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天国への旅立ち
昨日、親友とケンカをした。
今日、その親友が死んだ。
最期の言葉は、「死んじゃえ」だった。
もう動かない親友を抱きしめて、
「僕が死ぬから、代わりに生き返らせてよーっ」と
天にいるはずの神様に向かって叫んだ。
光と共に現れたのは天使で、神様からのつかいだと言う。
真っ白な翼を背中に持つ天使様は光を背負い、おだやかに言う。
「あなたの寿命は、あと2日です。それまで親友に恥じぬように生きなさい」
2日後、光の中から迎えに来た親友は、笑って手をのばしてきた。
「頑張ったから、俺が迎えに来てもいいって。あの時きつく言ってごめんな」
「許してくれるの?」
「もちろんだよ、案内するぜ。俺、あの世の2日先輩だから」
僕たちは今天国にいて、幸せに暮らしています。
皆にこう言われてるのを知っているんだ。
「戻ってきたひとがいないほど、いい場所らしい」と。




