[ 003 ]
ある日、絵葉書が届いた。
宛先は私で、差出人の名前がなかったが、【003】と書いてあった。
筆跡から、恋人のものであると思ったので、写真たてに入れることにした。
「大丈夫?」
毎日のように手作り弁当を持ってきてくれる親友は、
ちょくちょくそんな風に私をなぐさめるかのような言葉を散らす。
恋人の失踪。
行方不明、という言い方になるのかもしれない。
妊娠してお腹がふくらんできたので、産休を早めにとっている。
仕事場も、情緒だからと気配りと慰めの言葉をくれるいい所だ。
いつものように親友の手作り弁当を食べている時に、ふと思ったことを口にした。
「彼が、妊娠したの知ってさ、失踪するようなひとじゃないと思う」
すると向かい側に座っていた親友が立ち上がって、荷物を包み始めた。
「お腹に赤ちゃんできたとか、許せなかったからさぁ、殺したんだぁ。
絵葉書とか珍しく買ったとか言ってた日。
死ぬ前に、届させてくれって。
几帳面だよね、お財布に切手持ってるって。
しょうがないから、ポストに出しに行ってあげたんだよ」
そう言ってその場を去った親友が言った場所に、彼の遺体は埋まっていた。
私は知らなかったが、地元ではその場所のことを、003と呼ぶらしい。