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第9話 転落

拙い文章ですが、よろしくお願いします!

それでは、お楽しみ下さいませ!

 『真朱の鷲』とはこの都市に三つしか存在しないAランク冒険者パーティの一つである。『黎明の雪神』『黒旗の魔法団』と並んでこの都市を代表する超大型冒険者パーティで、この国でこの名を知らない人はいないだろう。


 『真朱の鷲』の構成員は100を超える。これは数多ある冒険者パーティの中でも最も多い数だ。『自由の剣』がたったの三人であることを考えるとかなりの差があるだろう。またその全員がC級冒険者以上であることは冒険者の層の厚さを現している。


 『真朱の鷲』は真っ赤なツンツン頭がトレードマークのリーダーを中心にその他10人の幹部が組織している。幹部は全員がA級冒険者である。つまり単独でA級モンスターとやりあえる実力を持っているということだ。


 そしてその幹部が全力で支えるのがリーダーの『エン』。彼と全身真っ赤な大鷲をモチーフにした団旗の下に強力な冒険者が集まっているのだ。


 リーダーの人望は厚く、また実力も幹部以上。冒険者の間ではかなり憧れられている存在だ。


 そんな彼と幹部の二人が今、目の前にいる。


「おい!サヤに何してんだ!」


 リーダーの『エン』。若干18歳にて大規模冒険者パーティを率いる超新星。俺と同じ大剣使いで、炎の魔法をエンチャントして使う魔剣戦士だ。その実力は今や俺にも届くかもしれない。


「あなた方がそんな人たちだったなんて」


 その右隣に立つのが幹部の一人、聖女の『アカリ』。白銀の長い髪を修道服に収めており、金色の瞳は宝石のように輝いており、全てを見透かしているようだ。


「仲間を追放したという話は本当なのね」


 前にぐいっと出てきたのが弓使いの『アカンディア』。エルフの少女で都市屈指の弓の名手。金色の髪をポニーテールのように一つくくりにしており、いつも彼女の背よりも大きな弓を背中にしょっている。


「……相変わらずお前達は俺達に噛みつかないと気が済まないのか」


 彼らは俺達のライバルを自称して、俺達を敵視している。都市最大級の自他共に認める人気派閥であるのに、今や三人しかいない俺達『自由の剣』にいつもつっかかるのは、俺達がSランク冒険者パーティであるからだ。


 Sランク冒険者パーティは例外を除いて一つの都市に一つだけとこの国では決められている。Aランクから下は別に数に決まりはないのだが、都市最強の称号でもあるSランクはたった一つのチームのみなのだ。


 AランクとSランクには大きな壁がある。受けとる名声も報酬も段違いだ。だから全てのパーティはSランクを目指して日々研鑽を積んでいる。


 Sランクにもっとも近いAランクとずっと言われ続けている『真朱の鷲』はいつでも俺達を睨みつけてくるのだ。


「ギルドで問題を起こす頭のおかしい奴らがSランクなんておかしな話だな。今すぐ引退でもした方がいいんじゃないか」


 リーダーのエンが周りを一瞥したのち、にやりと笑う。


 ここは野次馬が多すぎる。既に俺達の評価はだだ下がりとなっているのに、このままだとこいつらのせいで名声は地に落ちてしまう。早くここから離れなくては。


「そんなにSランクの座が欲しいなら実力で奪いとったらどうだ」


 そう思った矢先、ハーヴィーはふっかれられた喧嘩を買ってしまう。怒ったハーヴィはもう何を言っても聞きやしない。でもここで問題を起こせば最悪資格を剥奪される恐れもある。


「あ?なんだと!?」


 同様にキレやすいエンも大声で怒鳴ってハーヴィを睨み返す。この二人は特に相性が悪い。冒険者同士の争いは御法度だ。SランクとAランクの冒険者同士なら尚更だろう。本気でやりあえば街一つ消し飛ぶだろう。


「ハーヴィやめろ!ここは引くぞ!」


 俺は今にも噛みつきそうなハーヴィの首根っこを掴みながらギルドから退出した。


 その時に聞こえてきた冒険者達の罵詈雑言はあげればキリがない。おれたち『自由の剣』の名声は一気に地に落ちた。加えてクエストの失敗。クエストを失敗したのはいつ振りのことだろうか。


 クエストの失敗は『自由の剣』の評価を下げるだけでなく、ペナルティも与えられる。罰金で済めばいい方だが、最悪ランクを下げられる。


 俺たちの今までの努力が無駄になってしまう。


「……くそ。なんでこんなことに」


 カイスを追放してから数日。俺達はなにもかも上手く行かなくなっていっていた。それはまるで呪われているように。





****



 月明かりの下。一人の男が死体の山に足を踏み入れる。


「こりゃ、えげつねぇ。流石都市一番の冒険者」


 地面に転がるのは大量の『ブルーオーガ』の死体。ブルーオーガの特徴はその名の通り皮膚から血液まで真っ青であること。普通のオーガとの大きな違いはその耐久力。攻撃力が弱い分、圧倒的な防御力を誇る。また素早く攻撃を当てるのは至難の業だ。


 単体ではCランク級の魔物だが、群れをなせばその脅威は計り知れない。並のBランク冒険者では太刀打ちできないことは確かではある。


 そんなブルーオーガはぐちゃぐちゃになっている。ほとんどが細切れにされており、真っ青な血は乾くこともなく、小さな池のようになっている。


 ひどい死臭が夜の森の魔獣達を引き寄せる。死体を貪るために目を光らせた魔獣達はのそりのそりと近づいてくる。


「……あ〜ダメダメ。貴重な実験サンプルなんだから」


 しかし、魔獣達は一瞬で消し飛ぶ。男は仮面を被り、黒色の大きなローブを羽織り、手には大きな杖を握っている。


「だいぶバフかけたつもりだったんだけどな〜。まあ、別に殺すつもりも無かったから良いんだけど」


 男は魔法で死体を全て回収する。


「……さぁ、これから楽しもうね♡」


 男は暗闇の中にやりと笑った。

 

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