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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
そして終局へ
92/102

武蔵、皇国に伝えよ=桜篇=

 一三日も待たせて、まとめきれないという有様。完結編(?)

 期末テストがあるなんて知らなかったぜ!(キリッ)

________________________

 最終回で無い。ホントm(_ _)mゴメン。

一三一五 

 第3波攻撃隊は比較的小規模なものであった。総数は30機程度で戦闘機と戦闘爆撃機で編成された機動性を重視したような攻撃隊であった。それであっても駆逐艦や巡洋艦に対しては驚異である。戦闘爆撃機の爆弾はせいぜい250キロであるがそれは戦艦であれば耐えれるが巡洋艦には辛い。さらに戦闘機にもロケットが積まれている。小型のためそこまで威力は大したことはないが、小型の駆逐艦なら艦首をもぎ取ることでさえ可能である。現在武蔵は銃身の冷却に入っていた。そんな時に敵の襲来だ。先ほどの説明でわかると思われるが駆逐艦が集中的に狙われた。どうやら補助艦艇を消していこうという考えらしい。

 F6Fの翼からもうもうと煙を噴出させながらロケット弾が駆逐艦に向け発射される。30ノットの速度を誇る駆逐艦はこれをどうにか回避するが、対空射撃も当たらない。望月がこの際ロケット2発を受け艦種が損壊し爆弾を受けついに取れてしまった。それでも望月は沈まなかったが、6ノット以上の航行は危険となり最終的に北進しそのままルソン島に擱座することとした。幸い大きな被害はその一隻であった。その他特筆すべき点としては至近弾が多く10発が確認された。これで合計70名が死傷したとのことだ。わずかながら戦隊に歪みを生じたりとした駆逐艦が3隻出た。ただし速力には影響なかった。



 この時間帯でマッカーサー輸送船団との距離はわずか90キロであった。ただし米軍にはこの時仕事をサボっていた神が慌てて幸運を与えたかのような現象が起こっていた。フィリピンの日本航空隊の燃料が残り僅かであることと、攻撃機の消耗による敵艦隊攻撃等の作戦不能である。現象というより必然的なものであるが米軍にとってはまさに幸運の女神がほほえんでくれたという表現が正しいような状況であった。ただこれだけで危機が去ったわけでない。なにしろ敵は距離100キロ以内にまで接近してきておりいまだ十分な戦力を保持しているのだ。それは絶望的なことであった。マッカーサー輸送船団は速力をどんなに上げても15ノット出ればそれこそ奇跡といった速度である。大体の輸送船が12ノット未満でタンカーも17ノット以上は難しい。つまりスプルーアンスやキンケイドの航空隊で日本艦隊の戦力を削ぎ落とし、時間を食わせるのが最も有効な判断であった。しかし後3時間も経てば敵艦隊の射撃区域内へとはいられてしまう。勿論その時間内で敵艦隊に対して大々的なダメージを追わせれるだろう。だが、それで兵士が1万、2万、はたまた10万などなくなれば国民は黙っているだろうか。いや10万ならまだいいがばあいによっては30万名がなくなることも予想できる。その時には軍事物資はもちろんのこと輸送力も無くなりその状況でフィリピン上陸を強行すれば敵陸軍との戦闘で多大な被害を被るだろう。それこそ最も憂慮すべき状況となる。

「逃げるしかないか・・・」逃げれるかどうかもわからぬ状況下で口からこぼれた言葉とともにまだ自軍には水上艦艇があることに着眼した。

「・・・ウィルス・A・リー」


 

 一三四〇

 「・・・この作戦に・・賛成の者は勇んで挙手していただきたい。諸君らは皇国の命運を握っている」この部屋の空気は尋常ではんかった。外では小規模なスコールが出たりしたが今現在は晴れている。だが、その太陽の明るささえ失わせるほどにまでこの部屋の空気は重苦しいものであった。

