▼23.告白
皆さん、あけましておめでとうございます。
どうも、週6の予定が、見事に前回更新から一週間ほど更新してなかったマの以下略です。
いやすいません、ちょっと年末年始と忙しすぎて死んでました。昨日は休みだったんですが、丸一日寝てました。夜中に起きてその日初めてのご飯食べてからこれようやく仕上げました。はい。
ここ一週間、この小説の執筆や感想返しはおろかゲームすらまったくできてないよ! どうなってんの!
ゲフン。まぁ、そういうわけで大忙しでしたが、今月の半ば頃には余裕できてくるので、一時的に不定期になりますが連載は続けますのでご安心をば。
追伸:お気に入りが220超えてたので、転生傍観者のほう、改訂終えたらまとめて2話アップ予定です。多分、明日こちらの24話投稿と同時くらいになるかと。
誘拐未遂の日から数日。それ以降は誘拐されそうになることも無く事件らしい事件も無いまま日は過ぎ、吹雪も無事おさまったことで、学校も終業式を無事迎えた。
冬休みを迎え、先生から出された“冬休みの友”という名の“冬休みの敵”を皆が受け取り、それとは別に各科目から出された宿題にブーイングが出たりはするものの、皆が明日からの長期休暇に思いを馳せて冬休みの予定などを友達同士で話し合ったりしている中、僕は帰りのホームルームが終わるとすぐに早苗さんに呼び出され、文芸部室へとやってきていた。
この前と一緒で、机を挟んで一対一での話し合いである。終業式の日は部活は全部おやすみなので、多分誰も来ないだろう。
「それで、えーっと、話って、何? もしかして、お母さん関係でまた何か問題でもあった?」
「ううん。お母さんは、神生会に入ったお陰でもう本当に、理想のお母さんだから、何も問題なんてないよ?」
「そっか……なら良かった」
文芸部室に誰もいないのを確認してからずっとそわそわしている早苗さんに、思い切って話を振ってみたら、あっさりと否定されて少し安心する。
しかし同時に、早苗さんがわざわざ僕を呼び出してまでする話というとそれくらいしか思い浮かばないだけに、一体なんお用件だろうかと僕は首を傾げて早苗さんが話を切り出すのを待つものの、時々こちらの顔をちらちらと見ては目を背けるだけで一向に切り出す気配が無い。
「えーっと、早苗さん?」
「え? あ、うん。あの、えっと、あのね?」
声をかけると、わたわたと謎の動きを始めて顔を真っ赤にする早苗さんにちょっと和む。割と顔立ち的に早苗さんってお姉さんな雰囲気を漂わせているのだけれど、ギャップが可愛いです。なるほど虎次郎くん、これが萌えというやつなのだね。僕は今学びました。
挙動不審な早苗さんを菩薩のごとく慈愛に満ちた目で見ていたら、早苗さんはようやく決心がついたのか、深呼吸をして、こちらの目を覗き込むように身を乗り出してきた。
「あのね!」
「う、うん」
そんな勢い込んで言わないといけないことでも言うつもりなのだろうか。
「私、義嗣くんのことが好きなの!」
「うん、僕も好きだよ」
言うまでもなく、大事なお友達だものね。
顔を真っ赤にして言ってきた早苗さんは、僕の返答に暫く顔を赤くしたまま口をパクパクしていたけれど、更に身を乗り出してきて、頭がぶつかりそうだったので僕はちょっと仰け反った。
え、なに、また何かふざけてるとかじゃないの?
「そういうのじゃなくて、その、お、男の子として、義嗣くんが好きなの!」
「? うん。僕も女の子として早苗さんのこと好きだよ? 男の子としてはやっぱり虎次郎くんだけど」
どっちかをとれといわれたら難しいね。しかしそこはやはり付き合いの長さで虎次郎くんだろうか。
よくある、溺れている二人のどちらかしか助けられないとしたら、とかの診断だったら迷わず早苗さん助けに行くけど。虎次郎くんなら僕が到着する寸前に「あ、ここ足つくやんか。ハッハッハッ!」とか盛大なボケでしたという可能性が高いし。
「あの、だから、そうじゃなくてぇ……」
「?」
え、ごめん。なんでそんな涙目なの? え、僕何か悪いこと言った!?
早苗さんが頭を抱えて机に突っ伏した。え、本当になんなの?
