勝負
(初クエストだ、気を引き締めて懸かるぞ)
ケンがギルドの外に出ると、コルスがすぐそばで待っていた
「お、来たな。何のクエストを受けてきたんだ?」
「ディックシャモリの討伐クエストだ」
「お、そっちを受けてきたのか。まぁいい、さっさと平原に行こうぜ」
「あぁ」
こうして俺達は、街を出て平原へ向かった。
平原に出て直ぐにディックシャモリと遭遇した。見た目は軍鶏なのだが…………、何かが違う。何か…………何処かで見たことが有る気がするんだが…………
もう一度良く確認してみると、違いが良く分った。
サングラスをしているのだ。しかも何か動きも機敏で…………鳴き声が日本語で……、日本語!?
「お、おい、コルス」
「ん?どうした」
「ディックシャモリって喋れないんだよな」
「? 当たり前だろ?そんなことよりさっさと狩ろうぜ!」
「お、おう…………」
(この声とこの喋り方、世にも〇〇な物語が始まるよ!シャモさんだよ!これ、あのシャモさん!)
「ん?おい、ケン、そんなとこで固まってると俺が全部狩っちまうぞ」
「え?あぁ、悪い、少しボーっとしてた」
「おいおい、随分余裕だなぁ。なら俺と勝負しようぜ!どっちが多くシャモリを狩ったか後で確認だ!今昼頃だからな、街の方から遅鐘が4回鳴った音がしたら終了だ」
「解った。だけど、俺は初心者だから、少しは手加減してくれよな」
「おっと、それは無理だな。俺のモットーは『勝負は《・》正々堂々と』だからな‼」
(『勝負は』何だな…………)
「まあ、そういう事なら仕方ないな。こっちもやれるだけやるさ」
「そうだその意気だ‼良し!行くぞ!スタートだ!」
こうして、俺とコルスの死闘が始まった
ある時は嘴で突かれ、又ある時は踏み倒され。
一時はこいつが本当に倒せるのかどうかも怪しかったが、戦いが始まってから凡そ1時間半。ようやく一体の討伐に成功した。
普通はそんなにてこずらないかもしれない。だが、初心者にとっては、格好良く決めようと思っていても無理だ。
いや、だってこいつ予想以上にすばしっこくて攻撃性高くて、逃げられるは突かれるはで散々だからな。
それからも俺達の死闘は続いた…………
気付けば、コルスの言っていた4回の遅鐘が鳴った。
「良し、それじゃあお互いの討伐数を確認するぞ。ギルドカードを出してくれ」
「解った」
コルスとケンはお互いにカードを出し合い、シャモリの討伐数を確認した。
ケンが手に取ったコルスのカードには物凄い数字が書かれていた
『ディックシャモリ 討伐数 4』
(4?…………?間違いじゃないのか?こいつは結構頑張っていた気がするんだが…………)
頭を使ってコルスの活躍を思い出してみる
嘴で激しく突かれていたことしか覚えてない…………
(あいつ、まさか弱い!?)
「おー、お前凄いな。初心者で7体も討伐したなんて。やるなぁ~」
(人の事言える数字じゃねぇーーー!!)
「さ、戻って風呂入って飯食おうぜ!めしはギルドでいいか?多分だけど家の面子もそろってるだろうしな」
「あぁ」
「よぉっし!早速戻るぞ!」
こうして、俺の初クエストは幕を閉じた
因みに、今回の報酬は11体で2750ガウだった。二人でやった為、コルスとの話合いの結果、お互いの討伐数分の報酬を分けることになった。
俺は1750ガウ
コルスは1000ガウの振り分けになった。
「おし、報酬も振り分けた事だし、風呂行くか」
「おう!」
今日のクエストでコルスとの絆が少し深まった気がした
上にあった『世にも〇〇な物語』は『世にも奇〇な物語』とは一切関係ありません
次回の更新は6月24です。