第11話 昨日の味方は今日の敵
拙い文章ですが、よろしくお願いします!
それでは、お楽しみ下さいませ!
「はぁ?クエストがない?」
「はい。今発注できるクエストはありません」
冒険者ギルドでの騒動から数日。俺はまたギルドに赴いていた。その理由はもちろんクエストをこなすため。Bランク以上の冒険者にはクエスト遂行義務というのが存在し、必ず一週間に一回以上は何かしらのクエストをこなす義務を負っている。
しかし、俺は今門前払いを食らっているのだ。
メリルはまだ調子が戻らず、ハーヴィが面倒を見ている状態なので、俺は一人でもできるクエストを頼んだ。薬草探しでも人探しでもなんでもいい。しかし、驚くことにクエストの発注を拒否されたのだ。
このままクエストを行うことができなければ、冒険者としての資格は剥奪される。そんなことあってはならない。
「……他の優秀な冒険者様達がほぼ全てのクエストを受けているのです。あなたにすることは何も残っていませんよ」
今朝からクエストが何も残っていない。明らかに不自然すぎる。クエストの独占はルール違反のはずなのだが、ギルド側が何も言わないということは、独占されているわけではないのだろうか。
「何かお困りかな?アモン殿」
後ろから声をかけてきたのは、仮面を被り黒のローブを身に纏った若い男だ。そのローブに描かれたドクロの紋様から彼はAランク冒険者パーティの『黒衣の魔法団』に所属しているとわかる。
「……クエストが何も残っていないんだ。何か知らないか?」
仮面の下から表情は読み取れないが、しかしきっと俺を嘲笑っているのだろうと態度から分かる。馬鹿にした口調で俺の問いに答える。
「さあ?俺は何もしらないなぁ?でもちょうどいいんじゃないか?落ちぶれたSランクパーティにこなせるクエストはもう無いだろ?」
周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。中には見知った方顔も少なくない。今まで俺に頭を下げて媚を売ってきた連中だっている。
そんな奴らも今は俺を見下し、そして嘲笑っている。きっと冒険者のほとんどで手を組んでいるのだろう。
俺が依頼を受けられないようにクエストを独占しているのだ。そして冒険者ギルドもそのことに目を瞑っている。
相当嫌われたものだ。まさか、ここまでしてくるとは。どうしても俺達をSランクから引きずり下ろしたいらしい。
「……それがお前達のやり方かよ。だったらお前らだけで高難易度のクエストも全部こなしてみせろよ」
クエストの独占は明らかに冒険者の掟破りの行為だ。こんなの許されていいものじゃない。まず、クエストを独占することは新人の冒険者の成長の妨げになる。新人の頃は受注できるクエストが限られている。薬草採取などしか受けることができないのだ。しかしそのような簡単なクエストを独占されていては新人は成長の機会を奪われる。
そして今回標的にされた俺達はSランクパーティ。俺達のクエストまで独占するということはそれはつまりAランク冒険者ごときのレベルで俺達レベルが受けるクエストまでも受けるということ。俺達以外には荷が重いクエストも受けているということだ。そんなの必ず失敗する。クエストは受ければいいってもんじゃない。クエストは達成しなければ意味がないんだ。失敗すればその分被害は広がる。そんなこともこいつらは分かっていないのか。
「随分と舐めた口を叩くもんだな。我々が本気を出せばお前らなんて足元にも及ばないというのに」
「お前らが達成できるクエストは100%我々でも達成できるさ」
黒のローブを纏った数人の冒険者が俺の周りを囲む。『黒衣の魔法団』は冒険者パーティの中でも圧倒的な人数を誇るパーティだ。俺から言わせてみれば人数をかき集めただけの実力不足パーティなのだが。数多の魔法士による畳み掛ける魔法攻撃でモンスターを倒す戦略に頼り、年間で何人もの死傷者を出しているが、いなくなれば補充すればいいという考えなので、人員だけは豊富だ。
団長がクエストに参加することはまずなく、いつも高みの見物。誰も名前も顔も知らない。謎に包まれたパーティなのだ。正直、イケスカナイ。
「……Sランク級のクエストが来たらどうするつもりだ」
Sランク級のクエストは基本的にSランクの冒険者しか受注できない。Sランクの冒険者しか対処できないと認定されたからこそSランクなのだ。
「Sランク級のクエストなんて滅多にない。お前らをSランクから引きずり下ろす方が早いさ」
Sランクとそれ以外では待遇も名声も桁違い。その欲に目が眩んだ連中は、どうしても俺たちの邪魔をしたいみたいだ。
ここで口論していても仕方がないし、クエストがないならここに用もない。背後から聞こえる罵倒の数々を受け流しながら俺はそのままギルドを立ち去ったのだった。
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