第9話 ハッピーバースデー”レイドヴィル” 二
一日の訓練を終え着替えさせられたレイドヴィルが、イザベルとエマに連れられるままにダンスホールへと向かうと――
「「「「「レイドヴィル様、お誕生日おめでとうございます!!」」」」」
そう一斉に、イザベルとミヤを含めたホール中の人々からレイドヴィルに、祝言と盛大な拍手が送られる。
瞬間、レイドヴィルは言葉を失った。
ダンスホールに入り、まず目につくのはその大勢の人々だ。
アルシリーナやヴェイク、メイド長やベルトを含めた使用人達、銀翼騎士団の団員達にボールドとエミリーまで。
屋敷中の人間全てが集まったのではないかという程の大量の人が、それぞれ正装に身を包みレイドヴィルを笑顔で出迎えている。
来客の類いはないようだが、シルベスター家の身内で固められている事が逆に家庭的な暖かさを感じさせる。
煌びやかな装飾で彩られたホール内は一体どれ程の時間とお金を使ったのか、相当に手間が掛けられた事が容易に窺えるデザインだ。
パーティーは立食形式ながらも所々に椅子が設置されており、テーブルには所狭しと様々な料理が並べられている。
一際大きなテーブルの上にあるのは誕生日ケーキだろうか、所々にアルシリーナやヴェイクが手を付けたであろう雰囲気がして嬉しい。
やはり誕生日祝いだった。
予想はしていた。
貴族の誕生日が当日に行われる事が珍しいというのは知っていたが、その可能性があるであろうという事も分かっていた。
けれど、けれど――
「――父様……母様……」
この二人に関しては完全にレイドヴィルの予想外だった。
常日頃からそうだが、ここ最近は特に忙しそうにしていた事もあり、今回も出席を見送るものだとばかり思っていたからだ。
もしかすると……なんて淡い期待をしても、どうせ裏切られるのだ。
ならば最初から期待なんてしなくていいと、そう。
想定していなかった事態に、思わず涙声になってしまう。
その様子を皆が微笑ましい顔で見守っており、中には既に涙を流している者までいる。
アルシリーナはレイドヴィルに近づき、ふふと頬を緩ませながら抱きしめ、
「実はね、今日のサプライズのために仕事が一気に終わるように調整してきたのよ。驚いてもらえたようで……よかっ……」
腕の中のレイドヴィルと同じく、感極まって泣いてしまうアルシリーナ。
今回のサプライズの立案者でもある彼女にとって、その安堵感もひとしおというものだ。
「ヴィルも知っているとは思うが、貴族の子供は七歳の誕生日には大勢の人を呼んで、盛大な誕生日パーティーを開くのが習わしだ。訳あって外部の人間は呼ぶ事が出来なかったが……その様子なら必要なかったみたいだな」
ヴェイクも安堵からか深い息を漏らした。
それからアルシリーナと抱き合っているレイドヴィルの肩を叩くと、
「ほらヴィル、皆に言う事があるだろう?」
アルシリーナの腕から解放されたレイドヴィルはずずと鼻をすすり、涙をメイド長から手渡された手拭いで拭ってから、自分を見る皆を見回して大きく息を吸い込み、
「みんな、今日はありがとう!これからも立派になれるように頑張ります。これからも、よろしくお願いします!!」
後から暖かい拍手と「おめでとう!」やら、「これからも特訓頑張りやしょう!」やらの暖かい言葉が投げ掛けられる。
拍手と声援は鳴り止まず、そのあまりの熱量に日頃から褒め慣れているレイドヴィルも頬を赤く染めてしまっていた。
「さあ、今夜はパーティーだ!身分の差に関わらず、存分に楽しんでくれ!」
声を張り上げたヴェイクの号令がかかると、歓声と共に再びレイドレイドに拍手が送られ、それから皆思い思いに飲み物を飲んだり料理をつついたりしていく。
