2.妻と娘
マコちゃんが小一で私が小三の時に、マコちゃんは家の隣に引っ越してきた。
うちの方面に近い年頃の子はいなかったから集団登校はマコちゃんと二人きりで、帰りもよく一緒に帰っていたらいつの間にやら好きになっていた。
小中高と同じ学校に通い、中学高校では一年づつ一緒に通った。
マコちゃんが私と同じ大学に入ってすぐ付き合い始めて、私が三年の時に同棲&婚約。
マコちゃんの小説も受賞してヒット!
卒業してすぐに結婚!!
結婚して妊娠、出産。
産まれてきた我が子はかわいい双子。
双子は、男の子と女の子で、名前は龍一と結衣。
二人とも一年すくすくと育ってきた。
夫のマコちゃんの小説の売れ行きも順調で、子供も元気に育ってる。
義両親との仲も超良好。
順風満帆で仲のいい理想的な夫婦だと自分でも思う。
だけど、私―――恵美にはマコちゃんに言い出せていないことがある。
それは―――、娘が私だっていうことだ。
◆
私は娘で、娘は私なのだ。
きっと、マコちゃんだったら小説家だし、いい感じに伝えられるんだろうけど、私の表現力じゃそうとしか言えない。
子供たちが生まれてもう一年が経ったけど、やっぱりマコちゃんに言い出せてない。
マコちゃんにおしめ代えて貰ったなんてことは消し去りたい記憶だ……。
赤ちゃんの体があそこまでウンチを我慢できないとは思わなかった。
あれからは結衣の方のおしめは全部自分で代えてる。
それだけじゃない。
これまで年上のおねーさんとしてマコちゃんをリードしてきたのだ。
デレデレするマコちゃんが見たくて「パパ―!」って言ってることを知られたら、私が築き上げてきたおねーさんのイメージが崩れてしまう。
マコちゃんはおねーさんな私を好きになってくれたのだ、
ばれたら嫌われちゃうかもしれない。
それに、私はクールビューティーなママを目指している。
リューちゃんの初恋をママにする!
うちの天才で天使なリューちゃんを振り向かせるのだ!
◆
うちのリューちゃんは天才で、何をし始めるのも早いのだ。
立つ、歩く、喋る……。
なんにしても聞いていたよりも早くマスターしちゃうのだ!
それに、私を見て真似しているのかわからないけど、ご飯を食べるのがすごく上手なのだ!
こぼしたり、口の周りを汚さず、キレイに食べる。
まさに天才!!!!
それに、私がちょっと疲れてるときに肩をトントンって叩いてくれるのだ。
かわいい!!!
まさに天使!!
って、そろそろお昼だから準備しないと。
待っててねリューちゃん!
今おいしい離乳食つくるからね!
マコちゃんにはお茶飲んで待っててもらおう。
あ…マコちゃんまた結衣見て仕事してないな。
ここはリップサービスしとかなきゃ。
「パパ、おしごとがんばってね!」
さて、料理頑張るぞ!
次回は公園デビュー。
お楽しみに!