ボス、俺の昔話をしよう11
「ねえ〜、副ボス〜」
「…………………………………」
「お願い〜ついてきてよ〜」
………………何がどうしてこうなった?それは今から数分前に遡る
「あ、やっちゃった」
ジャックがそろそろ愛しのマイホームに帰ろうとした時にボスが思い出したように言った
「どうしたんだボス?」
「射撃場に拳銃置きっぱなしだった、銃保管庫にしまっとかないと」
「ふ〜ん、片付けろよ」
「うん、でも射撃場真っ暗でこわいんだよな〜」
「俺としては銃置きっぱなしの方がよっぽど怖いと思うけどな、ま、頑張ってくれでやんす〜」
そう言ってジャックは執務室を出ていこうとしたが、ボスに手を掴まれ
「まって」
「え?なんで?」
「私あんな真っ暗な所に一人で行くのよ?心配しないの?」
「し、しないけど………………?」
「こんな!か弱い!美少女が!一人で!真っ暗な!射撃場に!行くのよ!心配でしょ!」
「ヘリを拳銃で撃ち落とすような奴をか弱いっていわないぞ?」
「そんなこと言わないでよ〜、もうぶっちゃけると怖いのよ〜」
「え〜〜〜〜、正直言ってめんどくさ〜い、てゆうかボス怖いの多すぎだろ〜、高所恐怖症なのは仕方ないけど流石に真っ暗なところが怖いとか何歳だよ〜」
「実は成人式を迎えていたピチピチの二十代です!えっへん!」
「うん、なんで誇らしげなのかは知らないけどいい大人が暗いところ怖いとか洒落にならないから、一人で行ってらっしゃい」
「そんな〜お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い〜!」
「だめったらだめ、一人で行け」
ジャックがそう言うとボスはジャックの手を掴みながらしゃがみこんだ
「ねえ、知ってる?うさぎって寂しいと死んじゃうんだって〜、寂しいな〜」
いつまでわがまま言ってんだ?と思ってボスの顔をみたら、ボスの顔は虚ろで、懐からナイフを取り出していた
「寂しいな〜寂しいな〜」
「………………もうめんどくせー、わかったよついて行くよ」
ジャックが諦めたように言うと、ボスはパァァァァァ、と表情が明るくなり立ち上がって
「ほんとう!?ありがとう〜!」
こうしてジャックはボスの拳銃を取りに行くことになった
………………さて射撃場に到着したボスとジャックは拳銃を探すことになった
「ボス、どこらへんに拳銃置いといたんだ?」
「うーん、よく覚えてないなー」
「まじかよ、まあ拳銃なんてすぐ見つかるとは思うんだが…………」
そう言ってジャックは拳銃を探し始めた
「…………………ねえ副ボス」
「なんだ?拳銃あったのか?」
「いや、そうじゃないんだけど……………」
「じゃあなんだ?」
「あのね、アメリカ政府の中に私のことを快く思っていない人がいるの、多分私が女だから…………」
「はあ?言ってる意味分かんね」
「実はね、この組織の歴代ボスは私以外全員男なの、だから私がボス就任するのを不快に思っているらしいの」
「そんなくだらないことで?安全しろ、そんときゃ大統領がなんとかしてくれるって」
「うん……………」
実はジャックに、俺が守ってやるよ、と言われたかったボスであった




