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オレンジ姫



 王子様が主催した花嫁探しの舞踏会は、それはそれは華やか。


 姫、美姫だけではなく、お嬢様、一般の女子まで招待されました。


 きらびやかな舞踏会の明かりは、遠くからでも見て取れて、感嘆のため息ばかり。


 王子はきっと素晴らしい娘を嫁にするに違いない、と誰しもが思っています。


 舞踏会の注目を浴びているダンスのペアは、王子様とオレンジと言う名の娘。


 その娘は髪色がオレンジで、水色の瞳をしています。


 顔立ち、どこかひととは違う雰囲気、王子様は彼女に夢中です。


 もちろんオレンジも王子様とのダンスに酔いしれていて、幸せそう。


 立食式のテーブル辺りをあさっている女子が食べる間をおしまずに見入っています。


 オレンジは、今日のためにあつらえたオレンジ色のドレスを着ています。


 靴もオレンジで、社交ダンスをしている王子の足を何度も踏みそうになります。


 それを王子は笑って許してくれて「大丈夫」とささやいてくれます。


 そこに現れたよぼよぼのローブをまとった老婆。


「なぜ私を呼ばなかった」とわなわなとしていて、魔法の杖でのろいの準備。


 そこにメヴァンディーニと言う精霊たちがやって来て、王子に助言をします。


「悪い魔女が会場にいて、のろいかけようとしています」


 王子は少しの間ののち、何かを閃いたようでした。


「ええい!のろいをくらえーー!!」


 魔女がのろいを発動させようとした時、王子はメヴァンディーニたちに言います。


「もし本当にのろいが発動したら、メヴァンディーニよのろいを跳ね返してくれ!」


「了解!」


 片手をかざしバリアを張ったメヴァンディーニのおかげで、のろいは魔女に。


 のろいのかかった魔女は自分で指定した通り、塵になって死んでしまいました。



 舞踏会後日、オレンジを花嫁に選んだ王子様は、家を訪問しオレンジに求婚します。


 そしてオレンジはその美しい瞳から涙を流し、「嬉しいです」と言います。


「それでは我の嫁になってもらえるのか?」


「いえ、それはきっとできません・・・」


 悲しげなオレンジに、理由をたずねる王子。


「あの魔女は、わたしのひぃひぃおばあちゃんなんです」


「なんと。我は気にしない」


「魔女の血族と結婚したら、王子様の名誉に傷がつくかもしれない」


「なんてことだ。気にすることはない。我は君を選んだ」


「もし私が、血筋を気にして白魔女だったとしても?」


「かまわない」


「私が十四歳だとしても?」


「やっぱりか・・・十五になれば法律で結婚できる。一年待つから」


「そこまで言ってくれるなら、喜んで」


「本当かい?」


「はい。王子への愛を誓います」


「我はあなたを侵略しません。そして愛を誓います」


「嬉しい」



 一年後・・・ふたりの挙式が決まって、オレンジは純白のドレスを着ています。


 王子がいささか緊張している様子を、じぃが「色々あった」と泣き出します。


「じぃ、今日は終わりじゃなく、新しい生活の始まりだ。どうか側にいてくれ」


「御意」


 天然で黄緑色の毛色をしている喋る猫、ローリージェーンが言います。


「とにかくおめでとう王子。さすがに今夜、寝室でゴロゴロするのはやめておく」


「そうだな・・・そうしてくれ」


「じぃは、王子のために法律変える申請をしたけど、ダメでした」


「そんなことがあったのか」


「じぃは本気でしたのに・・・」


 苦笑している王子のもとに、オレンジが会場に入って来ます。


 指輪が入っている箱の位置を確認したあと、王子はかしこまりました。


 正面の大きな窓壁は、美しい陽光を透して会場を飾ります。


 オレンジの父は娘と腕を組んでヴァージンロードを歩きます。


 長いヴェールは引きずるほどあって、見事なレース編みです。


 父から王子の腕に移って、赤い絨毯の上を更に進む。


「私、幸せです」


「僕もだ」


 昔話を始めた王子の話に、嬉しそうなオレンジ。

 

 神父はいちゃいちゃしているふたりの様子を見て、「割愛します」と言う。


 結局のところ愛を誓うかどうか神父にたずねられて、「誓います」とふたり。


 神父が促す前にキスをしたその状態に神父は呆れています。



 王様に秘密にした結婚式も終わり、王子様は手荷物を持って馬車へ。


 オレンジの家に婿になった王子様は、オレンジの家のお菓子屋で働いています。


 普段良いものを食べている王子様の珍しい助言もあって、お菓子屋は盛況。


 そして行方知れずだった王子を探し出した王様は、これまでの不理解をわびました。


 それからオレンジの家のお菓子屋さんは王室御用達になり、大繁盛。


 王子をやめなくてもいいから、時々は城に遊びに来なさいと王様。


 なんたって、十六人の息子がいるので、第十五の王子に継承権はうすいのです。


 それからオレンジには姫という称号が与えられました。


 王子様とオレンジ姫は、周りの親切に感謝していつまでも幸せに暮らしましたとさ。



 めでたし めでたし。



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