それを見てお腹の空いたレイドヴィルも、流れに乗っかろうとして――
「ヴィル、料理を取り終わったらこちらに来なさい。少し話がある。……ああそれから、今日の食事はいつもみたいに誰かに遠慮したりしなくていい。存分に楽しみなさい」
「分かりました、父様」
そう言われたレイドヴィルはヴェイクの言葉に頷き、どの料理にしようかとテーブルを吟味していく。
するとそこへ、タイミングを見計らっていたらしいボールドとエミリーがやってきた。
「よおレイドヴィルの坊主、大きくなったなあ!」
「久しぶりです、叔父様」
いきなりに軽々とレイドヴィル持ち上げるボールドだが、会う度にこうして持ち上げられるためレイドヴィルも随分慣れた様子で挨拶を返している。
「今日は誕生日おめでとう。あんなに小さかったレイドヴィルももう七歳か……時間が経つのは早いな」
早々にレイドヴィルを降ろしたボールドは、感慨深そうに顎髭を撫でている。
どこか遠い所を見ているボールドを見て、自分も話しかけていいと思ったのか、エミリーもレイドヴィルにお祝いの言葉を贈る。
「おめでとうヴィル。……ヴィルって年上だったのね……」
「言ってなかったっけ?実はそうなんだ。でも、昨日みたいに普通に話しかけてくれた方がうれしいかな」
「そう?じゃあ、これからもよろしくね、ヴィル」
どこか気まずそうに話すエミリーに対し、レイドヴィルは気にしなくていいと言葉を掛ける。
それからは緊張もほぐれたようで、会話は続き幾らか笑いも起きた。
そうして会話をしている内に回想から戻ってきたのか、ボールドがこちらを見る。
「……と、これ以上引き留めるのは申し訳ないな。レイドヴィルも義兄上に呼ばれているんだろう?エミリー、行こうか」
「はい。またね、ヴィル」
そう別れの言葉を言うと、二人は連れてきていたメイドとヘクターの所へと戻っていった。
それからレイドヴィルは、傍にいたメイド長から皿を受け取ると好きな料理、普段あまりなじみがない料理などを取り分けてから、会場の端にあるヴェイクとアルシリーナのいるテーブル席へと向かい席に着く。
「……遠慮する事は無いとは言ったが……しかしこんなに食べられるのかい?いつ見ても不思議なんだが……」
「大丈夫だよ。ちゃんと食べ切れるから」
もはや不自然とすら言えるほどに皿に盛られた料理を見て、ヴェイクは気圧されたように呻く。
騎士として日々体を動かし、それ相応に食べるヴェイクから見てもレイドヴィルの食事量は普通では無かった。
「ヴェイク、それを言うのは野暮ってものよ?ヴィルはいくらだって食べちゃうんだから。ねー?」
若干引いた様子すら見せるヴェイクに対して、アルシリーナは心配無いと太鼓判を押す。
確かに思い返してみれば、レイドヴィルが食事を食べ切れなかった事など一度として無かったと、ヴェイクはこれまでの食事風景を振り返って思う。
「そうだな……うん、済まなかった。それじゃあヴィル、こんな祝い事の場で悪いが少し話をしようか。七歳になったお前には必ず話しておかなければならない事だ」
「――はい」
軽く謝罪をした後コホンと咳払い、本題へと切り替える。
父親の真剣な雰囲気を感じ取ったのか、レイドヴィルも言葉遣いを改める。
「賢いヴィルの事だから気付いているとは思うが……ヴィル、お前は通常の貴族の子供とは扱いが大きく異なる。不思議に思っていただろう?お前はたったの一度も屋敷の外に出た事が無い。加えて来客の類いもボールド達身内を除いて会わせた事がない。それが何故なのか」
長文を話したからか結論を話すからか、ヴェイクは一度話を切る。
その真剣な顔を見るに後者の方のようだとヴィルは感じ取った。
それから軽く息を吸い、ヴェイクはまっすぐレイドヴィルの瞳を視線で射抜き、
