ボス、俺の昔話をしよう9
「か、風邪ひいちゃった…………………」
ジャックはボスに受けた拷問が原因で風邪を引いてしまった、これにはさすがのボスでも有給休暇を許した
「ううう…………べ、ベットから外に出れない…………」
全く有給休暇を取ろうとしたら風邪を引くなんて、俺が一体何をしたってんだ!ただ競馬してボートレースして株見て宝くじ買ってパチンコしようとしただけじゃないか!全くついていない
「そんなことばっかり考えてるからそういう目になるのよ」
おおっと、俺としたことが思っていたことが口に出してしまったか、ん?俺の家に人が二人…………………?
「やっぱり心配しなくてもよかったかしら?」
「ボ、ボス!何の用ですか?!今日は何がなんでも休みますからね!」
「わかってるわよ、許可だしたのも私だし」
「じゃあ本格的に何のようだ?」
「看病しにきたのよ」
「は?」
「だ、だから看病しにきたの!感謝しなさい!いや、褒めたたえて!」
「か、看病すか」
………………………なんだろう、物凄く不安なんだけど…………………
「いや、ボス看病する前に仕事しないと、俺は別に看病されるほど重病じゃないし」
「な、せっかく看病しに来てあげたのに!そ、それに部下の健康管理も仕事の内なの!」
「いや、だったら医務室の医者を連れてきてくれれば………………」
「男なら黙って看病されなさい!」
これ以上言い合っても無意味なので、ボスは素直に看病される事にした
「で、俺に何してくれるんだ?」
「そうね、おかゆ食べる?」
「悪いが今食ったらもれなく全部吐き出す」
「じゃあだめね、背中拭いてあげる?」
「ああ、それいいかもな、じゃあ頼むわ」
そう言ってジャックは布団を剥ぎ、仰向けになって背中を差し出した
「ちょっと待ってね、今用意するから」
そう言っていそいそとおしぼりを用意したボスは背中を拭き始めた
「にしても副ボスの背中傷だらけね、本当に軍人だったのね」
「なんだ信じてなかったのか、俺は一年前までは軍人だったんだよ」
「大統領も軍人だったのよね?軍人だった頃の大統領ってどんな感じだったの?」
「今とそんなに変わんないな、傷の数も俺の方が多いし」
「そういえば副ボス知ってる?日本では背中についた傷は恥なんだって」
「なんでだ?」
「背中についた傷は逃げた証だからなんだって」
「間抜けが、そんなもん昔の薄っぺらい鉄の棒を振り回していた気狂いの妄言だろ?今は剣じゃない、銃なんだよ、時には逃げないと生き残れない」
「あはは、まあそうね…………………ねえ、副ボス?」
「なんだ?」
「もしも私が絶体絶命になったら背中に新しい傷作ってでも守ってくれる?」
「……………………自分で何とかしろ」
「冷たいな〜」




