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▼26(偽).幸せな日々

 ※皆が神生会に入った場合に至った結末バッドエンドです。ちょっとだけ残酷な描写が入ります。この作品では今後このような描写がより深刻な物になって出てくる場合がございますので、その耐性があるかのチェック的なお話です。耐性が無いという自覚がある方はこのお話は飛ばしてください。


 以降も残酷な描写がある場合は前書きに書きますので「ほんわかしてるところだけ見たい」という方は飛ばしていただけると幸いです。




「みんな! おはよー!」

「おっ、よう! おはよう佐藤!」

「うぃーっす! 佐藤、今日も元気だな!」

「やっほー! つぐみんだよー!」

「おはよー嗣深ちゃん! 今日も可愛いねー!」

 春休み明け、僕達はいつも通り、クラスの皆と和気藹々楽しく過ごしていた。

「おはよう義嗣くん。あ、お弁当作ってきたんだ。お昼は一緒に食べようね?」

「あはは、早苗さんのお弁当美味しいからね。今日も楽しみにしてたよ! あ、僕も作ってきたから、二人でわけっこしようね!」

「はいはいはーい! つぐみんも混ざりたいのです!」

「おいおい嗣深! 恋路の邪魔すると馬に蹴られるらしいぞ!」

「むむむ! それは怖いね! 仕方ない。今日はつぐにゃんを譲ってあげるよ! でも、第二第三のわたしがつぐにゃんを奪い去っていくことをにゃー! ガイアちゃんひっぱらないでー!」

「まったくもう、嗣深は空気読まないんだから」

「うふふ、でもそこが可愛いんじゃない?」

「まぁね」

 とても楽しい学校生活。

 これ以上望むべくも無い楽しい楽しい学校生活。

「そういえば、義嗣くんと嗣深ちゃん、昇格したんだって? 早いよね。入ってまた二週間ちょっとでしょ?」

「ふふん。これも神様の思し召しというやつだよ、早苗さん」

「良いなぁ。でも、忠嗣様が神様と結ばれたんだもん。それも当然だよね」

「うんうん。自慢のお父さんだからね。神様に見初められるのも当たり前だよ! まぁお陰でもう会えなくなっちゃったのは寂しいけど、でもお父さんが幸せならそれが一番だもんね!」

「義嗣くん。忠嗣様はもうお父さんじゃないでしょ? 神格になったから、様付けしないと。不敬罪で捕まっちゃうよ?」

「おっとっと、そうだった。いけないいけない」

 お父さんとはもう会えないけれど、団地に移り住んだお陰で毎日色んな人と共同生活をしているお陰で寂しくなんて無い。それに団地ではご奉公に上がっている子達も一杯いるし、寂しがっている暇があったら僕や嗣深も早く神様のためにもっともっとご奉公できるようにならないとね。

 そういえば僕達が住んでいたあの家は潰してゲームセンターにするらしい。とても楽しみだ。僕も三階級上がれば無料でそういう施設を利用できるようになるし、そうなったら早苗さんを誘ってそこでデートしてみるのも良いかもしれない。

「はい、虎次郎。あーん」

「ははは、刹那。皆の前で大胆やなぁ。ほい、あーんや」

「あ、ちょっと虎次郎。私のも食べなさいよ! ほら、あーん!」

「なはは、ちょい待ちいや理沙。そんな急いで喰わせようとせんでもちゃんと食べるさかい」

 皆、とても幸せそうだ。

 あぁ、こんな幸せになれるのならば、もっと早く入会しておけば良かった。

 ――ふと、視界の隅につまらなさそうにしている人がいるのが見えた。

 誰だっけ。アレは。

 長い黒髪で、色素の薄い瞳のその人は、楽しく笑う僕達をつまらなさそうな目で見て、「潮時かしらね」と呟いた。

 何が潮時なのかは分からないけれど、誰だか知らないその人は、そういえば神生会に入っていない人だ。

 まったく、この世界の創造主たる神様を崇拝しないなんて、酷く不信心な人もいたものだと思う。

 そんなことを考えていたら、突然ぐちゃ、と何かが潰れる音がした。

「あ」

 間抜けな声を残して、友達の一人が壁に激突してまるでマンガみたいに潰れて真っ赤なペンキをあたりに撒き散らしていた。

 そのあまりな滑稽さに思わず笑ってしまう。

 他の皆もきょとんとしていたけれど、すぐに同じように笑い出す。まったくもう、きっと彼は信仰が足りなかったのだろう。

 今度は別の誰かの頭が破裂して、まわりに真っ赤なペンキをぶちまけて地面に倒れた。

 ケタケタと皆が笑う。刹那さんが変身して誰かを斬って、真っ赤なペンキをまわりに一杯ばらまいた。

 凄いや、まるで正義の味方みたいだ。

「悪者は退治したよ。これで大丈夫だ」

 皆に向かい、得意げにそう言った刹那さんに皆が笑いながら拍手を送る。

 やんややんや。凄いぞ刹那さん。

「あかんなぁ、出番とられてしもうたわ」

 拍手をしながら、虎次郎くんがそう言った。

 笑いすぎたのか、涙をボロボロこぼしながらそう言った。

「ねえ、つぐにゃん」

「ん? どうしたの。嗣深」

「楽しいね」

「うん、そうだね。楽しいね」

 嗣深もボロボロ泣いていた。

 そういえば僕もなんだかボロボロ涙が流れている。なんでだろう。やっぱり笑いすぎたのかな。

「今日は二人かー」

「まぁ死んじゃったならまた作ってもらえば良いよね」

「そうだねー」

 クラスの皆が潰れた友達だった物を教室の片隅に片付けると、先生が入ってくる。

「ようお前等ー、今日も元気かー、ってなんだ。また誰かやられたのか? まったく掃除するの大変だってのになぁ?」

「せんせー、昨日やられた先生が言うことじゃないと思いまーす!」

「おぉ? そういや昨日死んだのは俺だったな! あと佐藤と小林だっけか? ハッハッハッ、いや、そりゃ失礼したな! よっし、そんじゃあ朝のホームルーム始めるぞー!」

 悲劇なんてどこにも無い、素敵で愉快なこの世界で、今日も僕達は生きていく。

 ――ところで、今日死んだのはどこの誰だっけ?

 まぁ、良いか。どうせ明日には皆元通りなんだから。

「楽しいなぁ」

「楽しいねぇ」

 こんな幸せな日々が、ずっと続けばイイノニナ。






=========BAD END No,01「幸せな日々」==============

 ……その、違うんです! 自重しようと思ってたけど、そんな、そんな楽しみにしてる人がいるなら、もう期待にこたえないとグヘヘって思っちゃって自重を少しだけ緩めただけなんです! でもでも、このくらいなら全然大丈夫ですよね?

 細かい描写してないし、うん。転生傍観者の鬱シーンですら割とぼかして自重してたんですよ。だからあのレベルの鬱くらいまでなら全然大丈夫ですよね? 余裕ですよね? ニヒルに笑って背中を見せて、「ついて、これるか?」とか言っちゃっても大丈夫なレベルですよね?



 ゲフン、あ、ちゃんと本編はちゃんと本当の意味でのハッピーエンド目指してるのでご安心ください。道中多彩な鬱シーンとかあるかもしれませんけど目指せハッピーエンドですので。マジで。

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