「うぅ……ううん。ごめんね。本気にしてもらえないのも、たまにからかってた私が悪いんだし……」
「え、あ、うん。何が?」
項垂れたまま早苗さんがそんなことを言うけれど、一体なんだというのか。
よもや、本当にそういう意味での好きという意味ではあるまい。
「あのね? その……恋人になりたいな、っていう意味での、好きなの。義嗣くん」
「罰ゲーム? 大丈夫? 早苗さんイジメられてるの?」
「君に告白したらイジメられてるってどういう発想なの!?」
「じゃあ、もしかして早苗さんって特殊な性癖の持ち主だったの?」
「なんで私そこまでボロボロにいわれてるの……?」
おかしい。僕にそういう類の告白だなんて、絶対イジメか何かの罰ゲーム以外には考えられない。これは早苗さんが嘘を吐いている。間違いない。神生会の新規会員になったら古参のクラスメイトになんかこう、やらされてるとかに違いない。
こっちに引っ越してくる前の学校で二回ほど上級生から告白されてうろたえてたら実は罰ゲームだったということがあったのを覚えているし、今回も絶対間違いない。
そう、コレは罰ゲームに違いない。心優しい早苗さんはきっと、もしコレでOKなんてしようものなら、責任感で嫌でもきっと付き合おうとか考えてしまうに違いない。僕は分かっているのだ。
だってほら、冷静に考えて小学校低学年レベルの身長の中学生に告白しようだなんてそんな人がいるわけないじゃない。そう、冷静に考えるんだ僕。ビークールビークール。これは罠だ。ドキドキしちゃっては罰ゲームを仕掛けた人の思うつぼだ。そう、騙されてはいけないのだ。だから顔の火照りよおさまれ。おさまるのだ。
「いや、だって冷静に考えれば僕が恋人的な意味でお付き合いしたいと思われるような子ではないことを自覚しているからね。これはきっと早苗さんが何か罰ゲームでもクラスの子にやらされてるに違いないと僕は思うわけです」
「え、えっと……うちのクラスにそんな意地悪な罰ゲームやらせる人はいないと思うよ? 義嗣くん。それに外見は確かに小学生みたいだけど義嗣くんには一杯いいところあるし」
「外見が小学生みたいだって認められたー!」
「あ、ご、ごめんね!?」
ふぁっきんだよ! ふぁっきんマイ低身長だよ!
おいでやす、おいでやす成長期! 僕はいつでもウェルカムだよ! こんなドキドキイベント(但し罰ゲームに違いない)よりも君の到来をお待ちしておりますよ僕は!
「ウェルカムトゥー成長期ー!」
「お、落ち着いて義嗣くん!? なんだか嗣深ちゃんみたいになってるから!?」
「アレと同じ扱いは困ります。落ち着きます」
いけない。テンパりすぎてついテンションがおかしくなってしまった。
「で、その、ね? あの、すぐにじゃなくても良いから、もし受けてくれるなら、後日でも良いから言ってくれたら嬉しいな、って……その、嫌なら断わってもらっても良いから」
「いや、あの、えーっと、嫌というわけではないといいますか、その、お付き合いというかまだ恋心とか僕には全くもってわけわかめといいますか、ノーモア映画泥棒といいますか」
「お、落ち着いて? ね?」
「う、うん……」
早苗さんに肩を掴まれて視線を合わせたまま真正面から言われ、少し黙る。いけない。テンションがおかしい。
僕は若干混乱気味な頭を深呼吸して落ち着かせる。
まだだ、まだ慌てるような時間じゃない。ひとまず冷静になって、そう、すぐに返事しなくても良いならちょっと考えてみるべきだろう。いや、そもそも恋愛感情って分からないけど、早苗さんのこと嫌いなわけじゃないし、むしろ好きではあるし。ただそれが友情としてなのか恋愛としてなのかって言われたらやっぱり僕には分からないってだけで。
ひとまずなんと答えるべきかとうんうん唸っていると、堪えきれなくなったかのように早苗さんが噴出した。
「むむっ、やはりからかっていたのだね!」
「ち、違うの。ごめんね? あの、告白は本当なんだけど、その、義嗣くんの反応が面白くて……ふふふ」
「ぐぬぬ……」
くすくすと笑う早苗さんをジト目で見ていると、暫く笑っていた早苗さんだったけれど、ようやく笑いをおさめると軽く咳払いをしてからこちらに微笑んだ。
「うん、とにかく告白は本当だから。返事はいつでも、大丈夫。そうやって少しでも考えてくれてるだけでも嬉しいし、うん。だから今日はとりあえず解散、ね? メールでも、電話でも良いから返事はちょうだいね?」
「……むぅ、わかった。でも僕、携帯は持ってないから家に電話で良い?」
「うん、良いよ。ありがとう」
それじゃ、今日はもう帰ろっか、と言う早苗さんに、僕はまだ微妙に混乱している頭を整理しつつ頷いたのである。




