ボス、私の昔話をしよう、国家
「………!だからって、アメリカは広いんだぞ!僕より適性な奴なんて捨てるほどいるだろ!」
「いや、いなかった、だからお前が選ばれた、むしろ誇るべきと言っても過言ではない」
「…………くそ!もういい、どうしたら家族は助かる?」
そう副ボスが聞くと、携帯の向こうはフフ、と笑った。
「決まってるだろ、副ボスを復職するんだ」
「………わかっ「だめ!」
急にシャネットが話に入り込んできた。
「パパ、またあの仕事やるんでしょ!?それだけはだめ!」
シャネットの声を聞いた携帯の向こうの人はチッと舌打ちをした。
「副ボス、この携帯にはスピーカー機能がある、机に置いてくれ」
そう言われて副ボスは机に携帯を置いた、するとブツッと音が聞こえて、シャネットにむけて携帯の人はしゃべり出した。
「いいかい奥さん、あんたの旦那はそこら辺のサラリーマンとは訳が違うんだよ、給料もいいし、資格だってその気になれば政治家に顔パスするだけで副大統領だよ、そんなおいしい職務についてるのに辞めさせるなんてとんでもないことだよ」
そうサラサラと携帯の向こうの人は言った、するとシャネットは反論した。
「でもその反面パパはボロボロになって帰ってきたわ!死んでからじゃおそいでしょ!」
「そお?手当金もらえるのに?仮にあんたの旦那が死んだら新しい旦那作ればいいじゃない、手当金で働かなくても楽に暮らせるよ?」
その言葉を聞いたシャネットはここぞとばかり叫んだ。
「私はパパが好きだから結婚したのよ!パパは使い捨ての雑巾じゃないわ!!!!!!!!!!!!!!!!」
………シャネットが叫んでから数分後、ボソッと携帯の向こうの人が言った。
「奥さん、うるさい」
ビュバ!
急に一本のピアノ線が弾け、それが何故かサナのほうに飛んでいった。
ビシュ、ポタ、ポタ……………
サナの右目が二つに裂けていた。
「あ…………い、いたい……」
ポタ、ポタ、ポタ、ポタ、ポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタポタ
徐々に血が床に落ちる時間の幅が狭くなり、床に血が溜まっていった。
「ああああああああああああああああああああああああああ!パパいたいよ!助けて!」
「サナ!」
副ボスがそう叫ぶと、携帯の向こうの人が拍手しながら言った。
「おお〜、うまく作動しましたか〜これは仕掛けたかいがあります」
「ふざけるな!これ以上やってみろ、今すぐに特務機関の機密をマスメディアにばらすぞ!」
「そんなことする前に嫁さんと娘さんは天国行きですな」
そう言って携帯の向こうの人はまた笑い出した。
「フフ、さあお選びください、家族を助けるために復職するか、見殺しか、あ、そうそう、仕掛けを解除する為にピアノ線に触っちゃいけませんよ?作動しますからね」
「………………く」
副ボスは苦渋の顔をした、するとサナが副ボスにいった。
「パ、パパ……………私はだいじょうぶだから……………」
そう言ってサナは笑ってみせた、その様子を見た副ボスは
「サナ…………ごめん」
そう言って副ボスは携帯を取った。
「パパ、まさか!」
シャネットが副ボスに叫ぶ、しかし副ボスの意志は固かった。
「こうするしかもう皆が助かる方法がないんだ!」
「だめ!きっとパパ今までより危険なことやらされちゃう!パパ死んじゃうよ!」
そうシャネットが泣きながら言う、しかし副ボスは少し笑いながら
「…………僕が死んだら、新しい人を見つけなさい」
そう言って副ボスは携帯に向けていった。
「要求をよむ、副ボス職を復職する」
「賢明な判断だ、了解した」
副ボスは携帯を机に置いた。
「嫌い…………大っ嫌い…………!なんで…わたしのいうこと聞いてくれないのよぅ………ぜったいに…………許さない……」
シャネットが泣きじゃくりながら副ボスに言う、すると副ボスはまた笑いながら
「嫌いでいい、僕を嫌いながら一緒にいてくれ」
副ボスがそう言うと、携帯の向こうの人が思い出すように言った。
「あ、そうそう、副ボス国家反逆罪に属する行為したから、副ボスの代わりに家族死刑ね」
ヒュバ!
またピアノ線が弾け、サナの胴体が二つに裂けた、人が死ぬ時は静かなものである、悲鳴も言わずに死んだ。
「サナ…………サナァァァァァァ!」
そう副ボスが叫び、次に携帯に向けて叫ぶ。
「どういうことだ!約束が違うじゃないか!?」
「まあまあ、全ては時の運、あ、次奥さんね」
キリ、キリ、キリ、キリ………
ピアノ線が軋み、今にも弾けそうだ。
「パ、パパ………………」
「シャネット!大丈夫だ!必ず助かる!」
「もうダメみたい…………」
「頼む!諦めないでくれ!」
副ボスが泣きながら叫ぶ、しかしシャネットは何故か笑って
「やっぱり貴方なんか嫌い、でも恨めないわ」
ヒュバ!
シャネットの首が床に落ちた。