「それはお前が、強くなり過ぎると判断されたからだ」
言葉を切り、強くはっきりと言い切った。
その予想外の理由に、レイドヴィルが首をかしげる。
その様子を見ていたヴェイクは滔々と語り出した。
「順番に説明していこう。まずお前がまだ胎児だった頃、リーナの妊娠中、大量の魔力がアルシリーナからお前に流れていた事は話したと思う。なにせ前例の無い事だ、その時点で何かしらの異常をもって生まれてくるのではないかと覚悟はしていた。最初は目に見えた異変も無かったから安心していたんだが……その魔力総量が問題だった」
当時の事を思い出しているのか、テーブルの一点を見つめながら話すヴェイクの手は固く握りしめられている。
そんなに覚悟のいる話なのだろうか。
「ただでさえトップクラスの魔力量を持つリーナの魔力が枯渇したんだ。相応に多いだろうとは思っていたがまさか、リーナを遥かに凌ぐ程だとはな。あの時は頭を抱えたものだ」
「そうねぇ……。さらにエネルギーに干渉できる魔術特性だもの。ミアの大いなる結末をもたらす、って言葉を信じちゃうくらいには説得力があったわね」
クスリと笑うリーナにつられて、ヴェイクも顔に柔らかな笑顔を浮かべた。
しかし、すぐにまた真剣な表情へと戻ってしまう。
話は続く。
「そう、説得力があったんだ。お前が生まれた年、瘴気の魔獣の活動が確認された。魔獣は魔王の眷属、過去の文献からも魔獣の活発化は魔王の復活の前兆として伝承にも記されている。それと同時に、魔獣の活発化が起こり始めた年に産まれた子供は特別な役目を背負う、とも」
「それはつまり……」
普段からシルベスターの蔵書を読み漁っているレイドヴィルも、途中で気づく。
瘴気の魔獣の活性化と魔王、そのワードは数々の英雄譚で目にする単語だ。
人類の天敵である魔王に勇猛果敢に挑み打ち倒す、人類の剣にして盾、人の先頭に立って光をもたらすその存在の名こそ――
「――異常な魔力に特異な魔術特性、加えてミアの占星による結果。これらの事実によりお前は、王国議会において勇者であると認定された」
絶句。
衝撃の真実を告げられたレイドヴィルの思考が白く染まる。
勇者、それは物語の存在の、もっと遠い人の事ではなかったか。
理解の追いつかないレイドヴィルを置き去りに、ヴェイクは話を続ける。
「仮の認定とはいえ女王陛下も出席された議会での認定だ。この先の成長具合にもよるが、この決定が取り消される事はまずないだろう。これまで秘密にしていて済まない」
「っ……!頭を上げてください父様!隠さなければならなかった事情は分かっています!僕が父様を責めることなどありません!……しかし、僕が勇者ですか。僕が、勇者……」
頭を下げて謝罪したヴェイクに対し、謝る必要は無いと慌てて諌めるレイドヴィルだが、まだ事情を呑み込めていないようだ。
激しい混乱からテーブルの上を見つめ、口元に手を当てて考え込んでいる。
「まだ呑み込み切れないだろうが説明を続けよう。お前が勇者認定を受けた事で、レイドヴィル・フォード・シルベスターに関しての情報は王国法第十五条、国家機密法によってレベル五の国家機密に指定された。これにより一部の侯爵以上の当主と、例外となる者のみで情報はやり取りされ、また宣誓魔術によってこの情報を人に開示する事は厳しく制限される。どうしてか市井に私とリーナの間に子供が出来たという噂が一部流れているが、確信に至る者はまだ出てきていない。だがこれ以上お前の存在を外部に漏らす訳にはいかないから外出も認めなかったし、せっかくの誕生日にも人を呼んでやる事ができなかった。ここまではいいか?」
「は、い……正直ついていくので精一杯ですが、なんとか」
