対TARGETの学校
ガチャッ
寮の部屋から制服姿の青年が出てきた。
彼の名前は渡部 龍。運動も普通、学習能力も普通。恐ろしいくらい中の中に位置する人間だ。
「学校行けたのはいいけどやっぱり勉強めんど。」
毎日これを言っている。努力は嫌いでめんどくさがり屋なのである。
彼が通っている学校は高校生、大学生、大人と連立された学校である。
国立新防衛学校
TARGETの襲撃事件があった後、政府が運営している対TARGET専門学校だ。この学校では寮や食事など様々なものが優待で無料である。故に通っている人も多い。
基本的には男性は戦闘専門、女性は通信連絡や救護専門で学科をとっている。が全てが全てでないので、渡部は情報学科をとっている。運動の方が苦手なんだとか。
彼が教室に入ると1人の女の子が声をかけてくる。
「おはよう!渡部君!んーなんかいつも通りだね!」
綺麗な茶髪のロングヘアで教室の中でもダントツ人気で可愛い。名前は加藤 月夜
「おはよう、、、」そして渡部は返事を返すと机に身体の上半身を伏せ寝ようとしたが、机を叩かれ
「もう!しっかりしなさい!」と怒られた。
「ビックリするからやめてくれよ!」
傍から見ればリア充爆発しろ!とでも言いたいとこだが彼らは幼馴染であって付き合ってはいない。
気がお互いにあるのかは、、、分からない。
チャイムがなると先生が入ってきた。彼女は山吹先生。現在、教師とTARGETについての研究を兼任している。思慮分別があり、声も低い方で怒ると怖いが天然のとこもあり、生徒からは人気が高い。
「今日は新しい情報が入ったから解説するぞ。」
情報学科のこの教室は一気にざわつき始める。
情報学科ではTARGEについての知識を高め、まだ解析されていないTARGETのことを考察したり、研究したりと戦闘専門の人達に役立てることを旨としている。
ここでは教科書などはなく、連絡、授業も全て携帯端末で行われる。
山吹先生が皆の端末にメールを一斉送信した。
内容は[TARGET1名の排除]についてだった。
そして
「見ての通り昨日の夜にTARGETを殺害に成功した。死体が運ばれて来るから、今日はそいつを解剖して、機械を主に研究するぞ。それまで今からTARGETについて復習するぞ。」
月夜が話かけてきた。
「TARGETって人外扱いされてるよね・・・ちょっと悲しいなぁ」
「まあ、そうだな。お前はTARGETと争わない将来を夢にこの学校に来たもんな。」
「うん、、、元々は普通の人だったのに人呼ばわりされないのが悲しいていうか・・・」
「先生がなんか喋ってるぞ。」
「あぁ!ごめんね!」小さい声で謝ってきた。
その気持ちも分からんでもない。が俺の姉貴は襲撃によって死んでしまった。争いがなくなるのは難しいだろう。
山吹先生は説明し始める。
「TARGETには三種に分類できる。
一つ目は火星型ウイルス
二つ目は月型ウイルス
三つ目は両方だ。
それじゃあ、坂下、火星型と月型の違いはなんだ?」
そうすると赤髪で背の低い少女が起立し、
「火星型は動物との融合により人類が融合した動物の能力を使うことが出来ます。
月型は機械との融合により融合した機械の能力を使うことが出来ます。」
言い終えると坂下は着席した。
俺は心の中で(その通りだな)と思いボーと携帯端末を眺めていた。
山吹先生は
「ま、大体は正解だ。補足しておくと火星型ウイルスに発症したかは直ぐには分かりづらいが、月型ウイルスは直ぐに分かるぞ。」
(まあ、身体が半分機械になるんだからなぁ)
また携帯端末を眺めながら俺は思う。
「更に言うと、月型ウイルスに感染したものは全員が銃や刃を機械の部分で創り出すことができる。
例えば、そうだな、私が昔、情報伝達したTARGETは、、、、、、、、」
((((((忘れたのかよ!))))))
生徒全員が思う。
山吹先生はわざとらしく咳払いすると
「そうだな、冷蔵庫だ!仮にそのTARGETが冷蔵庫と融合したならばメインステータスで身体の機械の1部を変形させて食べ物を冷やすことができるぞ!
そしてサブステータスでアサルトライフルやグレネードランチャーにも機械の部分が変形し、攻撃してくる!」
さっきの説明で昔のTARGETのことを忘れたことが恥ずかしかったのか少し赤面している。そうゆうとこが人気なんだな。目を閉じバレないように寝ようとしたが隣の席の月夜にデコピンされ願いは叶わなかった。
「TARGETには分からんことだらけだ。今まで発見されたTARGETは日本には存在しないものと融合していた奴も発見されている。感染経路も分からないし、予防の仕方もワクチンも分からない。攻撃してくる実弾はどうやって生成されるのかも不明だ。」
と、1通のメールが届く、どうやら先日のTARGETが運びこまれたらしい。
「よし、皆準備して研究所に移動だ。」
そうして皆が研究所に向かう。
「何か分かるといいね。」
嬉しそうな悲しそうな複雑な心境しているように月夜が呟く。
「あぁ、そうだな。」
俺は背伸びをした。そして研究所へ向かった。