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夜叉



 この前のことですが、いきなりのことでした。


 車が道路を渡るひとに突っ込んできたのです。


 あわや大惨事。


 道路を渡っていたのは五歳の男の子で、普通なら助かる見込みはありませんでした。


 その男の子をまるで狙うかのように加速した車が突っ込んできたからです。


 そしてそこに、白い毛皮のようなものと連結した仮面をかぶった男が出現。


 仮面は鬼を思わせる和風なもので、体格から男性だと思われる。


 そして着ているのは、どこにでもありそうなシャツとジーンズ。


 はいているのは大量生産されているスニーカー。


 その彼が男の子を包むようにひったくって、車のボンネットに転がりました。


 ブレーキをかけるつもりがないその車から着地して、そのままその場を回避。


 母親らしきひとが呆然としている中、彼は周りにいた人物たちの注目を浴びています。


 男の子の母親が彼を見て、「たーくん、たーくんなのっ?」と声を上げます。


 男の子が、「いなくなったイトコのお兄ちゃん?」と不思議そう。


 面をかぶった彼が、声を発しました。


「たーくんはもういないと思って。すぐにこの場所は感知されるからもう行く」


 

 翌日にはニュースになっていたその騒動は、彼を「夜叉やしゃ」と取り上げていた。


 アパートの部屋でテレビを見ながら「夜叉だって」とつぶやく私。


 テレビのリモコンで電源を切った彼は、「だからなに」と言った。


 彼が運んでくれたのは、朝ごはん。


 壁には、白い毛皮みたいなものと仮面がかかっている。


 それを見つめる私の頭を軽く叩いて、「気にするな」と彼は言った。

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