 「ハイッ!」1人の挙手とほぼ同時に他の物も続々と手を挙げ、その作戦に賛成した。

「よくぞ挙手をした!・・・今年の靖国には一段と綺麗な桜が咲くだろう」その部屋に集まっていた総員約50名は、大和特別隊・風月特別隊の2隊に別れた(二隊合計で戦闘機38機、爆撃機6機)。戦闘機の翼には日の丸が描かれていた。その翼の下には見慣れない燃料タンクが備えられていた。烈風の燃料タンクであるがそれは14機で残る20機には爆撃機と同様黒黒しい物があった。

 20分後に出発する彼らの表情には笑顔が溢れていたがそれは゛仮面゛だったのかもしれない。あるものは手紙を書き、あるものは写真を見ていた。その後上官と握手、少量の水を飲むと機体に乗り込んだ。整備兵がいつも以上に激しく帽子を振りながら彼らを見送ったのはちょうど一四〇〇のことだった。



  

 第3波攻撃隊後50分の時間で米軍の第3次攻撃隊の攻撃を切り抜けた日本艦隊は第4次攻撃隊からの猛攻を受けていた。突き刺すように上空から降ってくる爆弾は後方で落伍していた伊勢を貫いた。甲板から貫かれた爆弾は伊勢の火薬庫の中で爆発した。悲鳴を上げる伊勢の船体から吹き出す業火の炎は乗員を焼き払い敵機をさらに惹きつけさせた。やがて4発の命中弾と9発の至近弾を浴びて伊勢は役目を終えたと言わんばかりに再び水上に姿を現さなかった。ほかには大和が襲われたがこれを操舵士は回避した。これに爆弾を当てれるような強者は全て伊勢攻撃で爆弾を使ったらしい。結局第4次攻撃隊の撃沈艦は戦艦1隻であった。

 


 一四〇五

「敵艦見ユル 進路方向7度、距離三〇二〇〇m」

「何?向こうから突っ込んできたのか」額に怪我を負っている猪ノ口中将の言葉に賛同したものは何人いただろう。恐らく艦橋にいたものはほぼ賛同しただろう。


 それはリー中将率いる艦隊であった。同時に第4波攻撃部隊も現れた。空と水面下の同時攻撃である。ただし第4次攻撃隊も数少なく40機である。

「主砲、徹甲弾装填」対空戦闘より対艦先頭に主眼を置いたらしい。それに3式弾を使用しても散開されて5機も落とせぬだろう。

「副砲、敵雷撃部隊」

 重々しいい主砲がゆっくり旋回し照準された位置に弾丸を飛ばすべく仰角が大きくとられた。


 重巡洋艦 ボルチモア,ボストン

 軽巡洋艦 ローリー,メンフィス,

 駆逐艦  クレムソン級10隻

 


 一四一五

 レイテ海戦にて米軍が残している惨劇の一つはこの時間に起きた。米軍はこの時全速力でサイパン島(と行っても輸送船とそれの護衛は一部を除き11ノットが関の山だったが)に向かっいた。

 その時対空レーダーが複数の機体を感知した。数は40機ほどであった。言うまでもなくそれは日本軍の航空編成隊であることがIFF(敵味方識別装置)により判明した。護衛の戦闘機が2000馬力のエンジンを唸らせ空を駆ける。

「ジーク(零戦)が大体7とヴァル(九九艦爆)が5いや6機、それと例のビッグジーク(零戦を大きくしたようなシルエットであったため付けられた仮称。烈風の事)が8機」偵察機が観測してそのように報告した。攻撃隊にしては爆撃機の数が少ないと感じたが、それより気になったのは零戦が速力を落としていることだった。

 ━━━━ビッグジークがジグザグで進んでいるのは理解できるが(爆撃機を見捨てないため)どうしてジークはあんなに速度を落としているんだ。

 やがて直衛機が迫って来た。

「この猿野郎が!残らず叩き落としてやる」烈風に目をつけたその時烈風は上へ逃げてしまった。そのため九九艦爆と零戦は丸見えとなってしまった。零戦は改良フラップの力で運動性が良くなっているとは言え爆弾を抱えているためそこらの爆撃機よりはマシであるという程度であった。曳光弾がれい線に向けられ走った。ババッと炎を吹あげて零戦はまたたくまに3機が撃墜、九九艦爆も2機が瞬く間に翼から火を吹き上げながら落下し界面に衝突すると四散した。

