからね」
「なんつーか冒険者!って感じでテンション上がるな!」
「アンタ今日それしか言ってないじゃない……ま、気持ちは分かるケドさ」
どうやら元から人一倍冒険者への興味が強かったらしい興奮するザックに、呆れ顔でツッコみを入れつつもクレアは笑みを溢す。
分かりやすく興奮しているのはザックだが、実の所クレアもまたザックに負けないくらい冒険者という職業には昔から興味があった。
小さい頃母親にねだっていたのは冒険者が登場する冒険譚、今回ヴィルが引率する形で六人が冒険者ギルドにやって来ていたのも、元はと言えばクレアがヴィルに連れて行って欲しいと話したのが始まりだ。
彼女はそれだけ冒険者活動というものを楽しみにしていた。
――故にこそ、もう直ぐ受付という所で横から割り入ってきた冒険者に対し、クレアは怒りを露わにしたのだ。
「チョット!ここにアタシ達が並んでるのが見えないワケ?後ろに並びなさいよ後ろに!」
そう常識に則った注意をするも、横入りをした冒険者には響かなかった様子で、
「あ?知らねぇよ。そっちが俺達が簡単に入れるくらい隙間空けてたのが悪いんだろうが」
「ハァ?並んでることくらいチョット見れば分かるでしょうが!大人しく下がりなさいよ!」
「このクソガキ!新人風情が俺らにナマ言ってんじゃねぇ!」
突如始まった諍いに、すかさずヴィルが間に入りクレアに掌を見せて止め、この場を仲裁しようと試みる。
「失礼。僕はこのパーティーのリーダーを務める『万年ルーキー』ヴィル・マクラーレンです。連れが迷惑を掛けて申し訳ない」
「ルーキーだぁ?テメェは多少礼儀は弁えてるみたいだな。新人の手綱はちゃんと握っとけや」
分かりやすく通り名まで付けて名乗ったヴィルだったが、相手に気付いた様子は無い。
つまり彼らはヴィルが活動をしていない時期にここに来た冒険者であり、王都の冒険者ギルドではそこそこ名の知れたヴィルの逸話も使えなさそうだった。
「肝に銘じておきましょう。――ですが今回僕達が並んでいた事は明白な筈です。ここは先輩として譲って頂けませんか?」
「あのなぁ、テメェら新人が受ける依頼と俺ら『赤槍団』が受ける依頼、どっちが重要かくらい分かんだろうが。『赤槍団』、知らねぇとは言わせねぇぜ?」
「……知りませんが」
「……ッ!テメェ……!」
挑発しているとも取れるヴィルの言動に、『赤槍団』と名乗ったパーティーのリーダーらしき男が怒りヴィルの胸倉を掴む。
挑発しているというのは男の誤解では無くヴィルの意図的なもの、ヴィルは既にこの問答が面倒なものに思えて仕方が無かったのだ。
初めての冒険がこれでは友人達も面白くないだろうし、早く終わらせたいというのが本音だった。
そういう意味では、男が短気だったのは手っ取り早い解決手段が取れて助かったのかもしれない。
「それ以上抜かすようなら……ぐほっ!」
あと少し遅ければ友人に手を出され激昂したクレアが殴りに掛かった場面、ヴィルは自らの胸倉を掴む腕を掴み、勢い良く男の腹に拳をめり込ませた。
ヴィルのまさかの行動に仰天するクレア達、しかしヴィルの反撃はまだ終わっていない。
腹を殴られ怯んだ所で掴んでいた腕を万力の如く締め上げ、人の居ない事を確認した方向へと思い切り投げ飛ばした。
重いものが地面にぶつかって鳴る鈍い音、上がる歓声。
ここで悲鳴では無く歓声が上がるのが冒険者らしいというべきか、歓声を通り越して「いいぞもっとやれ!」という野次が飛んでいるのもご愛敬。
「テメェ……よくもやってくれやがったな……」
男はどうやらパーティーを代表して列に並んでいたようで、投げられたリーダーの側には心配して駆け寄ってきたパーティーメンバーが数人集まって来ていた。
そしてその誰もが、目にヴィルへの敵意を燃やしている。
それを見たヴィルは面倒だとでも言いたげに溜息を一つ。
「先に手を出してきたのはそっちだろうに。文句があるなら相手になるよ、僕一人でね。それで十分というものだろう?」