「それならいい。それから、お前は将来学園に通う手筈になっている事はこの間話したな。その際にも貴族のレイドヴィル・フォード・シルベスターとしてではなく、シルベスター家が運営する孤児院出身のヴィル・マクラーレンとして通ってもらう事となる。この名前はお前が秘匿される事になったと同時に作られた架空の人物だ。ヴィルという名前も銀髪も市井ではそれ程珍しいものではない。特徴を結びつけて推測する者もいるだろうが、確証は得られまい。普段からあだ名で呼ばれ慣れている事もあってやりやすいだろう」
「確かにそうですが、結び付けて推測する者もいるとの事ですが、中には調べを入れる人もいるのではないですか?」
ようやく理解の追い付いてきたレイドヴィルが、学園に通う際の疑問を投げる。
レイドヴィルが通う予定になっている学園は貴族も多く、人を使えばヴィルの素性を調べて真実に辿り着いてしまう者もいるかもしれない。
そう推測するのはごく自然な考えだ。
だがその危険性を考えていない両親ではない。
「そうだな、その辺りのカバーは行う。具体的にはお前がもう少し大きくなったら、我々銀翼騎士団の任務に、名をシルバーとして同行してもらう。そしてその際はアーティファクトで顔を隠した状態での参加となる。幾つか任務をこなした後、学園で授業を受けている最中にも活動を行い、シルバーが参加していたようにこちらで偽装する。これでお前に向くかなりの疑惑を逸らせる筈だ。他にもいくつか手は打つつもりだしな」
すらすらとレイドヴィルの疑問に答えるヴェイク。
レイドヴィルはその様子から、この情報隠蔽が相当な年月をかけて、綿密に計画されたものである事を察する。
同時に、自分の存在がそれ程までに重要なものであるという事も理解していた。
「ヴィル、お前は将来シルベスター家と銀翼騎士団を背負って立つ立場になる。そして……魔王やその眷属達と戦う事になるだろう。その時まで、素性を隠して生きなければならない。友人も出来るだろう、恩人と呼べる者も出来るだろう。もしかすると好きな人なんかも出来るかもしれないな。その全てを欺き続ける事は……きっと辛い事だろうと思う。だがそれでも、人類の未来のため、やってくれるな?」
両親がこちらをじっと見つめている。
やってくれるかではなく、やってくれるな。
レイドヴィルはその言い方から、自分への信頼を感じ取れたような気がした。
ここで嫌ですなどとは、とてもではないが言えない、レイドヴィルは期待を裏切れない。
けれど、けれどだ。
「やるよ。それが運命だとしても、誰に決められた事でも、他ならない、僕の意思で」
「ありがとう、ヴィル」
「ありがとうね、ヴィル」
敬語から切り替え、自分の言葉で気持ちを伝える。
二人も強い意思を秘めたその眼差しからレイドヴィルの覚悟を感じ取ってくれたようで、顔を綻ばせて頭を撫でてくれた。
滅多に会えない両親との久しぶりのスキンシップに、レイドヴィルも表情に喜びを隠せていないようだ。
「さっ、固い話も終わったことだし、ここで私たちが用意していた……」
「アルシリーナ様!ヴェイク様!どちらにいらっしゃいますか!」
いたずらっ子のような笑みとともに何かを取り出そうとしたアルシリーナだが、バンと開け放たれた扉の音と自分達を呼ぶ焦ったような声で遮られた。
その声の主は騎士のようで、一通り会場を見回した後、ヴェイクとアルシリーナを見つけて駆け寄ってくる。
いくら誕生日と言っても騎士団の業務を完全に停止する事はできないため、本部に残していた者の一人のようだ。
「お楽しみの所大変申し訳ありません。ですが緊急の案件なのです」
「構わないわ、話してちょうだい」
駆け寄ってきた勢いのまま跪き話す騎士の姿に、アルシリーナもそれまでとは百八十度違った表情で立って耳を傾ける。
