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破滅フラグの来訪〜カエルム編〜

開いて下さりありがとうございます!

「セリア伯爵婦人とそのご子息がいらっしゃいました。」


セリア伯爵の子息!?


シュネ・ラミトネスの死への破滅その1

旧姓……カエルム・セリアとの出会い。


カエルムは水魔法という伯爵身分とは不釣り合いな魔法という事などの理由から家でも煙たがれ、ラミトラス家に来てからはシュネに虐められ……と根暗アンド捻くれ者になる要素しかない生い立ちの攻略キャラだ。


健康ライフに意識し過ぎて忘れてた!!


「お嬢様!お風呂に入ってご支度をしましょう!」


そう言うと間髪入れずにシュネは抱き上げられ、ものの15分足らずで物語のシュネ・ラミトネスに進化してしまった。


さっきまでの農民のような女の子とは見違える程に。


「足早にお願い致します。」


2階にある部屋から慣れないヒールで1階まで向かい、面会室を前に大きく深呼吸を1回。


「失礼致します。シュネ・ラミトラスです。」


扉を叩くと、部屋の奥から低い声はシュネを部屋まで招き、シュネはおもむろに部屋へと入った。


下座に座る父と上座に座っているのは、紛れもなくカエルムとその母親マリーだった。


ゲームとは比べ物にならない程に綺麗な青い髪に瞳……それと闇を感じる目の奥の暗さすらもゲームとは比べ物にならない。


「いい所に来たな。カエルム君だ、これからシュネの弟になるんだよ。」


驚き固まっていた体を動かし、何度も習い、また何度も見てきた自己紹介の一礼の動作をカエルムらに向けた。


「お初にお目にかかります。私、シュネ・カエルムと申します。」


つい昨日までのどこか臆病なシュネらしくの無い堂々とした立ち振る舞いに、実の父親ですら度肝を抜かしていた。


カエルムは自分には無い部分の彼女に何を抱いていたのだろうか。


俯いていたその目には、しっかりとシュネが映っていた。


「……で、ではカエルムをこれからよろしくお願い致します。」


マリーはカエルムの肩に手を置き、深深と頭を下げた。


カエルムは怯えたように肩を鳴らすと、離された手に安心しているようだ。


その他諸々の手続きやカエルムの諸事情の話しがあるのだろう。


シュネとカエルムは先に部屋を出ることを命じられ、ルハに促されるがまま、カエルムをシュネの部屋に招いた。


「カエルム様……カエルムと呼んでもいいかしら!」


カエルムがシュネを恨む原因である虐めや、過去の事に囚われて、勉強という物で殻に閉じこもりひねくれていく……そして裏表の無い、自分を包み込んでくれたリナに恋をする。


リナに恋をするのは良い、殻を破ってもらうのもリナで……それって殻に閉じこもって、孤独でいるのがあと6年も続くって事?


そんなのダメよ!子供は笑って笑顔でいなくちゃ!


……カエルムを虐めなきゃそもそも破滅しないし、取り敢えずは”良い姉”ポジションをキープしつつ、孤独な気持ちになるのを回避する事にしよう。


「私のこともシュネとか姉様とか呼んでくれないかな?」


「お言葉ですが、それは親睦を深めてからからで。」


カエルムって昔から昔からこんな感じなんだ……まぁ、実の親にすら生まれて来なければと悩まれる気持ちは測りきれないか。


「そうよね、親睦を深めてからそういった距離になるのよね。」


それに友達のいなかった私は普通じゃない可能性だってあるし。


目すらも合わせてくれないカエルムにお茶を出すと、その後の会話は寂しいものでどんなに会話を振っても「そうですか。」「良かったですね。」以外の返事は返っては来なかった。


初めて会った人とはこんなものなのかな……と自分を励ましながら、シュネのもはや独り言な会話は30分続いた。




「シュネ、カエルムはここにいるかい?」


「いらっしゃいますわ!」


会話の種が尽きそうになった頃、仕組んでいたかのように父は扉を開けた。


するとカエルムは直ぐに立ち上がり、父に駆け寄った。


「カエルムの部屋はシュネの隣部屋だよ。これからよろしくね。」


父は優しくカエルムの頭を撫で、カエルムは恥ずかしそうにそっぽを向いた。


それはまるで本当の親子のようで、シュネの時とは本質から違うように見える。


「シュネもお姉さんらしく出来るだろうから、頼りにしてるよ。」


ほら、頼りにしてるって聞こえは良いけど、あなたが言っているのは信頼からじゃないのでしょう?


父はへたに優しそうな笑顔を浮かべ、シュネはそれに答えるかのようにしっかりと笑顔を浮かべた。


「もちろんですわ。お父様のご期待に答えられるよう全力を尽くします。」


でもこの関係も改善していかなくちゃ破滅へ進む足枷となってしまう……今後の目標がまた増えたわね。


「では私、やりたい事がありますので失礼致します。」


「怪我のないようにな。」


「えぇ、ありがとうございます。」


そんな2人のやり取りにカエルムは目を背け、父に言われるがまま自分の部屋へと入って行った。


そんな2人が遠ざかるのを確認すると、シュネはルハを呼び付ける。


「馬車で行ける範囲にある映画館とその映画をリストアップできる?」


「映画ですね、かしこまりました。」


退院したらやりたかった事その2

大きな画面で映像を見る!出来れば感動系とアクションを!


病室にテレビはあったけど大きな画面で見るのとは全く違うし、病室では思いっきり泣いたり出来ないから周りの目を感じずに見てみたい。


あとでカエルムを誘ってみようかな?

まだまだ続きますので暫しお付き合い下さい。


有難いコメント待ってます。

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まだまだ続きますので暫しお付き合い下さい! 有難いコメントや評価お待ちしております。
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