姫のミルククラウン
白いウエディングドレスを着た美女がひとり、大きな窓の前にたたずんでいた。
天気は曇りのち、晴れの予測。
挙式はもうすぐ・・・
側にいるのは側仕えのラビリット。
二足歩行の、人語を喋れる服を着たいうさぎの種族。
姫に使えているそのラビリットは、それに釣り合う立派なスーツを着ている。
板チョコみたいな出入り口にノックがされた。
ラビリットが対応をして、「姫、届いたようですぞ」と声を透した。
やっと振り向いた姫は、クッションの上に乗ったティアラを見た。
「これが、お父様からのプレゼント?」
「はい、さようです」
ラビリットの説明によると、それはクール魔法でできているらしい。
少し触ってみても、別に冷たくはない。
「二十歳の結婚式ですので、牛乳玉を二十個あしらったそうで」
説明によると、新鮮な牛乳を大量にこぼし、床で跳ねた瞬間を魔法で凍らせた。
そして姫の頭痛が起きないように、風魔法でドライして、硬化。
涙型をしているのは真珠らしいけど、ミルククラウンと言うらしい。
「あの・・・もうもらったのよね?」
「はい、さようで」
「こんなことは初めてだけれど・・・」
姫はその製法が信じがたく、ティアラを手に取ると、匂いをかいだ。




