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1枚目…浅井勇樹と川原葵の日常はとても甘い

「…眠い」


ある晴れた日の休日。俺は思った以上に早くが覚めてしまった。今日は学校は休み、となればもう少し布団の中で惰眠をむさぼろうと思った。…だがそれを許さないやつが一人居た。そいつは突然やって来て俺の部屋の扉をノックする


「…起きてる?」


「…今日は窓からは入ってこないのな。起きてはいるが…」


「…まだ布団の中?」


「あぁ」


「…早起きは気持ち良いから、早く起きよ?」


ドア越しに話しかけてきたのは葵だ。…こんな朝早くから俺の家に来るのはこいつしかいないが


「…お邪魔します」


「よそよそしいな。そしてすんなり入ってきたな」


「…なんか、入って良さそうな感じだったから」


「駄目じゃないが、一応俺も寝起きだからな…ふぁぁ」


葵が中に入ってきたのでとりあえず布団から出て欠伸をする。記憶をなくした葵はこうして休みの日は俺と過ごすことが多いのだ


「…で?今日はどうしたんだ、こんな朝早くに…」


「うんとね?…今日は、甘いところに連れてって欲しいなって思って」


「…甘いところ?」


葵はどこかの場所を言ってるのだろうが、いまいち伝わらない。…甘いところ、ね…




「…パン屋さん?」


「ああ、ここなら甘いものはたくさんあるはずだからな」


俺がつれてきたのは隣町にあるパン屋だった。ここは菓子パンがおいしいと好評で、それに焼きたてであることも◎…と真実から聞いた


「…ほのかに、だけど…甘い匂いがするね?」


「そりゃ、菓子パンが評判だからな」


葵は少し落ち着きを欠いているように見えた。…葵は普段はあまり食にはこだわりはなかった筈だが、さすが女子か


「…すいません」


「はーい。…あらぁ、新顔さんかしらぁ?」


「…綺麗なお姉さん…」


店に入ると美しい女性が出迎えてくれた。…非常におっとり、フワッとした人だ。豊満な胸に付けられた名札には『あかり』と書いてあった


「初めまして~、十常寺 あかり(じゅうじょうじ あかり)って言います。今日は何を求めて来たんですか~?」


「えーと…おすすめ何かありませんか?」


「うーん…じゃあ…ちょっと待ってね~」


そう言い店員さんは店の奥に入っていった。…あれ、店に出てるパンを勧めないのか?


「…お待たせ~、揚げドーナツでーす」


「…ふわぁ…」


店員さんが持ってきたドーナツに葵は目を奪われていた。…チョコで軽くコーティングされた揚げドーナツだった


「今回は仲が良いカップルさんだから特別に半額にしちゃうよ~?」


「はい?…良いんですか?」


「えへ…カップル…カップルだって」


「…」


カップルと言う言葉に思わず顔が熱くなった。…そういや、そうだった。…俺はそれを悟られるのが嫌でドーナツを受けとると足早に店を後にした




「…ほら」


「…綺麗なドーナツだね?美味しそう」


俺と葵は家についてとりあえずドーナツを食べることにした。皿に置き一つ渡す。改めてみても確かに形が整った、美味しそうなドーナツだ。葵がまずそれを口に運ぶ


「…どうだ?」


「甘い、美味しいよ」


「…そうか、それはよかった」


その言葉を聞いて安心した俺も口に運ぶ。そうしていると葵は不意に俺の隣にくっついてきた。…さまざまな甘い匂いが鼻をくすぐる


「…な、なんだ?」


「…こうした方が、甘くておいしくなるの」


「…へ、へぇ…」


「…えへ、幸せ、だよ?」


「…っ」


…浅井勇樹と川原葵の休日は、とても甘く過ぎ去っていく…

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