少し昔話をしよう・人じゃ人は救えない
「軍医に何言われたんだ?」
ジャックが大統領に尋ねる
「あ?ああ、少しな・・・・・なあアリス?」
大統領は急にアリスに尋ねた
「・・・・・・なに?」
「お前ユニに会いたがっていたよな?会いたいか?」
「・・・・・・・!、うん!」
「そうか、・・・・ついて来なさい」
そういって大統領は医療テントにアリスを連れていった、医療テントに着くと右奥のベッドにユニが寝ていた、ユニは呼吸は落ち着いているが、包帯を巻かれて、ベッドは血で滲んでいた
「・・・ねえ、おじさん」
アリスが大統領に尋ねた
「・・・・なんだい?」
「なんでユニは血だらけなの?」
「テントで言ったろ?怪我したって」
「なんでこんなに血まみれなの?」
「そう見えるだけだ、実際はそんなに血まみれな訳じゃない」
「おじさん嘘ついたでしょ?」
大統領は硬直した
「ねえ、なんで騙そうとしたの?」
「・・・・・・騙そうとした訳じゃない、だが病み上がりでそういう話はきついものがあると思ったんだ」
「私が軍人じゃないから?」
「軍人だろうがなかろうが、人が死ぬのを見て笑う奴なんていないし、辛いものは辛いと思ったんだ」
「おじさんはあまり辛そうじゃないけど?」
「・・・・・もう慣れた、そういうお前もあまり辛そうじゃないが?」
「・・・・・我慢してるの」
「なぜ?」
「泣いてもどうにもならないから」
「子供にしては随分ドライだな」
そう言いながら大統領はアリスの手を見た
アリスは自分の手を握り締めていた、あまりにも力が入り過ぎて爪が食い込み、血が流れている
「さあて、テントに戻るとしよう」
そういってテントに戻ろうとした時、ユニが目を覚ました
「う・・・・・んん・・・・おじさん?」
「あ、起こしてしまったか、ユニ、具合はどうた?」
「今のところは大丈夫、ただ凄く喉が乾くんだ」
「そうか、後で衛生兵に持ってきてもらうよう話しておく」
「あと、背中がベタつく」
「・・・・・拭いてやろうか?」
大統領がそう言うと、ユニは早速背中を向けた
「ちょっと待ってろ、まず包帯外すから」
そう言って大統領はユニの背中の包帯を外した、傷口は塞がっているが、感染症にかかったような痕があり、見ていて痛々しい所があった、大統領に拭いて貰いながらユニが言った
「なんか怖い夢を見ていたよ」
「どんな夢だ?」
「背中に衝撃が走ったと同時に目が見えなくなるんだ、それで自分の周りから声が聞こえてきて、僕の体を切り刻むんだ」
「それは怖いな」
「うん、現実にならなくてよかったよ」
「・・・・・・ははは」
そう言っている内に大統領はユニの背中を拭き終わった
「さて、俺達はそろそろ帰らなきゃいけない、ユニまたな?」
「うん、またね」
そう言って大統領は自分のテントに帰った
「ユニの状態はどうだ?」
ジャックが尋ねた
「ああ、今のところは大丈夫だ、あくまで今のところだが」
「まあでも軍医の話だと長くないんだよな?ということはユニはあのベッドに寝ているのか?」
「まあ、そういうことになる、まあどう死ぬかはユニ次第ってことだな」
「やめてよ」
突然アリスが横槍を入れてきた
「もうユニが死ぬだとか、ユニは駄目だとか、そういうのやめてよ」
「ああ、すまない」
大統領が謝った
「それと、ユニが寝ているベッド、何が
特別なの?」
「なぜそう思った?」
「さっきからユニの寝ているベッドの話ばかりしているから」
「・・・・実はな、ユニが寝ているベッドはもう助からない奴が寝るベッドなんだ、だから枕の下には楽に死ねる用に聖書と拳銃と致死量の麻薬があるんだ」
「じゃあユニはもう助からない?」
「ああ、まちがいなく死ぬ、結局最後の最後は人じゃ人は救えないんだ」
「そう、なんだ・・・・・・」
「なあ?、アリス」
「なに?」
「お前ユニの事が好きなのか?」
「・・・・・・・・なんで?」
「あんな思いまでして助けたからさ、趣味が人助けってわけじゃないだろ?」
「・・・・・よくわかんない」
「そうか、まあ未練の無いようにな」
そういったのもつかの間、突然衛生兵がテントの中に入ってきた
「大変です!突然ユニの容態が悪くなってしまって!」
「・・・・そうか、わかった」
そういって大統領達は医療テントに向かった、ユニは口の周りを血だらけにしていた
「はあっはあっはあっ・・・・・おじさん」
ユニは息を切らし、とても辛そうだった
「ねえ、おじさん、僕は死ぬの?」
「・・・・・俺にはわからん、俺は神様しまゃないからな」
「す、凄く苦しいんだ・・・・・、肺がおし潰されそうなんだ・・・・・まだ、まだ死にたくない」
「・・・・・・・・ユニ、苦しいか?」
「う、うん、凄く苦しい・・・・」
「・・・・楽になる方法は一つしかない」
そういって大統領はホルスターから拳銃を取り出した
「・・・・・なにをするの?」
「ユニ、おじさんにはわからん、もうなにが正しくて何が間違っていたなんてわからないんだ、ユニが助かる方法も、ユニが楽になる方法も、おじさんにはわからん・・・・・・・だからおじさんは自分の仲間が死にかけた時と同じようにやる、偽善といっても構わない、自己満足と言っても構わない、ただ、同じようにやる」
そういって大統領はユニの額に拳銃をつきつけた
「おじさん、おじさん、僕まだ生きたいよぅ・・・・・」
死にそうな声でユニが答えた
「・・・・・すまない」
バン!乾いた銃声がテントの中で響いた




