パーティー
この世界の公衆浴場は、日本に有る銭湯に近い物だ。
大きめの湯舟が壁寄りに有り、脱衣所の近くにシャワーの様な物がある。
桶は木製で出来ている。
体を洗った俺とコルスは、大きめの湯舟に浸かった。
因みに、中位の湯舟も有るが、そっちは何故か老人達で埋まっていた。
「ふぃ~~、やっぱ風呂は良いよなぁ~」
「何かおっさんみたいなこと言ってるぞ」
「仕方ねえ、これは風呂に入る時に出ちまうんだよ」
あ、何か判る気がする
「そういえば、俺、まだコルスの職業聞いてないぞ」
「あぁ、そういえばまだ言ってなかったな。俺の職業は片手剣士だ」
「レベルは?」
「18だ。ケンはいくつになった?」
「3だ。何個かのスキルがカードに表示されてたな」
「じゃあどれか一つ適当に選んどけよ。」
「後で何か選んどくわ」
「おう、そうしとけ」
「あぁ」
「所でお前はパーティーメンバー集めたりしないのか?」
「パーティーか…………」
「居ないなら家に来るか?」
(確かに厄介になるのもいいかも知れない、だが…………)
「いや、自分のメンバーは自分で探すよ」
「そうか」
「すまん…………」
「いや、謝る必要はねぇ、ちゃんと自分の考えを言ってくれたんだ。考えを持ってる奴に強要はしねえ」
「有り難うな」
「おう、メンバー集まったら紹介してくれよ」
「解った。そうするよ」
「そろそろ上がるか。このままじゃのぼせちまう」
「そうだな」
そう言って俺達は湯舟から上がった。ふと中位の湯舟の方に目をやると、老人達がニヤニヤ顔で壁の近くに集まっていた。
(なんとなくやってる事は想像つくけど……、一応聞いてみるか)
「なぁコルス」
「んぁ?何だ?」
「あそこの老人達は何をやってるんだ?」
「あ~~、あそこの湯舟って、壁と隣接してるだろ?」
「どの湯舟も同じ気がするけど……そうだな」
「で、あの湯舟の壁の向こうは、女湯だ」
「あー、うん、予想道理だ」
「まぁ、そういう訳だ」
(要するにエロ老人達という訳か)
俺達は銭湯(?)を出てからギルドへ向かった。ギルドと銭湯(?)は少し距離がある為、お互いの軽い自己紹介的なことや、他愛も無い話をしていた。
そして、この世界について四つ程分かったことが有る。
一つ、この国の名前は『グーマ王国』
二つ、グーマ王国と対立状態に有る、魔物による独立国家『アージ帝国』
三つ、この街の名前は『ユグラ』
四つ、この国の王都の名前は『ミヨ』
コルスの話では、この街は初心者の街とも呼ばれているらしく、此処に住んでいる冒険者の多くはLv.0~Lv.30程らしい
(いや、レベル30は初心者とは言わない。絶対に)
そんなことを話しつつ、ギルドに着いたのは、日本でいう6時半頃だ。
体感で30分近く歩いた気がする。
「着いたぞ、入って飯食おうぜ。どうせ家の奴らもいるだろ」
「そうか。いつもどこら辺で食べてるんだ?」
「ランダムだな。適当な所にメンバーの誰かが座って、誰か一人が全員の飯を注文するって感じだ」
「そうなのか」
「お、居た居た」
コルスが向いた方に目をやると、其処には、男一人、女二人が固まって座りながら談笑していた
「おーいお前ら、帰ったぞ」
(仕事帰りの親父か?こいつ)
「お、コルス、遅かったな。いつもなら真っ先に席取ってるのに」
「しかも誰か連れてる。どうしたの?その人」
「あぁ、紹介するよ、今日知り合った俺の友人の、ケンだ」
「ケンです。よろしく」
「何?コルス、その人もパーティーに入れるの?」
「コルス……そんなことより、ご飯…………」
「まて、先に皆を紹介させてくれ。と、いう訳で、ケン。こいつらが俺のパーティーメンバーだ。そこの男がケイズ」
「ケイズだ、両手剣士をやってる。よろしくな」
「こちらこそ」
「ンで次に、其処に突っ伏してる奴がミア」
「お腹空いた、早くご飯」
「こいつは口数が少なくてな…………、ミアは魔導士をやってて、攻撃回復どちらも取ってる支援型だ。で、最後のこいつが」
「スピアだよ。よろしくね。いきなりなんだけど、コルスに変な事されてない?」
「え?されてませんけど」
「本っ当にいきなりだな!俺が何かすると思うか!?」
「え?しようとしてきたじゃん」
「あれは誤解だって言ってるだろ!」
「あ、そうそう、私もミアと同じで魔導士やってるの。攻撃特化型だけどね」
「無視かよ!」
「それよりコルス。飯を注文してきてもらおうか。全員いつものカラッと定食で。ケンはどうするよ?」
「俺もそれで」
「オッケー。じゃ、頼んだぞ、コルス」
「ハイハイ、分かりましたよ」
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次回は7月の8日に投稿します