クエスト
さて、冒険者に成って、この世界での生活の第一歩を踏み出した訳だが、残りの所持金は2000ガウ。装備を整えるのには確実に10000以上は掛かる筈だ。さっき聞いたけどギルドで借りる事は出来ないみたいだし…………
「どうするかなぁ…………」
「お、何か困ってんのか?新人」
不意に後ろから声を掛けられた
「あんたは?」
「あぁすまねえな。俺の名前はコルスだ。この街では名の知れた冒険者だ」
「その名の知れてる理由、大方悪い意味で、だろ」
「んなわけねえよ」
「んで、その名の知れた冒険者様が何の用だ?」
「お前、装備に悩んでんだろ?」
「あぁ」
「だったらいい店知ってんぜ。安い上に使いやすいときた。どうだ?」
「分かった。教えてくれ」
「おう!じゃあ俺について来な」
「あぁ」
俺はコルスに連れられてギルドを出て、店へ向かった。
「そういや、お前の名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
「トクラ・ケンだ」
「そうか、なんて呼べば良い?」
「普通にケンで良い」
「そうか。そういや職業は何だ?」
「盗賊だ。自分で言うのも何だが、俊敏性は高い、つもりだ」
「つもりかよ……。でもそうか、盗賊か…。確か弓とかのスキルもあった気がするな。ま、もうすぐ着くし、そこで見て決めろ」
「あぁ、そうするよ」
コルスと話しながら店に向かっていると、急に立ち止まった。どうやら着いたようだ。
「ここだ。とりあえず入るぞ」
「おう」
扉を開けて中に入ると、様々な武器防具が陳列されていた。
弓・大剣・片手剣・細剣・短刀・鎧・兜
(ウーム、手持ちは2000ガウ。それで買えて、尚且つ殺傷能力が高い奴が良いな。どれが安いかは見てみないと判らない。取敢えずは店内を見て回るか。コルスは……店長と話してるみたいだな)
俺は弓から順に回って見ていった。武器の中で一番安かったのは短刀だ。俺には関係ないが、一番高かったのは両手剣だった。
一番安い短刀は、銅の短刀(鞘無し500ガウ)だが。見た感じ切れ味が物凄く悪そうだ。次は……鉄の短刀(さや付き1000ガウ)か……。二刀買った場合は2000ガウ。つまり手持ちは0に成る訳だ。
(何をするにしても金が要る。それはどの世界でも共通だ。今日宿に泊まるならさっさと買って何かしらのクエストをこなすのが一番だ。何かクエストを受けるにしても、成功率は高いほうが良い。なら、買うのは決まった)
ケンは鉄の短刀を取りカウンターへ向かった。
「お、ケン。決まったのか」
「あぁ。この2つ下さい」
「あいよ。2つで2000ガウだ」
「はい、2000ガウ丁度。それじゃ」
「おっちゃん、また来るわ」
「はいよ~」
店を出てから俺は貰った短刀を身に着け、コルスと共にギルドへ向かった。
「ケン、どうすんだ、これから」
「こいつの慣らしがてら、何かしらのクエストを受けようと思ってる」
「そうか。だったら討伐クエストはどうだ?」
「討伐クエスト?」
「あぁ。ソルジャーカウとか、ディックシャモリとか色々だ。奴らは喋れなくても知性がある分厄介だ。しかも畑は荒らす家を壊す、やりたい放題だ」
「成程な。その討伐クエストが有ったら受けるか」
「なら俺も着いてくぜ。今日はパーティーメンバー全員自由にやってるしな」
「悪いな、コルス」
「いや良いって」
「ギルドに着いたな。早速クエスト受けてくる」
「おう。俺はここで待ってるぜ」
「悪いな。すぐ戻ってくる」
そう言ってケンはギルドへ入った行った。
(受けるクエストは決めてるが、有るかどうか…………)
そんなことを考えつつ掲示板に来た
(良し。有った)
「すみません。このディックシャモリの討伐クエスト受けます」
「畏まりました。クエスト終了後の報告は、ディックシャモリを此方に運んでいただければ、それに応じた額のクエスト報酬をお渡しします。」
「解りました」
「それでは、健闘を祈ります」
(初クエストだ。気を引き締め懸かるぞ)
次回は6月17に投稿します。
(短くなってすみません)