ボス、私の昔話をしよう4
後日、シャネットは見事風邪が治り、いつも通り家事をし終わった後、副ボスが帰ってくるのを待っていた
「ふんふふーん♪パパ早く帰ってこないかなー?」
「ママ、多分今日は帰ってこないと思うよ?」
そう言ってサナは時計に指さした、時刻は夜の十二時である
「パパ今日は帰ってこないよ、十二時過ぎるときは帰ってくるの明後日くらいじゃん」
「あら?そうだったっけ?」
「うん、………………話す時間作ってくれるって言ってたのに、パパの嘘つき」
「あらサナ、パパを嘘つき呼ばわりしちゃいけないわ、パパは約束はちゃんとまもるよ」
「でも今日はこんな時間になっても帰ってこないんだもん、きっと今日は帰ってこないよ」
「大丈夫大丈夫」
そう言ってシャネットは静かに副ボスの帰りを待っていた、すると玄関から扉が開く音が聞こえた
「ほらね、パパちゃんと帰ってきたよ」
シャネットがそうサナに言おうとしたが、サナはもう玄関にまっしぐらであった
「パパ!遅いよ!」
そう言って玄関にいる副ボスに声をかけた、だが次の瞬間にその声は悲鳴へと変わった
「あ………きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!!!」
「サナ!どうしたの!?」
そう言ってシャネットもサナのいる玄関に向かった、そこには血が染みた包帯で腕を首に吊るしている副ボスが立っていた
「……………ただいま、ごめんね、遅くなっちゃって」
そう言って少し笑いながら副ボスは包帯を摩する
「パパ!大丈夫!?」
そう叫び出したのはシャネットであった
「病院、病院行かなきゃ!」
「大丈夫だよ、このくらい」
「どこでそんな怪我したの!?」
「ちょっと仕事でミスしちゃって」
そう、実際どうして副ボスがこんな怪我をしているのかと言うと、それは今日の任務にいたる
………………今日の任務は、ユダヤ人によるユダヤ教の建物内に大量の麻薬があると情報が入ったのでそのガサ入れであった、普通このようなことは警察の仕事ではあるが、そのユダヤ人の持っている武器の中にRPGがあるかもしれない、という情報も入っていたので、軍を動かさずにボスの機関を動かすことになった
「いいか、教徒のふりしてくれよ?その間に俺は潜入する」
建物の前でボスが説明した
「分かりました、では」
そう言って副ボスは建物のドアを開けた
「すみません、入教したくて来たんですが…………」
そう言うと中から教徒らしき人が出てきた
「はい、入教希望者様ですか?」
「はい、そのとおりです」
「では洗礼の間に来てください」
そう言われて副ボスは教徒に付いて行って洗礼の間に向かった
「ここです」
案内された洗礼の間は、部屋の四隅に水盆が置かれており、部屋の壁紙にはよくわからない文字で埋め尽くされていた、そして部屋の中央に一つの椅子があり、その席には銀髪で瞳孔が少し白っぽい少女が座っていた
「神官長様、入教希望者です」
そう教徒が言うと、神官長は
「わかった、少し下がってて」
そう言って教徒を部屋から出した
「さて、あなたはこのユダヤ教に入りたいのよね?」
「はい」
「じゃあその為ならどんな過酷な条件でも耐えれる?」
「もちろんです」
副ボスがそう言うと、神官長は副ボスを笑いながら見始めた
「指輪してる…………あなた結婚してるの?」
「ええ、してます」
「子供もいる?」
「はい」
「ふぅん、よし、じゃあ貴方に対する入教条件は家族を裏切ることね」