「最近ようやくサルも落下傘を使い始めたかと思ったらまた退化しちまったか」落下傘を使わない零戦を見てアメリカ兵士はからかうように言った。


 上空に退避した烈風は急降下で反撃に移った。弾丸が米軍直衛機に突き刺さった。すかさず機体を水平に戻して今度は巴戦に入る。巴戦は零戦譲りの得意技である。

 その間にも零戦と99艦爆は被害を被り続けながらも発動機が焦げるまで出せる限りの速力を出したが、零戦はさらに5機が撃墜され、九九艦爆は1機以外全て撃墜された。しかし残った計10機はくものきれまに見えた艦影に゛突入゛していった。


 

 一四三〇

 「舵を取りながら向かってくる爆弾など回避不能だ・・・」4度傾き黒煙が上がる正規空母ベニントンの艦長はそう言った。ベニントンを発見した零戦4機は糸でつながれように乱れずベニントンに突っ込んできた。甲板中央部、左舷中央部、左舷至近、艦尾上部甲板へと突入してきた。甲板に飛び込んできた航空機は高射砲を100m手前で爆発の影響を受け片翼だけで衝突したが、そこには燃料を満載した19機の航空機が並べられていた。機体の爆発により5機が鉄屑へと変わり燃料は漏れ出し気体化し、火に引火した。さらに左舷に飛び込んできた機体は喫水線に亀裂を走らせ僅かな浸水を生じさせたかと思うと、その6秒後に至近に別の機体が海面に衝突し爆発したためなんとか耐えていた隔壁が破られた。ベンニントンは甲板上においていた機体は次々炎上した。消化班が消化活動を試みるが爆発の煙で作業は困難した。マスクをつけていないと歩いてもいられなかった。

 駆逐艦ロイッツァの戦隊中央部にも1機が激突し大火災を巻き起こした。別の駆逐艦がこの際消化の手助けとして消化ホースを伸ばし接舷するようにして近くに来てくれたが別の機体が2機来た。1機をこの救助に来た駆逐艦は撃墜したがもう1機はこれに衝突を許した。この1機は主砲の火薬庫にまで突き破り爆発した。消化をしに来た船の方がひどい火災を引き起こしてしまうという最悪な状況が起こった。主砲塔が吹き飛び船体は左舷に傾いた。左舷にはロイッツァがいる。金属同士がぶつかり、擦れて救助に来た駆逐艦はやがて沈没し、ロイッツァもその渦に巻き込まれた。ただし、事前に総員退艦命令が出されていたために50名が助かった。


 他にはマッカーサー船団の大型輸送船に1機が衝突し転覆させた。

 その混乱の中、日本軍第2波が到着していた。烈風も含め6機が撃墜されたが、烈風を除く他の11機は全て突入に成功した。

 まっさきに狙われた正規空母ベニントンに2機が突撃し、格納庫付近で火災を生じさせたためダメコンも活動をやめさせられ直ちに退艦命令が出されて、3分後に爆発を引き起こして燃え盛る廃墟と成り果てた。

 護衛空母サンガモンにも2機が突入して商船改造のこの空母はあっという間に沈没した。そのほか正規空母ボクサーが推進軸を損傷し中央甲板が損傷し同空母レイテは5機による攻撃を受けて艦橋とエレベーターに突撃されエレベーターした用意していた爆弾に誘爆した。爆発により船体は横に揺れ動き船体を破壊した。沈没はまぬがれたが曳航さえも難しい状態となり味方の駆逐艦の喫水線への砲撃により沈められた。


 これによって2隊で行われた計画的な特別攻撃は終了した。その結果は空母3隻を戦闘不能・沈没させ

護衛空母沈没、駆逐艦・輸送船も撃沈させるという大々的なものであった。その裏には50名を超える搭乗員たちの姿があったのだ。


 その時間には日本艦隊とリー中将の艦隊は激戦の真っ只中であった。 

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