「「「「ぶっ殺してやる!!」」」」
そこから始まったのは四対一という不公平な喧嘩、ではなく、一対四の一方的な蹂躙だった。
たった四倍の人数差を確保した程度ではヴィルに勝てる筈も無い、というのはバレンシア達にもヴィルを知る冒険者達にも分かり切っていた事だ。
周囲の冒険者達が囃し立てる中行われる一方的が過ぎる喧嘩と、それを止めようとする者が一切居ない状況にバレンシア達は立ち尽くす他無かった。
「えぇ……。そりゃアタシもチョットキレすぎたかな~とは思ったケドさ、こんなになる?流石に引くわぁ……」
「ターリスの奴、ありゃ朝っぱらから酒入ってやがんな。ヴィルに手ぇ出しやがって、相手を間違い過ぎだ馬鹿が」
ヴィルが予想以上に相手をボコボコにしている光景を見て、逆に冷静さを取り戻したクレアが軽く身を引く中、いつの間にか傍に立っていたデッドリーがニヤニヤと極悪に笑っていた。
もっとも、先のやり取りでその笑みに悪意が無い事は理解しているが。
「皆見てるだけだけど、誰も止めないのね。何だか異常だわ」
「そりゃ外だとこの光景は異常かもな。だが冒険者はこれが日常だぜ?喧嘩なんざ珍しくもねぇ。だが、ヴィルのあれは久々に見るな。アンタら、よっぽど大切にされてんだな」
「久々?大切?それってどういう事?前にもヴィルが何かしたの?」
バレンシアはヴィルの過去をよく知らない、それ故の純粋な疑問だったが、デッドリーは実に答えにくそうに言葉を濁らせていた。
しかし口ごもっていても意味が無いと考えたか、デッドリーはやがて諦めたように口を開く。
「三年前、ヴィルが冒険者登録をして活動をし始めた頃だ。そん時も六人でパーティーを組んでたんだが、その仲間の二人の女を強引にナンパした馬鹿が居たんだよ。で、無理矢理に手を出そうとしたその馬鹿はパーティーメンバーと外野含め十何人で挑んでボッコボコ。まあ、その馬鹿ってのは俺の事なんだがな」
「あの時のデッドリーさん、結構怖かったんだからね?自分がどういう顔してるかくらい分かってなきゃ」
「悪かったって!俺も若かったんだよ!……ま、ヴィルはヴィルで色々あって荒れてたんだろうがな。三年前のヴィルは今と比べて、そう、自暴自棄って感じだった。それが功を奏してちょっかい出そうって奴が居なくなったんだから、実際上手くやってるよ本当」
彼の話をまとめると、ニアともう一人の仲間をナンパしようとしたデッドリー達はヴィルの逆襲にあったという事らしい。
ヴィルが仲間に甘く大切にしており、またその仲間を傷付ける者に容赦をしないというのは昔から変わっていないようだ。
デッドリーの話を聞いて疑問が残ったのか、ザックが遠慮なしに疑問を投げ掛ける。
「デッドリーさんはそれでいいんすか?仲間も同時にボコられて報復しようとか考えなかったのかなって」
「またキツイ事聞くなぁ坊主。俺の事はデッドリーで良いぜ。――報復なんて考えるかよ、俺は寧ろあの一件でヴィルを信用したんだからな」
「信用?」
「そうさ。だってそうだろ?喧嘩が出来るって事は本音で語り合えるって事だ。本音が聞けりゃ人となりが分かるし、喧嘩すりゃそいつの実力も分かる。そういう奴に背中任せるってのは気持ち良いもんだぜ?逆に言えば、喧嘩も出来ない、する気概も無い奴に背中なんて預けられねぇし、預ける気も起きねぇ。その点ヴィルはバケモンみてぇに強ぇだろ?ヴィル以上に安心して背中任せられる奴も居ねぇよ。それにだ」
そこで一旦言葉を切り、ニヤリと笑ってデッドリーは決まり文句を言い放つ。
「「――冒険者は舐められたら終わりだからな/ね」」
丁度『赤槍団』を片付け終わったらしいヴィルとデッドリーの声が重なり、ギルド内に冒険者達の男臭い笑い声が上がったのだった。
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