1.夫と息子
出会ってから十七年。
結婚して三年。
子供が生まれて一年。子供は二卵性双生児の双子で、息子と娘だ。
幸せで順風満帆な僕ら夫婦だが、僕―――誠には妻に言い出せないことがある。
それは―――、息子が僕だっていうことだ。
◆
僕の息子には僕の意識がある。
二人とも僕なのだ。
ドッペルゲンガーのように独立しているわけではない。
互いの得ている情報と記憶は完全に共有されている状態で、某練り物忍者漫画の六道とほぼ同じだ。
僕の目を塞いでいても、息子の目のも塞いでいなければ見ることができるということだ。
息子と娘が産まれて早一年。
やっぱり妻にはこんなこと言い出せていない。
何より恥ずかしい。
二個上の姐さん女房で、基本的に僕は尻に敷かれているのに、必死になって赤ちゃんの真似をして、おっぱいを飲んでいたなんてことが知られたらどうからかわれるかわからない。
ばれてしまったら、将来大きくなった娘に失望されるかもしれない。
僕はカッコいいパパになりたいのだ。
どれだけ他の事でかっこよくても台無しだ。
並大抵の事じゃあ拭いきれない汚点になってしまう。
カッコいいパパなんて夢のまた夢になってしまう。
赤ちゃんプレイもなかなか悪くn…ゲフンゲフン…。いや、そんなことはいいのだ。
そんなことよりもうちの娘の天使っぷりがすごいのだ。
息子の龍一は僕の意識が入っているからわかるが、うちの娘の結衣は天才なのだ!
天才で天使なのだ!
五か月で二単語以上喋るようになり、
六か月でつかまり立ちをし、
八か月で独り歩きをするようになったのだ!
まさに天才!
「こっちだよー」と呼ぶと、走ってきて、「パパ~!」と言いながらにへらーっと笑う様子
まさに天使!!!
一応、龍一の方も結衣に合わせてしゃべりだしたり、歩き始めたりするようにしているが、我が家の天使とは比べ物にならない。
◆
僕は小説家という仕事柄、一日中家にいる。
自宅労働最高!!!
天使に目がいって仕事が進まないが、最高!
締め切りなんて知ったことか!
僕は娘のコトをブログに書くので忙しいんだ!
写真も動画も載せない。
娘に一目ぼれをする不届き者がいつ現れるともわからないのだ。
なに、問題ない。
僕の本職は小説家。
文章だけ娘の天使さを表現するのだ!
表現しきれてはいないが1%でも娘の天使具合が伝わればそれでいい。
彼氏なんてつくらせるものか!
龍一で妨害してやる!
I LOVE YUI!
お!天使がやってきたぞ!
「パパ、おしごとがんばってね!」
ぐはぁっ、なんという破壊力!
「はいっ!パパお仕事頑張っちゃうぞー!」
もう一人の天使(妻の恵美)がお茶を入れてくれたし、それ飲んだら気合を入れて仕事するぞ!
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
不定期更新です。
一話1000字以上を目標に頑張ります。
よろしくお願いします。