ボス、私の昔話をしよう5
「………裏切れ、というと?」
「そのままの意味よ、家族を裏切るの」
そう言って神官長は副ボスの前に立った。
「神に仕える神官からの命令よ、どんな形で裏切るかはあなた次第だけどね」
「……私には家族を裏切れません」
「いえ、あなたは家族を裏切ることが出来るわ」
そう言って神官長は懐から長さ30CMの針を取り出した。
「神に仕える神官長の頼みを聞かない場合は即刻死罪にするの、でも今私は機嫌がいいわ、今貴方が言ったことは聞かなかったことにしてあげる、だけど次はないわよ?」
そう言って副ボスの首元に針を突き立てた。
「もう一度言うわ、家族を裏切りなさい、そうすれば神のご加護を授かるわ」
「………私は家族を裏切れません、お気にさわるなら煮るなり焼くなり好きにしてください」
その言葉を聞いた神官長は副ボスの腕に針を突き刺した。
ビチャ!
血が吹き出し、針から血が滴り落ちていった。
「貴方後悔するわよ?まあ後悔したところでもう遅いけど」
「なに、家族を持てた時点でもう後悔はありません」
「かなり家族を愛しているのね、でもそれは偽りの愛じゃないの?」
そう言うと神官長は腕に刺している針を抜き取り、今度は副ボスの手に刺した。
ザク!グジュグジュ……
「偽り?あなたは私の家族を見たことがあるんですか?」
「ないわ、でもあなたが自分で自分に言い聞かせているだけじゃないの?家族は自分を愛している、だから自分も愛する、でも実際はまやかし、結婚目的は金又は親族のススメ、そして老後の金のため……」
そう副ボスの耳元で囁くように神官長がつぶやく。
「でも神は万物を愛してくれるわよ?あなたの犯した罪も、あなたの家族が犯した罪も、すべて神は許し、そして愛するでしょうね、悪い話じゃないでしょ?」
そう言いながら神官長は懐から新しい針を取り出した。
「そう、この針も神の愛でもあるの、神は罪を許すけどその代償は必ず受けなきゃいけないの、その代償がこの針よ」
そう言って神官長は足に針を突き刺した、針が足の筋肉に食い込み、上手く立つことが困難になって副ボスはその場に膝まついた。
「ふふ、神に仕える神官の前では姿勢を低くしないとね」
「………そんなことして楽しいですか?」
「別に楽しいからやってる訳じゃないわ、代償を受ける重要性と神の尊さをあなたの体に教えこんでるの」
そう神官長が説明すると副ボスは少し笑いながら
「あなたの信じる神がどんな人なのかは分かりました、おそらく糞を歯磨き粉がわりにしている間抜け神なんですね」
そう言うと神官長が更に5.6本針を懐から取り出した。
「神に対する冒涜は許さないわ、代償よ」
ザク!ザク!ザク!ザク!ザク!ザク!
まるで床に副ボスの腕を縫いつけるなの如く神官長は刺しまくった。
「あ…………うぁァァァァァ、があ」
「ふふ、流石に鉄火面じゃいられなくなった見たいね、でも貴方が悪いのよ?神を冒涜するから」
ザク!ザク!ザク!ザク!ザク!
「もうやめて欲しい?そろそろ貴方の腕肉塊になりそうだけど」
「…………………」
「もう喋る元気も無さそうね、神の冒涜なんかするからよ」
「………随分遅かったじゃないですか」
「は?」
「証拠はつかめたんですか?」
「あなた、誰と話して………」
そう言いながら神官長は後ろを見た、そこにはボスが立っていた
「………あなたも入教希望者?」
「この状況でそれはないだろ、あんたを麻薬取締法違反で逮捕する、あとこの部屋ドア閉まってたから監禁罪だ」
「教徒はどうしたの?」
「裏が取れたから俺の部下に突入命令だして一斉逮捕した、実は逮捕することもできるのよね、俺」
そう言うと副ボスが少し険しい顔になって
「私部下が配置しているなんて聞いてませんよ?」
「囮役の演技に支障がきたすとおもってな、あえて知らせなかった」
ボスがそう説明すると、神官長がボスに近づいていった。
「ねえ、私を見逃してくれない?後でイイことするから」
「それは大統領が払う報酬より価値があるのか?ビッチ神官」




