39/74
アギジャビヨ
その身分の違いに、土下座をした女がいた。
悪代官は目の前で土下座をしている
その女の横に回り込み、
「どこを向いているのだ、無礼なやつめ」
と言って、土下座をした女を斬りました。
その話に、民は恐怖し
すこやかなる気持ちを
忘れそうになっていました。
そこに、旅をしている王子が
視察へと参られました。
民の中には目が見えぬ女がいて、
土下座をした庶民たちと、別の方向を向いています。
おどおどとしている民を前に、
王子は側近に目くばせをして、
その盲目の女が向いている方へと
音をたてないように移動します。
それに気づいた他の民たちは、
王子の気遣いに感動し、
自らもその方面に向き直り、
心から平伏しましたとさ。




