黒薔薇姫
とある国のお姫様が、結婚をひかえウエディングドレスの試着をしています。
真珠色をした白いドレスに、もう少しふくらみは必要かしらとご機嫌。
姫の名前はローズと言って、美しい18歳です。
結婚の相手は王子様で、この時代は戦が絶えず、隣国との和平のために結婚をします。
和平のためだと言っても、姫は王子様に恋をしています。
王子様も王子様で姫を可愛くおもって、特注の贈り物などをしてくれるのでした。
そして結婚式を間近に、王子様は策略によって殺されてしまいました。
敵国は、これで姫が自分の国に帰れば領土を広められるとほくそえんでいます。
しかし姫は和平のために手を打ちますと言い出しました。
とある者と結婚をする、と。
そして結婚式当日、姫は豪奢な真っ黒なドレスに黒薔薇のブーケを持って、
ひとりで白いヴァージンロードを歩きました。
そして司祭の前に立ち望み、死んだ王子への愛を誓いました。
「私は一生王子の愛したこの国のために、死んだ王子を愛します」
やがて彼女が老婆になる頃にはすっかり平和になっていたその国。
そしてその国では彼女のことを、『黒薔薇姫』と言い、
彼女の死後国への功績が認められ、
平和を作った者のひとりとして
今では『喪の女王』と言われてあがめられているのでした。