「はっ。王都近郊で魔獣の大規模な侵攻を確認。既に複数の村で被害が確認されており、王国正騎士団と我々の両方に出動要請が出ています。どうか今すぐご準備を」
「……………………話は聞いていたわね。全員準備を急ぎなさい。ボールドも来て頂戴」
「姉上、俺は構わんが……」
「……分かってるわ。先に行って現場の指揮をお願いしてもいいかしら」
「……了解した。ヘクター、行くぞ!エミリーはここにいろ。面倒を見てくれるはずだ」
「は、はい……おとうさま、ご武運を」
巨体ながら軽快に駆けていくボールドに続き、騎士団員達も次々と会場を後にする。
ボールドがいるのなら準備は心配ないだろう。
問題は……
「母様……父様……」
震える唇を噛みながら不安気に両親を見上げるレイドヴィルだ。
なんと言葉を掛けたらいいのか、言葉が出ないアルシリーナ達より先に、レイドヴィルが口を開いた。
その口が震えている事に、両親が気付かない訳が無かった。
「僕のことは気にせず行ってください。みんな、母様と父様を待っています」
瞳を潤ませながらも気丈に振舞うレイドヴィルを見て、アルシリーナは息を呑んだ。
七歳の子供なのだから、泣き喚いて行かないで欲しいと縋っても、誰に咎められるでもないのだ。
それでもレイドヴィルは、あくまで貴族の一員として両親を送り出そうとしてくれている。
弱々しいながらも笑みすら浮かべて。
「ごめんなさいね、ヴィル。帰ってきたら必ず続きをしましょう」
口の中の苦みに顔を歪ませながら、アルシリーナは会場の外へと駆けて行った。
「…………」
「イザベル、ヴィルに付いていてやってくれ。頼む」
「ヴェイク様……」
「済まない」
アルシリーナを見送った後俯いたままのレイドヴィルをイザベルに預けたあと、複数の意味を含ませた謝罪を残して、ヴェイクもアルシリーナに続いて会場を後にした。
「…………」
虚しく飾り付けられたダンスホールは、先程とは打って変わって伽藍としている。
賑やかな声で埋め尽くされていたこの場所も、少数の使用人を残すのみで寂しさが勝った。
広い会場も、豪華な装飾も、どれもこれもがどこか空虚に映る。
「う、うぅ……」
居た堪れない雰囲気の静かな会場に、鼻をすすり嗚咽を堪えるような泣き声が響く。
その場に残った使用人が見ると、レイドヴィルが肩を震わせて泣いていた。
普段から滅多に泣く姿など見せないレイドヴィルの泣く姿は、それを見た者に大きな驚きと同情を覚えさせた。
「ヴィルくんっ……!」
その泣く姿を見ていられなかったイザベルが駆け寄り抱きしめると、レイドヴィルは膝から崩れ落ちた。
ぽっかりと空いた穴を埋めるように強く、強く、抱き返す。
――心が、決壊する。
「あぁ……ああああああぁぁぁああ!!」
やがて堪え切れなくなり、虚勢は完全に剥がれ落ち、イザベルの胸の中、大声で泣いた。
泣いて泣いて泣き喚く、ただその慟哭だけがホールに響く。
心の膿を吐き出すように、己の不遇を嘆くように、感情のままに叫ぶ。
心が底冷えしていく。
心に鍵を掛けた筈なのに、鍵穴からぽろぽろと零れて落ちてしまう。
体ごと凍てつくようにその低温は広がり、体が震える。
そのまま凍えてしまわないように、身体が目の前にある足りない熱を求めた。
けれどそれでも、その『欲』が満たされる事は、無い。
―――――
泣いて泣いて涙も枯れて、それでもまだ泣き足りなくて。
泣いて泣いて泣き疲れて、直接手渡しされるはずだったプレゼントを抱きしめて。
帰りを待って待って待ち惚け。
――二人が帰って来たのは、レイドヴィルの誕生日から一週間も後の事だった。
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