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EX.平和って素晴らしい

 こちらはSUN値回復用、試験的EXとなります。本編、現実の諸々の団体やら人物やら地域とは一切合財なんの関係もございません。ご注意ください。


 いざExやろうと思ったら、まだ本編で明かしてない部分が多すぎて下手に人を出せない事実に気付いて慄いた今日この頃。

 EXの設定的には、本編の能力的な何かを受け継いでいるものの、本当にただの平和な世界で生きる義嗣達のお話です。尚、試験的なので特に要望なければ続きません!(クワッ

 ちなみにEXも書く場合、大体2~3日に1回の更新が3~4日に1回の更新になるとお考えください。

「なんか凄い悲惨な目にあった夢を見たけど、全部夢だったんだぜ!」

「うにゅー……おはよー……朝から何を言ってるのつぐにゃん」

「なんでも無いよ嗣深」

 布団から這い出たと思ったら、いきなりハイテンションに叫んで謎のポーズをとった義嗣を見て未だ布団の中で布団虫と化している嗣深が首を傾げるが、義嗣は少しニヒルに笑ってサムズアップをした。

 いい加減、朝起きたら嗣深が自分の布団にもぐりこんできていることなどどうでも良い。そう言わんばかりに義嗣は布団の誘惑に負けずに台所へと向おうとして、布団から伸びてきた手によって足首を掴まれて動きを止めた。

 朝で、誰がやっているのかがわかっているから良いが、夜中にやられたら多分義嗣は驚いて叫んでいただろう。

「つぐにゃんだっこー……」

「自分で起きてきなさい。あと、人の足首を掴むんじゃありません。危ないでしょ」

「やー……だっこー……」

 完全に甘えきった嗣深の態度に「おのれ若干可愛いではないか」などと唸りながら、義嗣は布団から嗣深を引きずり出して、寒いと文句を言われるのを尻目に背負って部屋を出た。



「おはよう、義嗣くん。もう粗方準備終わってるよ」

「おおう……流石は早苗さん。早い。仕事が速いよ。まだ六時だよ?」

「お姉ちゃんだからね」

「たかだか数ヶ月なのに!」

「それでもお姉ちゃんはお姉ちゃんだもの」

 えっへん、と胸を張る早苗さんを見て、虎次郎くんがいたら「眼福や」とか言い出しそうだな、と考えたところで、義嗣は首を振った。

(いけない、あのダメな友人に軽く影響され始めているな、僕)

 気を取り直して嗣深と一緒に洗面所へと行って来ることを告げると、早苗は「嗣深ちゃんは相変わらず朝は小さい子みたいだね」と笑う。そんな早苗に、「普段から嗣深はただの元気なちびっ子だと思う」と返して洗面所へと入り、真っ白な下着姿のガイアにバッタリと出くわした。

「おっ、よう。おはようさん義嗣!」

「お、おおおおおはよう。ご、ごめんね。着替え中だったのね。今出るから」

「お? あぁ良いって良いって。俺と義嗣の仲じゃねえか! 今更気にしねえよ!」

「いいえ気にしてください。僕男の子、ガイアさん女の子、オーケー?」

「義嗣は男には見えないからセーフだろ」

「そんなセーフはもらいとうなかった……!!」

 軽く泣きそうになる義嗣を余所に、義嗣の背中に乗っていた嗣深はズルズルと義嗣の背中から降り始めて床に足をつけると、ふらふらしながらガイアに抱きつく。

「ガイアちゃーん、おはよおー……」

「おうおう、嗣深おはようさん! おー、あったけえなー、お前は相変わらず! 人間カイロだな!」

 真っ白な下着姿の短髪で健康的な日焼けをした美少女と、それに抱きつく少女というより幼女と呼んだほうが合っているような、パジャマ姿の長い髪の女の子。人によっては色々いけない倒錯に陥りそうな光景を見ながらも、義嗣は部屋の隅で体育座りをしてイジけていた。

 割といつも通りの光景である。

「ガイアっちが入浴準備中と聴いて!」

 そして、そんな若干謎な光景が繰り広げられる洗面所の扉が勢い良く開いて無粋な闖入者が現れる。

 糸目メガネ、あるいは“早すぎた性の目覚め”なる異名を持つスポーツ少年(但しオープンスケベ)こと桜庭虎次郎であった。

「虎次郎はダメだ!!」

「そげぶっ!!」

 無論、その存在が認識された瞬間、まるでダンスでもしているかの如く嗣深をやんわり引き剥がしながら乱入してきた虎次郎バカの目の前へと瞬時に移動したガイアは、腰を落として世界を狙えそうな綺麗な右ストレート(狙いはみぞおち)を持ってそのバカを洗面所からたたき出してドアを閉める。

「今朝は白やな!」

「バカだ。バカがいる」

「いやー、おもしれえな。みぞおちに喰らったのに、なんでアイツはあんな元気なんだろうな」

 ドアの外から聴こえるバカの歓声にガイアが笑いながら言う。

 着替え中と知っていて乱入してくるような異性に対する態度としてはあまりにも好意的というか、あまりにもあっさりしているが、だからこそ虎次郎くんは堂々と覗きに来るのではなかろうか、と内心呆れる義嗣である。

 なんだかバカらしくなったので嗣深の手を引いて洗面台の前へと行くと、歯ブラシを出してあげて、一緒に歯磨きを開始する。後ろでなにやら衣擦れのような音がするけれど、気にしてはいけないし、音の発生源の女子も気にしていないので見なければ良いのだ、と義嗣は色々と達観した顔で「よっしゃ朝風呂だー!」と叫ぶ残念美少女2号のことを努めて無視する。

「早苗っちー、今日の朝は何やー」

「甘い卵焼きと、鮭の塩焼き、あとほうれんそうのおひたしにじゃがいものお味噌汁だよ、虎次郎くん」

「ヒャッハー! こいつぁ待ちきれないで! つまみ食いしてええか!」

「もー、ダメだよ。皆が揃うまで待ってね?」

 台所のほうから、無駄にテンションの高い虎次郎と、朗らかに笑う早苗の声が聴こえてくる。

 ひょんなことから増えた二人の居候と、毎朝ご飯をたかりにやってくる親友の元気な姿は、本当に心落ち着くいつもの風景だ。

 あぁ、今日も実に平和である。

 義嗣はどこか感慨深げにそう思うのであった。

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