花墓:はなばか
目が覚めて、今日もだ、と思いながらベッドから身を起こす。
ここ何日も何日も、奇妙な夢を見て目が覚める。
同じ夢なので、とても気になった。
夢占いに少し詳しいと言う知人がいて、そのことを相談した。
どんな夢を見るのか聞かれ、素直に答える。
何もない原っぱに、少女が泣いている。
そして声でない声の感覚で、何故か「地名」らしき場所を私に言う。
たったそれだけの夢だが、数日続くと気になる。
機械に弱い私は、その知人に「地名」を検索してもらった。
すると、今まで知らない本当にある所だった。
休日、その場所に行ってみることにした。
そこには夢の中で見た、荒れ地。
近くを通ったひとに聞くと、数日前に自然と生えていた植物も刈ったらしい。
そこにテレビ取材班がやって来た。
声をかけられ、なぜここに取材に来たのか聞いてみた。
この地区ではコンクリートがまだ珍しいし、幽霊が出るというので収録するらしい。
私は夢で見たことを言った。
そして私が提案したその相談は、テレビで取り上げられた。
土地主が、特に用途もなくコンクリートを敷くすすめをされてあっただけ。
そして、私の提案にある程度賛同者がいるんであれば、好きにしていいとのこと。
そして私がテレビで呼びかけた「一緒に花を植えませんか」の呼びかけに、
夢に出てきた場所には花やハーブの苗が植えられ、
そして幽霊は出なくなった。
なぜ少女が何度も私の夢に出てきたのかは、未だに分からない。




