届かない距離
あれからかなりの時間が過ぎた。
様々な街や村を巡り、集められるだけの情報を集め、なんとかレギウスに追いつこうとしたが、手がかりは全くなかった。
「もー、どこ行っちゃったんだろー?」
面倒臭げに言ったのはハズミである。
休憩として崖の上で血液パックを吸っている。
この三人は実の姉妹ではなく、ヒズミがメドゥーサ、その他二人が吸血鬼の血を引いている。
崖の淵で足をブラブラと揺らしながら眠そうにあくびをする。
夜行性なのを三人とも無理矢理矯正し、朝に起きているのだから、それも無理はない。
「そもそもお姉様はどうしてレギウスを捜すの?確かにいい奴だったけど・・・。」
この二人もレギウスにあったことがある。
「そうね、同意するわ。お姉様はどうしてそこまでこだわるの?本人が復讐を望んで、約束を果たしたいと言うのなら、お姉様のことだから何もしないかと思っていたのだけど。」
もっともなウズミの意見にその辺で調達した動物の生肉を千切りながら食べていたヒズミが、食べるのをやめて少し考える。
「よく、わからない・・・」
「なんとなく?」
「・・・うん、そう。多分、そう。」
一人で納得してまたもちゃもちゃと食べ始めるヒズミに、ウズミが言う。
「でも、そのなんとなくにも根拠はあるのかしら?」
食べ続けるヒズミは、はむ、と噛み付き、そのまま硬直。考えがまとまったのか、口を離すと、言う。
「別れるときに、目的を告げたレギウスの目が、悲しそうに見えたからかもしれない。
もしなにかあって私たちからも逃げているなら、とっ捕まえて全部白状させてやりたいから・・・じゃ、ダメ?」
「へぇー?仲間思いですねぇー?」
「うっさい、ハズミ。」
「へいへい。」