ボス、衝撃
「んむ………やっと朝なのです」
そう言ってカリアはガバッと起き上がり、時刻を見た、大体6時45分くらいだった。
「ちょっと早いけど、兄さんも起き………ん?」
カリアは何故か布団の中に違和感を感じた、何だろうと思って布団を履いでみると、ズボンが濡れており、その上シーツに世界地図が書かれていた。
「え………もしかしておねしょ…………」
それを見た瞬間、カリアは焦り出した。
「あわわわわ、ど、どうして!?三時頃にだって兄さんと一緒におトイレ行ったのに!これを兄さんに見られたら恥ずかしくて死んでしまいます………」
そう言ってカリアは俯きだし、どうしようかと考え込んだ。
「と、とにかく兄さんにはかかっていないみたいです、なんとか兄さんが起きる前におねしょを片付けなければ………」
そう決心したカリアはベッドから這い出て、シーツをベッドのマットから外そうとしたら、ボスが床に落ちた。
ドン
「ひい!に、兄さん起きないでください〜!」
「………ん、んん」
終わった…………カリアは心の中でそう思った、だが幸いにもボスは目覚めなかった。
「ふう…………さて、作業を続けるです」
そう言ってカリアは布団を見た、奇跡的に布団にはかかってはいないようだ。
「布団はこのまま使えそうですね、次は………………」
カリアはマットを見た、こちらにも立派な世界地図ができていた。
「うう、染みちゃってます、恥ずかしくです…………」
マットはでかいのでその場しのぎは至難の業、どうしたら誤魔化せるか考えた結果、ドライヤーで乾かそうという結論に至った。
「落ちても目覚めなかったし、ドライヤーも多分大丈夫でしょう」
そう思ったカリアは早速ドライヤーを使って乾かし始めた、カリアの思惑通りボスは目覚めることはなかった。
「計画通りです、あとはシーツを女中さんに渡してズボンと下着を換えれば完璧です!」
そう言ってカリアはシーツを女中に渡そうと部屋を出ようとした。
「あれ?なんで俺落ちてるんだ?」
その声を聞いたカリアは恐る恐る振り向いてみた、ボスが目覚めていた。
「あ………………に、兄さん」
「ああ、カリアおはよう……………って、どうした?そのズボン」
「こ、これは、その…………」
そう言ってカリアは見る見るうちにあかくなった。
「ぜ、絶対笑ったりしませんか?」
「まあ、よほど面白くない限り」
「じ、実は……………おねしょ、したみたいなんです」
「………………えぇ?」
ボスはかなりのしかめっ面になった。
「…………………ぐす」
カリアは恥ずかしさと惨めさで泣き出した。
「うぇっうっぎゅっきっきらいにっならっないで」
「いや、別に嫌いにはならないが、というかそれ本当におねしょか?」
そう言ってボスはシーツの臭いを嗅ぎ始めた、はたから見れば変態である。
「ふぇ!?に、兄さん恥ずかしいです、やめてください!」
「……………すげえアルコールくせえぞ」
そう言われて、カリアも自分のズボンの臭いを嗅いでみた、アンモニアのような臭いはなく、完全にアルコールであった。
「まさかな……………」
そう言ってボスは部屋を出て廊下を見回した、するとやっぱりと呆れながらボスが言った。
「に、兄さんどうしたんですか?」
そう言ってカリアも廊下にでた、すると廊下に酒瓶を持って倒れているFMJがいた。
「むにゅ……………もっとのんでぇ………」
呑気に寝言を言っている、その様子を見ながらボスは言った。
「FMJは一人酒をすると寂しさの余りに誰かを巻き込もうとするんだ、それで運悪くカリアさんにかけられた訳だな」
ボスがうんうんと頷きながら説明した、するとカリアはプルプルと震えだした。
「私に恥じかかせて…………おしっこかけてやるです!」
そう言ってカリアはズボンを脱ごうとした、それをボスは止めた。
「待て!早まるなカリアさん!復讐は憎しみしかうまないぞ!」
「放してください!私はやるんです!」
「いや待て!憎しみ以前に人としての尊厳が消滅するぞ!」