ボス、俺の昔話をしよう13
「残念だ、実に残念だ」
ボスは真顔で言った
「少なくとも俺の人生の中で指折りに入るほどだ、今回は軍人だっときよりずっといい上司に巡り会えたと思っていた、とくにヘリを拳銃で撃ち落とした時、俺はちょっと尊敬していた、だがまさか尊敬する上司が裏切り者だったなんてな……………」
「……………」
「だがそんな裏切り者だからこそ、ここは素直に投降してほしい」
そう言ってジャックはボスに近づき、手錠を掛けるために片手でボスの手を掴もうとした
、が、その手を逆にボスに引っ張られ、足を引っ掛けてジャックを転ばせた
バタン!
勢い良く床に叩きつけられ、その弾みでジャックは拳銃を放してしまった
「よっわ」
ボスは床に寝そべっているジャックの胸部に近くにあった植木鉢を叩きつけ、ジャックの体に跨った
「が……………………!く………………クソ!」
ジャックは跨がれながらもボスに攻撃を仕掛けるが、跨がれているので攻撃が当たる訳もなく、両手を掴まれて両腕をボスにナイフで床まで深く刺された
「動かない方がいいよ、といっても動けないとは思うけと」
ボスはジャックの首に手をあてて言った
「アメリカの敵は俺の敵とか言ってたけどなんか拍子抜けね、やっぱりあなたは口だけだったのかしら?」
「…………は、たかだかナイフごときで俺の動きを止められると思ったか?」
ジャックは無理矢理腕を起こし、体を回転させてボスを振り払った、ジャックは素早く立ち上がり、両腕に刺さっているナイフを抜いた
「敵に武器を渡すなんて間抜けにも程があると思わないか?それとも親切?」
「その言葉、そっくりそのまま返すわ」
ボスはそう言ってジャックに拳銃を向けた、恐らくジャックが放してしまった拳銃だ
「あなたとはもっと話していたかったけど、こういう状況だから」
そう言ってボスは発砲した
パアン!
乾いた銃声が響き、薬莢が床に落ちた、しかしジャックは倒れなかった
「………………………そういえば、民族同士の紛争に派遣されたアメリカ軍の中にナイフ一本で一個分隊全滅させたってゆう話があったわね、あだ名は…………ジャックナイフって言われてたわね」
「今だからぶっちゃけるが、ジャックナイフってのは俺のことだ、拳銃なんてきかないぜ?」
「どうやらそのようね」
そう言ってボスは拳銃を捨てた
「だからって私に素手で勝てるとおもってるの?」
「素手?ナイフで戦うに決まってんだろ」
そう言ってジャックはボスに詰め寄り、首に向けて切りつけた、第一撃は避けられたが、素早く体を回転させて第二撃を腕にくらわせた、斬ったのは両腕の手首で、手を落すことは出来なかったものの、手を使えないようには出来た
「アギ………………!ぐ、うう」
「ここで投降しない限り、俺はお前の体を四肢切断するからな」
そう言ってジャックはボスの太ももにナイフを刺し、そのままボスを鏡に向けて蹴り飛ばした
ガシャャャャャャャン!
鏡は勢い良く割れ、いくらかボスの体にも刺さった、そしてボスはずるっと膝をついた
「俺の勝ちだな」
そう言ってジャックはボスに近づこうとした、が、突如ジャックに向けて何かが飛んできた、鏡の破片だ、完全に油断していたジャックは不意をつかれ、その破片は左目に突き刺さった
「!……………ぐ、」
「あ、甘いのよ……………相手の脈を確認して初めて勝利をつかむのよ」




