設定集『この世界の技能の概略』
この世界の技能の概略を載せました。
誰得って感じですが、興味のある方だけどうぞ。
それと本題ですが、32.5話を挟み込みました。ゼノミオ側のお話となっております。
過去の話を後から割りこませるのは、よろしくないとは思っているんですが、時間とお金が足りず……。弁解は罪悪ですか、そうですか。
というわけで、興味がある人だけでも読んでもらえると嬉しいです。
●闘気法
……いわゆる武術。自らの気力を練りこむことで、通常では考えられない力を発揮することが出来る。
呼吸法や体構えが基本であり、そこから肉体の効率的な動かし方、多種多様な技へと発展していく。
騎士の剣術と、傭兵・冒険者の剣術は、術理が全く異なるように思えるが、その根本には、闘気法の考え方がある。
騎士は騎士団で闘気法を学び、冒険者は引退した冒険者の道場などで学ぶ。
●追跡術
……狩人が獲物を追うための諸々の技術から発展した技能。僅かな痕跡を調べることで、さまざまな情報を引き出すことができる。また、身を隠したり、罠を仕掛けたりなどもできる。
総じて斥候としての技能といえる。
冒険者ギルドは、この技能を重視しており、発展に余念がない。
冒険者ギルドに対価を払えば誰でも基本的なことは学ぶことが出来る。それ以上の応用技能は、引退した冒険者の道場にて学ぶことが出来るだろう。
学ぶための間口は広いが、『追跡者』の称号を名乗るには、並々ならぬ修練が必要である。
●魔術
……マナを励起させ、魔法陣を描くことによって様々なことが出来るようになる。手順が多いが、単純な力と、多様性は髄一。
発動までに時間がかかることが弱点である。
なお、エネルギーを生み出すことはできるが、水などの物体を生み出すことは出来ない。
魔術を学ぶには私塾に通うか、師匠について学ぶのが一般的。それ以上の専門的な内容を学ぶには大学に行かねばならない。
しかし、そもそも魔力振動を感じ取れる感覚がなければ、魔力を生み出せないため、一定の資質が必要である。
『魔術師』を名乗るには、魔力文字の理解が不可欠だが、魔法陣の丸暗記でも魔術は発動するため、一般人でも、簡単な《点火》などの魔術を使えるものは多い。
●死霊術
……魂を操り、屍体を動かす忌むべき魔術。
死霊術は魔術と同じ機序で発生するため、魔術と同じ弱点を持つ。
教会により禁忌の術とされたため、公式に学ぶことは不可能である。
どうしても学びたければ、教会の権威が及びにくい辺境にて、細々と口伝されている術を学ぶか、死霊術師の書いた魔術書を見つけることくらいしかないだろう。
つまり、もはや死霊術は、失われた技能なのだ。
現実では、ほぼ絶滅した死霊術師であるが、物語ではむしろ人気を誇っている。悪役を示す記号として、おどろおどろしさを表す舞台装置として、死霊術師はよく用いられている。
●精霊使役術
……精霊と交感し、契約を結んだ上で行使する。術者はあくまで魔力を渡すだけで、行使は精霊が行う。
そのため、交感力が高ければ、複雑なことを行わせることも出来る。
弱点としては、契約を結ぶのに数週間はかかること。どれほど優秀な精霊使いでも数体としか契約できないこと。そして、交感できる精霊の方向性が決まっていることが挙げられる。
例えば、『森』の精霊使いならば、『森』に関わる精霊としか交感することが出来ない。
『魔術は学ぶもの、精霊は感じるもの』という言葉が示すように、精霊と交感するのは、天性の資質が必要である。
努力よりも才能がモノを言う技能である。そのため、『精霊使い』は極端に数が少なく、またその能力も千差万別である。
●奇跡
……聖句を唱えることで、神の奇跡を代行する技能。味方の力を増したり、創傷を治す技能がある。
信仰によって奇跡が起こるのだと言われているが、その行使に魔力が関連しているのは間違いないようである。
深い信仰さえあれば、誰でも奇跡を扱えると教会は言っているが、実際には、司祭以上の位階の僧侶しか扱うことは出来ない。
僧侶としての長年の修行があってこそ、使える技能だと言えるだろう。
●(竜)呪術
……偉大なる者の所業を追体験する通過儀礼を経ることによって、その偉大なる者の力を行使できると言われている。
北方の蛮族が使うものであるため、詳細は不明。
ミノシア王国においては、おとぎ話のように語られるのみである。
●錬金術
……この世界における化学・薬学。魔術的な触媒や薬、魔道具などを生産する。
魔術的な生産過程も用いるため、錬金術士はほとんどが魔術師でもある。
錬金術を学ぶには、その科目のある大学に行くしか方法がない。広範な博物学的知識に、魔術的技能が錬金術を修めるには必須であるうえ、大学に通う多額の費用と時間も必要である。
間口が狭く、習得するのも難しい錬金術を使えるものは、エリートとして一目置かれる。錬金術師が作る魔法薬や魔道具、触媒などは引く手あまたであり、食うに困ることはない。
物語中のイレーネ・シャーリリオのように冒険者をしている錬金術師は、稀有な例である。
●治療術
……現代における医者。しかしながら、この時代の治療術は民間療法的なものであり、決して質の良いものではない。
薬草を煎じて飲ませたり、経典の聖句を刻んだ札に念を込めて渡したり、瀉血や按摩などを行うのが一般的である。
治療術を学ぶには、治療師に師事するのが一般的である。
しかしながら、治療師を名乗るのに何か資格がいるわけでもないので、それっぽい格好をして治療師の看板を掲げれば、その日から治療師になることもできる。
僧侶の奇跡があるのに、治療師という職業が存在しているのは、ひとえに多額の喜捨を教会が求めるからである。
お金のない貧乏人や、ちょっと調子が悪いが、僧侶に診てもらうほどではない人々が、病気の予防として気血を整えるために、治療師を頼ることが多いのだ。




