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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
比島日米最終決戦
85/102

西村艦隊砲撃セヨ

 〇六五〇「こちらタフィー02!至急援護を要請する」

 「ジャップの戦闘機だ・・・」言葉を失いかけていた水兵が顔を青くし、ようやく言い放てた言葉がそれであった。100機ほどにも及ぶ大編成隊がこちらめがけてやってきた。頼みの綱であるF4Fワイルドキャットは10機程度が上空で旋回していたが、日本機の編成に覆われるように消えていった。

「正規空母の援護は?ヘルキャットは何してるんだ?」日本機の編隊はみるみる接近してくる。護衛空母の対空射撃が始まるが、高射砲1問以外は、40ミリと20ミリ機銃である。接近してくる零戦43型は右に左に、上からと射撃を浴びせかけていく。紙のような防御とはいえ一応゛空母゛である。沈むには至らないが対空機銃が全滅し、甲板は早くもF4Fのがれきと乗員の肉片と血糊で汚れがこびりついた。悪臭が漂い海の匂いが合わさり多数のものが胃の中のものを戻した。


 さらに10分と経たずに銀河爆撃機が襲来してきた。もはや浮いている墓場となった商船改造空母にハンマーで殴りつけるように爆弾を叩きつけ甲板装甲(という鉄板)を突き破る。艦底でようやく爆発する。正規空母を率いているリー中将は何をしているんだ!護衛空母の中を駆け巡ることさえやめた兵士は、そう思い地獄のような甲板で空をただ見上げていた。


 

 そのリー中将の正規空母隊はそれどころではなかった。零戦43型とそれより前のタイプの零戦が現れ上陸している米軍を海に突き落とすかの如く迫ってくる。最初は歴戦の海兵隊ということだけあって果敢に対空戦闘をしていたが、第1線が崩壊し近ずく断末魔の叫びと爆音が海兵隊の耳の鼓膜へ徐々に大きく響き出す。パニックを起こした一部の兵士が逃げ出す。やがてその逃亡は集団的なモノに変わりだした。中にはボフォース 40mm機関砲を十数基備えていたいたが逃げ出した大隊もあった。アメリカ海兵隊は戦線を4キロ撤退し防衛ラインで踏みとどまった。そしてようやく米機動部隊よりF6Fが駆けつけてきた。


 ここに戦闘機の過激な攻防が行われた。排気口から噴出される黒煙と機銃から吐き出される硝煙が上空に漂い、地上にはトラックの残骸、人馬の死骸、焼き払われ廃地と化した草原、砲弾の飛翔音、航空機の爆音━━━━その光景は氷のごとく冷たく凍りついていた。



 「突撃!!」地上の戦いは一時中断したかと思われたがそこに日本陸軍守備隊が総攻撃をかけてきた。突撃ラッパが騒音を透き通るごとく鳴り響き、ライフルの発砲音と日本軍の走行による地鳴り。アメリカ海兵隊も軽機関銃を構え打ち倒す。将棋倒しのように日本兵はバタバタ倒れるが、空の戦闘機や爆撃機のように数に限りがないかのように錯覚する。


 M4戦車が登場しアメリカ機動部隊の爆撃隊により日本陸軍に対する熾烈な攻撃が加えられた。それは敵に対する行動というより、この島を消し飛ばさせるのが目的のようだった。


 30分も経たないうちに一酸化炭素などの有害な物質が充満した。

 「・・・地獄だ━━━━」あたりにあるのは兵器や生物でなく。かつてそれであったものの変わり果てた姿であった。


 


 

 「こちらタフィー隊02、正規空母は何処に有りや」これを最後にタフィー2の電文は途絶えた。


 もはや、上陸どころの話ではない。島では既に3000名以上が死傷している。そしてタフィー隊も1隊が全滅し、魚雷艇も損害を受け戦艦も無傷ではない。


  


 「艦影見ユル」武蔵ではその声を聞いた瞬間場が凍りついたように静まった。南からである。まさか包囲されているのではないだろうかという不安心に包まれた。


「籠マストか?」猪口中将が口を開いた。籠マストであれば敵艦である。日本の場合は3脚マスト、またの名をパゴダマストという。


 「いえ、パゴダマスト・・・大和です!」一同ザワついた。まさか味方の艦隊が現れるとは思いもしなかった。

 このあと合流した西村艦隊と俺たちは再び東に向かっていった。

 

 「この機を逃すな敵をまた騙せ」伊号潜水艦では再び゛バブルジーク゛と米軍から恐れられている作戦をまた起こす気でいた。

 

 〇七一〇


 地上戦もある程度落ち着き艦隊に被害があったが陸軍機が偵察を行ったところ戦艦を含む敵主力艦隊が西へ向かっているというのを早朝の報告より聞いている。これは神が我々に与えたプレゼントなのだろうか。だとすれば敵のモンスターも相手ではない。


 そうとわかれば魚雷艇と陸軍機と戦艦郡、並びにタフィー隊で攻撃すれば今度こそ敵のモンスターは海の底へ沈んでいくだろう。


 戦艦と魚雷艇を当てタフィー隊が後方で援護し、陸軍機の援護で一網打尽だ。そして残った巡洋艦と空母の艦載機で敵機の駆逐と上陸援護を続行で行けるだろう。


 機動部隊の方も敵主力が切り上げたのならばもうすぐ勝利するだろう。そうすれば上陸作戦の援護力が強化すれば我が国の勝ちだ。



 アラバマは第1主砲は修復不能と思われていたが横側の装甲が破られていただけだったため、簡易な修復を行い、機銃弾による損傷などを可能なものは修復していたため戦闘力としては十分だ。ミシシッピは艦橋が損傷しているが、第2艦橋もあるし、完全に破壊されたわけではない。


 魚雷艇は20隻とタフィー1・3隊が派遣されることとなった。



 

 〇八二〇


 「敵艦隊発見」レーダーで補足したと報告がされてきた。リー中将は頭をふった。艦隊だと?ああ、そうか駆逐艦も一応付いていたな。それで艦隊とはやや大げさだな。


 が、敵艦の数を聞いてリー中将は驚愕した。

「おのれ、東洋の猿どもが」


 西村艦隊は早くも米戦艦を発見していた。

 「大和、武蔵両艦方位、角度同調」大和、武蔵が砲撃の姿勢を見せると金剛型、長門、伊勢型が射撃を始めた。大和型で18門中12発、長門は8門中4発、金剛型は24門中12発、伊勢級は日向が5番砲塔を1942年の爆破事故で失っており18門中9門の全46発の弾丸が2分の間に撃ち込まれた。同時に打ち込むとお互いの風圧により干渉されてしまうから2分に伸ばして射撃を行った。


 距離は3万mの砲撃だった。

「大和・武蔵の砲撃、遠・遠・遠・遠・・・」命中は無し。「長門、近・近・遠・命中!」どよめきが起こった。アラバマはそのどよめきを衝撃で受けたように揺さぶられた。さらに霧島が1発をミシシッピに命中させた。


(ジャップの糞共が)

「接近しろ、魚雷艇と共にだ」キンケイド艦隊と西村艦隊の戦闘が始まった。

 

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