ボス、俺の昔話をしよう6
「かなり時間が掛かったね、トイレにでも行ってたのかね?」
車の中で待たされていた将校が少し苛立ち気味に言った
「すみません、これから警護につきます」
「うむ、頼んだ」
そう将校が言うと車のドアが開き、ボスとジャックが乗り込んだ、車は緩やかに動き出し後部座席に左からボス、将校、ジャック、とゆう順番で座っていた、ボスはじっとしているのが苦手なのかそわそわしている、将校に失礼がなければいいのだが……………、そんなことをジャックは思いながら何となく外を眺めていた、すると上空に一機のヘリが飛んでいるのに気づいた
「…………………なあボス」
「ん、なに?」
「切り裂きジャックってほんとに切り裂いてんのか?」
「ん〜、私が聞いた話だと被害にあった将校の傷口は大体切られたように綺麗だったんだって」
「てことは実際に切っているのかどうかわからないってことか?」
「うーん、まあ実際に切っている所を見た人はいないからね〜、なんか気づいたら殺られてたってことが多いんだってー」
「…………………………ボス、あのヘリ怪しくないか?」
そう言ってジャックは指を差した
「………………………?何処が怪しいの?」
「気のせいかさっきからついてきてるんだ、しかも高度が低い」
「気のせいじゃない?」
「いや、そうかも知れないけどなんかスナイパーかなんかが、こっちを狙っている気がするんだ」
ジャックがそう言うと、将校が呆れたように
「じゃあ何かね?あのヘリから狙撃してくるのかね?もし狙撃するんならホバリングするもんだろ?じゃなきゃとてもじゃないが狙撃などできん」
「いや、そうなんですが、もしかしたらを考えるとですね…………………」
「ハハハハハハハ!安心したまえ、絶対にそんなことはなッ」
グシャ
突如運転席からトマトが潰れるような音が聞こえた、やがて運転手は項垂れ、横に転がるように倒れた
「クソったれ!」
ジャックは素早く運転席に移り、ドアを開けて運転手を外に捨てた
「ボス!将校は無事か?」
「うん、将校は憎たらしいほどピンピンしているよ!」
何故か嬉々としているボス、殺されかけているのにとんだシリアルキラーである
「狂ってる!あのクソったれヘリも、となりに座っているあんたもみんなくるってやがる」
突如将校が叫び出した、お前はラリってるよ全く
「ボス!今あのヘリ何処にいやがる!教えてくれないか?」
「うん、今は〜〜、あ」
ボスがそう言ったのもつかの間、ヘリは車のすぐ目の前に来ていた、ヘリの中がよく見え、スナイパーがこちらにスコープを向けているのがわかる
「………………俺もしかして万事休すか?」
「諦めるのは早くない?」
ズバン、ズバン、ズバン!
車のフロントガラスが割れ、ジャックは一瞬自分が撃たれたのかと思った、しかし実際は撃ったのはボスであった




